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発達障がい(ASD/ADHD/LD)の方に向いている仕事は?

公開日:
2025.05.21
最終更新日:
2025.05.21

発達障がいがあると、「普通の仕事がうまくいかない」「長く続けられない」「人間関係でつまずく」など、働く上での悩みを抱えることが多くあります。

しかし、障がいがネックで働けないということはありません。発達障がいを持つ方は、得意な分野を活かして活躍できる力も持っているからです。

そのためには、自分の特性に合った職場や働き方を見つけることが重要です。

この記事では、発達障がいを持つ方が向いているる仕事の選び方について、わかりやすく解説します。

発達障がいとは?

発達障がいは、生まれつきの脳の働き方の違いによって、考え方や感じ方、行動に特性があらわれるものです。

主に以下の3つのタイプがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)

人との距離感や空気を読むことが苦手で、対人関係にストレスを感じやすい傾向があります。

また、物事に強いこだわりを持ちやすく、予定の変更や予測不能な出来事に対して不安を感じることがあります。聴覚や視覚などの感覚が過敏で、音や光に強く反応する人もいます。

一方で、興味のある分野には強い集中力を発揮することもあります。

ADHD(注意欠如・多動症)

注意がそれやすく、集中力が続きにくい、忘れ物やミスが多いなどの特徴があります。

じっとしているのが苦手で、落ち着きがないように見えることもあります。
衝動的に発言・行動することがあり、対人トラブルにつながる場合も珍しくありません。

一方で、エネルギッシュでアイデア豊富、興味のあることには高い行動力を発揮する人も多いです。

LD(学習障がい)

読む(読字障がい・ディスレクシア)、書く(書字障がい)、計算する(算数障がい)など、特定の学習分野に著しい困難が見られます。

ただし、知的発達に遅れはなく、他の分野では能力を十分に発揮できるケースも多いです。
見た目では気づかれにくく、学校や職場で「努力不足」や「やる気がない」と誤解されることもあります。サポートや工夫によって、本来の力を発揮することが可能です。

※ディスレクシアとは

ディスレクシアとは、学習障がいのひとつで、知能など全体的な発達には遅れはないのに文字の読み書きに限定した困難があり、そのせいで学業不振が現れたり、二次的な学校不適応などが生じる疾患です。

このように、上記で紹介してきた発達障がいは見た目ではわかりにくく、周囲に誤解されやすいこともあります。
しかし、自分の特性を理解し、それを活かすことで、働きやすい環境を作ることは十分に可能です。

発達障がいのある方に向いている仕事とは?

 発達障がいのある方に向いている仕事の具体例をタイプごとにまとめていきます。

ASD(自閉スペクトラム症)の方に向いている仕事

向いている職種向いている理由
データ入力・プログラミング一人で集中して黙々と作業でき、ルールが明確だから。
品質管理・検品業務細かい違いに気づきやすい特性を活かせる。
研究職・分析業務特定の分野への集中力を発揮しやすい。

ADHD(注意欠如・多動症)の方に向いている仕事

向いている職種向いている理由
営業職・接客業人とのやり取りが多く、動きがある仕事でエネルギーを活かせる。
イベント運営・配送業臨機応変さと行動力が求められる現場向き。
企画・クリエイティブ職発想力やアイデアを求められる仕事に向いている。

LD(学習障がい)の方に向いている仕事

向いている職種向いている理由
身体を使う仕事 (清掃、園芸、製造など)読み書きより体を動かすことが中心の業務なので取り組みやすい。
接客や調理補助などの実践的な職種マニュアルに沿って行える仕事で成功体験を積みやすい。
芸術・表現系 (イラスト、音楽など)文字情報に頼らず、自分の感性で表現できる仕事。

上記に挙げた例は、特性を踏まえて考えたもので、すべての方に当てはまるわけではありません。

1人1人、向き不向きは異なるため、自分の興味や体験から合うと感じた仕事を選ぶことが大切です。

発達障がいのある人が仕事で悩みやすいポイントとは?

発達障がいを持つ方が、働いていく中で感じやすい困りごとなどを見ていきましょう。

こちらもタイプごとにまとめていきます。

ADHDのある人に起こりやすい困りごとと対策

ケアレスミスを何度もしてしまう

対策は、

・細かくメモを取る
・スピードよりも確実性を重視する
・指示はメールやメモなど形に残るものでもらう
・自分以外の人に毎回ダブルチェックを頼む
・落ち着いて作業する

などが挙げられます。

忘れ物やなくし物、遅刻が多い

対策は、

・物の置き場所を決める
・重要な書類は自分で保管しない
・アラームを何重にもかける
・リマインダー機能を活用する

などが挙げられます。

順序だてて仕事をすすめることができない

対策は、

・優先順位を上司に確認する
・やること順番リストやスケジュール表を作って、目につくところに置く
・タスクを終えたか確認してもらうようにする

などが挙げられます。

ASDのある人に起こりやすい困りごとと対策

人とのコミュニケーションがうまくとれない

対策は、

・メールやチャットなど、文字を使ったやり取りにしてもらう
・対人関係の少ない仕事や、ひとりで作業できる職場を選ぶ
・自分の特性について職場に伝え、理解を得るようにする

