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障害者雇用の支援機関とは?種類や支援内容について解説

公開日:
2025.02.13
最終更新日:
2025.04.22

障害者雇用の支援機関とは、「障害者」と「障害者雇用を検討している事業主」の双方をサポートする公的機関もしくは公設民営の事業所のことです。

では、障害者雇用の支援機関に該当するのは、どのような機関なのか。そして、具体的にはどのような支援を受けられるのかが、気になるところではないでしょうか。

そこで本記事では、障害者支援機関にはどういうものがあり、何を相談できるか、何を基準に相談先の障害者支援機関を選べば良いかについて解説します。

障害者雇用の支援機関とは

障害者雇用の支援機関は、企業の障害者雇用を促進・サポートする専門機関です。

主な機関には、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどがあります。これらの機関は、企業に対して適切な人材の紹介、採用支援、職場定着のためのフォローアップ、障害特性に応じた雇用管理のアドバイス、職場環境整備の支援、従業員向け障害理解促進の研修などを提供する機関です。

これらの機関を活用することで、企業は障害者雇用における専門的なサポートを受けられます。障害者雇用に課題を抱える企業にとって、効果的に雇用促進を推進するヒントやチャンスを得られるのは、大きなメリットです。

障害者雇用の支援機関の種類

障害者雇用の支援機関の種類は、公的機関から民間機関まで、多岐にわたります。また支援対象や相談できる内容についても、さまざまです。

企業が利用できる代表的な障害者雇用の支援機関には、次のようなものがあります。

障害者雇用の支援機関の種類支援対象支援内容
公的支援機関ハローワーク企業雇用支援
求職者障害者生活保護受給者職業紹介職業訓練キャリア相談生活支援金
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)企業雇用支援
高齢者障害者雇用支援職業訓練職業紹介助成金申請支援
障害者就業・生活支援センター企業雇用支援
身体障害者知的障害者精神障害者就業支援(職業訓練・職場実習のあっせん
・就職活動支援)生活支援(健康管理・金銭管理
・地域生活に関する助言)
民間組織による支援機関障害者雇用支援NPO企業雇用支援
障害者就職支援
障害者雇用コンサルタント会社企業障害者雇用に関するコンサルティング

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「6.就労支援機関」

なお障害者就業・生活支援センターは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下JEED)とは別の組織ですが、JEEDが運営する施設の一つです。

障害者の雇用促進に関する相談であれば、JEEDを訪れた場合、障害者就業・生活支援センターを案内される可能性があります。

障害者雇用に関する悩み別|相談可能な支援機関

障害者雇用に関する次の5つの分野における悩みについて、どの支援機関で相談可能か具体的にご紹介します。

  1. 障害者の採用に関する悩み
  2. 環境整備に関する悩み
  3. 障害者の雇用管理における悩み
  4. 職場定着に関する悩み
  5. 法制度に関する悩み

1.障害者の採用に関する悩み

障害者の採用に関する具体的な悩み別に、相談できる障害者雇用促進機関をまとめたものが、下の表です。

〇:相談可能 ー:相談不可

障害者の採用に関する悩み相談可能な障害者雇用促進機関
ハローワークJEED障害者就業・生活支援センター障害者雇用支援NPO障害者雇用コンサルタント会社
障害者の採用プロセスがわからない
適切な人材を確保する方法を知りたい
障害者雇用に関する求人情報を掲載したい
就業を希望する障害者を紹介してほしい

障害者の採用に関する悩みの多くは、ハローワーク、JEED、障害者就業・生活支援センター、障害者雇用支援NPO、障害者雇用コンサルタント会社に相談可能です。

ただし障害者雇用に関する求人情報を掲載したい場合は、ハローワーク、JEED、障害者就業・生活支援センターに相談する必要があります。

また障害者雇用コンサルタント会社の場合、求人情報の掲載や就業を希望する障害者の紹介には対応しない可能性があるため、サービス内容をあらかじめ確認しましょう。

2.環境整備に関する悩み

環境整備に関する悩みには、次のようなものがあります。

  • バリアフリー化など、物理的な環境整備の方法がわからない
  • 障害特性に応じた合理的配慮の提供方法がわからない
  • 社内の理解促進をどのように進めればよいかわからない

上記は、いずれの障害者雇用促進機関でも相談可能です。ほかの悩みを相談する際に訪れた障害者雇用促進機関で、一緒に相談するとよいでしょう。

3.障害者の雇用管理における悩み

障害者の雇用管理における以下の悩みには、次のようなものがあります。

  • 障害特性に合った業務の切り出しができない
  • 障害特性に応じた適切な業務配置ができない
  • 健康管理や労務管理の方法がわからない
  • 従業員の障害への理解を深める方法がわからない

これらは、すべての障害者雇用促進機関で相談可能です。採用に関する相談で障害者雇用促進機関を訪れたら、採用後の雇用管理について確認しておくと、効率よく採用活動を進められます。

4.職場定着に関する悩み

職場定着に関する悩みには、次のようなものがあります。

  1. 雇用した障害者の離職率を改善したい
  2. コミュニケーション上の問題を克服したい
  3. 業務パフォーマンスの向上や評価方法に悩んでいる
  4. メンタルヘルスケアの方法がわからない

上記いずれについても、すべての障害者雇用促進機関で相談できます。

5.障害者雇用に関する法制度への悩み

障害者雇用に関する法制度への悩みの内容によって、相談できない障害者雇用支援機関があります。

〇:相談可能 ー:相談不可

障害者の採用に関する悩み相談可能な障害者雇用支援機関
ハローワークJEED障害者就業・生活支援センター障害者雇用支援NPO障害者雇用コンサルタント会社
法定雇用率の達成方法がわからない
各種助成金制度の活用方法がわからない
障害者雇用に関する最新の法改正情報を知りたい

