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障がい者雇用は短時間勤務でも雇用率にカウント可能?

公開日:
2025.03.07
最終更新日:
2025.06.11

2024年4月1日以降、勤務時間が週10時間以上20時間未満の障がい者でも、条件付きで障がい者雇用率制度の対象となりました。

そのため、障がい者の雇用を見直して今まで雇用が難しかった障がい者を積極的に雇用したいと考える会社もあるでしょう。その一方で、「カウントの仕方がかえって複雑になった」と悩んでいる会社もあるはずです。

本記事では、障がい者雇用のカウント方法と2024年4月1日からの変更点を詳しく解説します。

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障がい者の雇用算定対象が週20時間未満勤務まで拡大

障がい者雇用率制度とは、国や地方公共団体と民間企業に一定の割合で知的障碍者や身体障碍者を雇用するように義務付けた制度です。

企業に勤務している従業員全体に対する障がい者の雇用率を「法定雇用率」といい、2025年1月現在、以下のように定められています。

  • 民間企業:2.5%
  • 国・地方公共団体:2.8%
  • 都道府県等の教育委員会:2.7%

障がい者の雇用算定対象者は、原則週20時間以上働くことが条件です。この条件を満たしていると、障がい者の雇用人数は1名としてカウントされます。週20時間以上30時間未満勤務の場合は、「短時間雇用」となり0.5人として計算されます。

2024年4月より始まった新制度では、週10時間以上20時間未満勤務の精神障がい者、重度の身体障がい者及び知的障がい者も同じく0.5人として障がい者の雇用算定の対象になります。

なお、身体障がい者と知的障がい者は以下に当てはまる「重度」の方のみが対象です。

  • 身体障がい者:等級が1級・2級に該当する
  • 知的障がい者:等級A、(自治体のよっては1,2)に該当する

精神障がい者は等級は問われません。週10時間というと、週休2日の場合1日2時間程度ですが、「まずは少しずつ働いて体をならしたい」と考えている障がい者の方に一定のニーズがあります。企業のほうも短時間勤務が認められることで、障がい者雇用のハードルが下がるメリットがあります。

なお、変更によって2024年4月1日まで支給されていた「特例給付金」は廃止されました。

障がい者を雇用する際の正しいカウント方法を解説

2024年4月より、民間企業の障がい者の法定雇用率が2.5%にまで引き上げられました。また、2026年7月には2.7%と今後も引き上げが決定しています。

ここでは、今後の引き上げにも対応できるように障がい者を雇用した場合のカウント方法を紹介します。

障がい者雇用は原則として20時間~30時間の勤務が必要

雇用している障がい者をカウントする場合、以下のポイントを抑えておきましょう。

  • 常時雇用労働者:雇用期間の定めがない者、有期雇用の場合は1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)で週20時間以上働く労働者
  • 常用労働者(1カウント):常時雇用労働者で、所定労働時間が週30時間以上の労働者
  • 短時間労働者(0.5カウント):常時雇用労働者で、所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者

この3つに、常時雇用労働者で週10時間以上20時間未満勤務の精神障がい者、重度の身体障がい者及び知的障がい者が、短時間労働者として加わります。

また、重度身体障がい者と重度知的障がい者は2倍でカウントされるため、1カウントの方は2カウント、0.5カウントの方は1カウントとなります。

1年以上継続して雇用されるのであれば、雇用形態は問われません。直接雇用、正社員のほか常用契約社員でも常用労働者としてカウントされます。ただし、登録型派遣労働者はカウントされないので注意してください。また、時短労働者の場合はアルバイト待遇でも問題ありません。

その一方で、週30時間以上働いている障がい者であっても雇用契約が1年未満の場合は常時雇用労働者としてカウントされません。使用期間の場合は、使用期間が終わって1年以上の雇用契約が見込まれるようになってからカウントされます。

       

雇用すべき障がい者数の計算方法

自社で雇用すべき障がい者の人数を計算したい場合は、以下の計算式で求められます。(法定雇用率2.5%の場合)

『雇用すべき障がい者数(カウント)=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×0.025』

この数式の常用労働者は現在会社で週30時間以上働いている健常者です。短時間労働者は週20時間以上30時間未満働いている健常者です。

また、障がい者同様雇用契約が1年以上ある従業員が対象です。繁忙期になると有期雇用で従業員の数を増やす会社は、1年以上雇用契約を結んでいる従業員だけカウントしてください。

雇用すべき障がい者数や不足人数、雇用率の計算が自動でできるフォーマットを用意しているので、計算の手間を省きたい方はぜひご活用ください。

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障がい者手帳を持つ障がい者しかカウントの対象にはならない

障がい者雇用において、「障がい者」としてカウントできるのは障がい者手帳を持っている方のみです。

「精神障がい者保健福祉手帳」を例にとって説明します。

「精神障がい者保健福祉手帳」を取得するには、「統合失調症」「うつ病」「躁うつ病」「てんかん」「薬物やアルコールによる急性中毒またはその依存症」などであると診断された方で、長年にわたって日常生活や社会生活に制約が出ると判断された場合です。また、発症から6ヶ月以上たっていることが取得の条件です。

「うつ病」や「統合失調症」などを発症した方でも、薬を飲めば症状をコントロールできるなどの理由で「精神障がい者保健福祉手帳」を取得していない場合は、障がい者雇用の対象にはなりません。

身体障がい者であっても同様です。また、病気が治ったり症状が改善したりして手帳の取得条件から外れた場合は、障がい者手帳を返却しなければなりません。その時点で障がい者としてカウントすることはできなくなります。

障がい者を雇用している企業は、定期的に本人にヒアリングなどを行って障がい者手帳の有無を確認してください。

法定雇用率が達成できないとどうなる?

障がい者の雇用が求められているのに法定雇用率未達成の場合は、以下のようなペナルティがあります。

  • 障がい者雇用納付金の徴収:不足している障がい者1名に付き5万円
  • ハローワークによる行政指導を受ける:雇用計画の作成を命じられ、それに基づい               て適正施勧告や特別指導を受ける
  • 企業名の公表:厚生労働省のホームページに障がい者雇用が未達成の企業名を公表される

なお、障がい者雇用納付金の徴収は従業員が100名以上の企業のみですが、行政指導や企業名の公表に制限はありません。特に企業名が公表されると、イメージ低下は免れません。

一方、法定雇用率を達成している企業には障がい者雇用調整金や報奨金が支給されます。

調整金は従業員100名以上、報奨金は100名未満の企業に支給される名称です。

まとめ

今回は、障がい者雇用の条件や法定雇用率を達成するための計算方法、2024年4月から実施された勤務時間が週10時間以上20時間未満の障がい者のカウント方法などを紹介しました。

障がい者雇用率はこれからも引き上げられます。そのため、これから障がい者雇用が求められる企業は増え続けていくでしょう。その時にそなえて、雇うべき障がい者の条件やカウントの方法等をしっておくことは大切です。

この記事を書いた人

サンクスラボ編集部

サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。

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