などが挙げられます。

マニュアルのない作業や、臨機応変な対応が難しい

対策は、

・具体的な手順や見本を見せてもらったり、マニュアルをもらう
・一つずつ丁寧に作業を進めるように心がける
・自分用の手順書やチェックリストを作る

などが挙げられます。

感覚の過敏さ・鈍さが作業に影響することがある

対策は、

・肌に合わない素材の服は避ける
・衣類の選び方に配慮する
・サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングイヤホンなどを使って刺激を減らす
・自分が安心して快適に過ごせる環境を整える工夫をする
・静かに心を落ち着けられる場所を用意してもらう

などが挙げられます。

LDのある人に起こりやすい困りごとと対策

読み書きや計算が苦手で、業務に支障が出る

対策は、

・音声読み上げソフトや入力支援ツールを活用する
・口頭でのやり取りを中心にしてもらう
・図や絵を使った説明をお願いする
・業務マニュアルを音声付きで作成する

などが挙げられます。

メモをとるのが苦手で、指示を忘れてしまう

対策は、

・録音や写真を活用して記録する
・短い指示は紙やアプリで共有してもらう
・自分に合った記録方法を試す

などが挙げられます。

他人と同じペースで仕事を進めるのが難しい

対策は、

・作業のスピードよりも正確さを重視してもらう
・こまめに進捗確認をしてもらう
・自分のペースで取り組める作業に配慮してもらう

などが挙げられます。

自分に合った職業を見つけるためのポイント

自分に合った仕事を見つけるためには、まず自分の特性を理解することが大切です。

自分の得意なことや苦手なことを把握し、適性に合った仕事を選ぶようにしましょう。

自己理解を深める

得意なこと・苦手なこと、集中しやすい環境やストレスを感じやすい状況などを整理してみるのがおすすめです。

職業適性検査やキャリアカウンセリングの活用も役立ちます。

経験を積んでみる

インターンやボランティアなどの体験を通して、実際に働く経験やイメージを掴んでおきましょう。

実際にやってみて、得意なことや苦手なことが見えてくることも多くあります。

職場の理解と柔軟な働き方

特性に合わせて環境を整えてもらえるかを事前に確認すると安心です。

フレックスタイム制、在宅勤務、静かな職場、明確な指示が得られるかなど、自分の希望に合わせた配慮が可能か確認しておきましょう。

発達障がいに理解のある企業の見つけ方

最近では、発達障がいを含む障害者雇用への理解が進んでいます。

以下のような視点で企業を探すことで、自分に合った職場を見つけやすくなります。

障害者雇用枠を活用する

障害者雇用枠では、企業があらかじめ障がいのある方を雇用することを前提に募集しているため、合理的配慮を受けられる体制が整っていることが多いです。

例えば、静かな席の配置、業務内容の調整、わかりやすい指示の工夫などが期待できます。面接時や入社前に、自分の特性について伝えることで、職場環境の配慮も受けやすくなります。

就労移行支援を利用する

就労移行支援事業所では、発達障がいなどの特性に応じた職業訓練や実習を通じて、働くための準備ができます。

また、職場体験や実際の職場への同行支援もあり、自分が働きやすい業種や職種を見つける手助けもしてくれます。

さらに、就職後の定着支援を受けられることが多く、長く安心して働くためのサポートが充実していることが魅力です。

企業の雰囲気や制度をチェックする

採用ページや口コミサイトなどを活用して、企業の雰囲気や実際の社員の声を確認する手もあります。

現場の声を聞くことで、企業案内などでは伝わりきらない部分が見えてくることもあります。

また、産業医・カウンセリング体制などのメンタルヘルスに配慮した制度が整っている企業は、発達障がいを持つ方にとっても働きやすいので、選択肢に入れると安心できます。

企業選びは、給与や仕事内容の条件だけでなく、「安心して働き続けられるか」「自分の特性を受け入れてもらえるか」といった視点を大切にするのがポイントです。

在宅ワークやフリーランスという選択肢も!

自宅で自分のペースで働ける在宅ワークやフリーランスも、特性によっては発達障がいを持つ方に向いていることがあります。

在宅ワークなら、通勤や対面コミュニケーションが必要ないので、感覚過敏や疲れやすさの負担が軽減されます。
それだけでなく、自分で時間や作業を調整できるので、集中しやすい時間帯に合わせて仕事ができるのも利点です。

向いている職種の例は、

・Webライター
・動画編集
・イラスト制作
・データ処理

などが挙げられます。

ただし、フリーランスは収入が不安定になりやすいため、スキルの習得や継続的な案件の確保が必要になります。特にADHDを持つ方は、自分のスケジュールをコントロールするのが苦手だったり、フリーランスで重要な営業活動が対人関係が苦手で実行できないこともあるので慎重に取り組んだ方がいいでしょう。

まとめ

当記事では、発達障がいを抱える方に向いている仕事などを紹介してきました。

今回の記事のポイントをまとめると、

・自分の特性を理解し、それに合った職場や働き方を選ぶ
・周囲のサポートや制度を上手に活用する

ということです。
発達障がいがあるからといって、「働けない」「続かない」ということはないので、自分らしい働き方を少しずつ見つけていきましょう。

衛藤 美穂(心理カウンセラー・夫婦カウンセラー)

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

福岡県出身。 アメリカの大学で心理学を学び、仕事の傍ら、自己啓発やカウンセリングのスキルアップを目指し、常に勉強すること10年以上。家族関係専門。

サンクスラボ入社前は不動産、メーカー、教育関係の仕事を経験。約2,500社以上の管理職、取締役に対して提案営業、問題解決等を行う。

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