ハローワークとJEEDは、障害者雇用に関する包括的な支援と情報提供をおこなう公的機関です。障害者雇用におけるほぼすべての相談内容に対応します。また障害者就業・生活支援センターも、障害者雇用に関する幅広い支援を提供するのが特徴です。

障害者雇用支援NPOは、主に啓発活動や支援をおこないます。ただ、助成金に関する詳細な情報提供は、おこなわないのが一般的です。

障害者雇用の支援機関との連携方法

ハローワーク・JEED・障害者就業・生活支援センター・障害者雇用支援NPO・障害者雇用コンサルタント会社、それぞれとの連携方法について、具体的にご紹介します。

ハローワーク

ハローワークに、障害者雇用に関して依頼・相談する際の手順、訪れる窓口、準備するものは以下のとおりです。

手順

  1. 最寄りのハローワークに電話で予約を入れる
  2. 障害者雇用担当窓口を訪問する
  3. 障害者雇用に関する相談をおこなう
  4. 求人票の作成支援を受ける
  5. 求人票を提出する
  6. ハローワークからの連絡を待つ

訪れる窓口

障害者雇用に関する相談は、ハローワークの「障害者専門窓口」または「専門援助部門」です。一般の窓口ではなく専門窓口で相談することで、より適切な支援を受けられます。

あらかじめ用意するもの

  • 会社の概要資料
  • 募集したい職種や業務内容の詳細
  • 雇用条件(勤務時間、給与など)
  • 職場環境や設備に関する情報
  • 障害者雇用に関する会社の方針や取り組み状況

以下は、一般的な例です。個別の事情に合わせて必要な資料が異なる場合があるため、予約した際にご確認ください。

JEED

JEEDに、障害者雇用に関して依頼・相談する際の手順、訪れる窓口、準備するものは以下のとおりです。

手順

  1. 最寄りのJEED都道府県支部に連絡し、相談の予約を取る
  2. 指定された日時に支部を訪問する
  3. 障害者雇用担当の窓口で相談をおこなう

訪れる窓口

障害者雇用の相談は、各都道府県支部の「高齢・障害者業務課」または「高齢・障害者窓口サービス課」が対応します。

準備するもの

  • 企業の概要資料
  • 現在の障害者雇用の状況がわかる資料
  • 障害者雇用に関する具体的な質問事項

なお相談内容によっては、JEEDから地域障害者職業センターを紹介される場合があります。その場合、以下のような支援を受けることが可能です。

  • 職業リハビリテーション専門機関の立場からの雇用管理に関する助言
  • 「事業主支援計画」の策定による体系的な支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターに、障害者雇用に関して依頼・相談する際の手順、訪れる窓口、準備するものは以下のとおりです。

手順

  1. 最寄りの障害者就業・生活支援センターに電話で連絡し、相談の予約を取る
  2. 予約日時にセンターを訪問し、担当者と面談をおこなう
  3. 企業の状況や障害者雇用に関する相談内容を詳しく説明する
  4. センターからの助言や支援内容について話し合う
  5. 必要に応じて、継続的な支援を受けるための登録をおこなう

訪問する窓口

障害者就業・生活支援センターを利用する際は、企業向け相談窓口を訪問してください。

あらかじめ用意するもの

以下は、必須ではありません。しかし事前に用意すると、相談がスムーズに進むためおすすめです。

  • 企業の概要資料
  • 現在の障害者雇用の状況
  • 募集している職種や業務内容の資料
  • 職場環境や設備に関する情報
  • 障害者雇用に関する具体的な相談内容や質問事項
  • 過去の障害者雇用の実績(ある場合)

障害者雇用支援NPO

企業の採用担当者が障害者雇用支援NPOを探す方法には、以下のようなものがあります。

  • インターネット検索:地域名+「障害者雇用支援NPO」のキーワードで検索
  • 障害者雇用に関するセミナーやイベントへの参加
  • 地域の障害者就業・生活支援センターに問い合わせる
  • ハローワークに相談
  • 地方自治体の福祉課に問い合わせ

障害者就業・生活支援センターやハローワーク、地方自治体の福祉課は、地域で活動している障害者支援団体の情報を把握しています。問い合わせることで、情報提供を受けられる可能性があるため、利用するのも一つの方法です。

障害者雇用コンサルタント会社

障害者雇用コンサルタント会社を企業の採用担当者が探す方法として、以下のようなアプローチがあります。

  • インターネット検索:「障害者雇用コンサルタント」や「障害者雇用支援サービス」などのキーワードで検索
  • 人材サービス業界の大手企業を調べる
  • 障害者雇用に関するセミナーやイベントに参加
  • ハローワークや地域の障害者職業センターに相談

これらの方法を組み合わせることで、自社のニーズに合った障害者雇用コンサルタント会社が見つかります。なお選定の際は、コンサルタントの専門性や実績、提供サービスの範囲、費用などを比較検討することが重要です。

まとめ

障害者雇用の支援機関は、人材紹介・採用支援・職場定着支援・雇用管理のアドバイス・職場環境整備の支援・従業員向け研修など、幅広いサービスを提供しています。

これらの機関を活用し専門的なサポートを受けることで、障害者雇用の採用から定着までの各段階を効果的に推進できます。

障害者雇用に課題を抱えている場合、効果的な雇用支援を推進するための重要なリソースとして、障害者雇用の支援機関を活用しましょう。

この記事を書いた人

サンクスラボ編集部

サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。

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