障がい者雇用とSDGsの関係は?取り組み事例や何番の目標かも解説
- 公開日:
- 2025.11.12
- 最終更新日:
- 2025.11.12
近年、SDGsを目標に掲げる企業が増えています。また、「障がい者雇用はSDGsの取り組みにつながると聞いたが、どのような点がつながるのか?」「障がい者雇用は、SDGsの取り組みとして公表できるのか?」といった疑問を持っている方も多いかと思います。
本記事では、障がい者雇用とSDGsの関係や当てはまる目標、さらに障がい者雇用を利用したSDGsの取り組みの具体例について解説します。
目次
SDGsと障がい者雇用の関係

はじめに、SDGsと障がい者雇用の関係について解説します。SDGsは、2015年9月国連で採択され以降、世界中の国や企業、各種団体で取り組みが進められてきました。
ここでは、SDGsが掲げている目標の何番目に障がい者雇用が該当するかもSDGsの概要と共説明するので参考にしてください。
SDGsとは
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、世界中にある環境課題・差別・貧困・人権問題といった課題を、世界のみんなで2030年までに解決していこう」という計画・目標の総称です。2015年9月に国連で採択され、169のターゲットと17のゴールが定められています。
日本では、民間団体や自治体などが独自にSDGs推進企業の認定制度を設けています。中でも「一般社団法人日本SDGs協会」は民間団体としてSDGsの普及や認定活動を行っています。
SDGsを企業が導入するメリット
SDGsに取り組むことは、企業にとって人材獲得の促進、企業イメージ向上、ビジネスチャンスの創出等複数のメリットがあるため、取り組みに前向きなところも増え続けています。
それに加えて政府や自治体もSDGsに積極的に取り組む企業を支援しており、自治体によってはSDGs推進企業登録や認定を受けた企業を優遇する補助制度を設けている場合もあります。
SDGsと障がい者雇用の関係
障がい者雇用はCSR(企業の社会的責任)として取り組まれ、社会貢献的な活動として強調されてきました。現在、日本では「障害者雇用促進法」によって、40名以上の常時雇用の従業員がいる企業には1名以上の障がい者を雇用することが法律で義務付けられています。
その一方で、SDGsで定められているターゲットやゴールの中に「障がい者雇用」も含まれています。
外務省が公開している「JAPAN SDGs Action Platform」では、2030年までに「障がい者を含む男性・女性の賃金差をなくす」ことをターゲットにしています。
つまり、障がい者雇用を実践している企業はSDGsにも取り組んでいると言えます。「SDGsへの取り組みを検討しているが、当社が取り組めるターゲットや目標は何だろう」と悩んでいる企業は、障がい者雇用に取り組んでみるのもひとつの方法です。
SDGsに貢献する障がい者雇用の取り組み事例
当社サンクスラボが実施している「里海珊瑚プロジェクト」は絶滅が危惧されているサンゴの保全活動を持続的に行える仕組みを構築、実行しています。企業が障がい者を雇用し、サンクスラボが実施しているデジタルを活用したサンゴの保全活動を任せることで、障がい者に仕事を提供する仕組みです。
企業によっては「障がい者雇用に取り組みたいが、任せる職種が限られている」といった悩みを抱えています。そのような企業がサンゴの保全活動に参加すれば、障がい者雇用とSDGsの両方を達成できます。
特に、この取り組みはSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にも貢献しており、海洋資源の保全という観点からも社会的意義の高い活動です。
障がい者も、SDGsへの取り組みに貢献できると同時に、やりがいが感じられる仕事に就けるというメリットがあります。
障がい者雇用で達成できるSDGsの目標 は何番?

障がい者を雇用して環境活動に取り組まなくても、雇用するだけで達成できるSDGsの目標があります。
ここでは、障がい者雇用で達成できるSDGsの目標が何番に該当するのか解説するので、参考にしてください。
1番 貧困をなくそう
「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」は、SDGsの目標では1番に設定されています。貧困の「あらゆる形態」には、賃金格差や障がいが原因での就労困難も含まれます。
障がいを持った方でも、本人の努力で就労している方もいるでしょう。しかし、企業が障がい者を受け入れる環境を整え、障がいへの理解を深めることでより障がい者が就職しやすくなります。
日本では障がい者をサポートする仕組みが整っていますが、障がい者年金等だけでは余裕のある生活が難しい方も多いでしょう。経済的に自立できればできることも増え、結婚や子育てなどもしやすくなります。
さらに、経済的に自立できれば参加できる社会活動も増え、社会全体が障がい者にとってより暮らしやすくなる可能性もあります。
8番 働きがいも経済成長も
「働きがいも経済成長も」は、SDGsに掲げられている8番目の目標です。働くことは、国全体の経済成長につながります。また、労働は生活費を稼ぐ目的でもありますが、同時に人生を充実させる手段でもあります。
労働をして対価を得、経済的に自立できれば自分の希望や意思でできることが格段に広がります。障がいがある方も、働くことができれば経済的に自立ができて自尊心を高めることができるでしょう。 また、働くことで新しい人間関係が生まれ、働きがいにつながることもあります。
人間関係が広がれば、障害に対する理解も深まりひいてはさまざまな方が暮らしやすくなる社会が築かれます。
10番 人や国の不平等をなくそう
SDGsの10番目の目標に、「人や国の不平等をなくそう」が挙げられています。不平等と雇用は一見すると関係の内容に見えます。しかし、雇用にも賃金格差、正規雇用、非正規雇用等の立場による格差などたくさんの不平等があり、障がい者雇用もそのひとつです。
健康な方と同じように仕事をするのは難しいが、できる範囲で仕事をしたい障がい者が、障がいを理由に就労できない状況を改善するのが、「障害者雇用促進法」です。
障がい者を雇用すれば、人や国の不平等をなくす目標を達成したことになります。
つまり、障がい者を雇用すれば、SDGsが掲げている3つの目標達成に貢献できます。 さらに、障がい者雇用を継続したり、障がい者にほかのSDGsの目標達成に貢献できる仕事を任せたりできれば、SDGsへの取り組みを行う企業に認定される可能性もあるでしょう。
SDGsと障がい者雇用に関する世界の関わり

ここでは、SDGsと障がい者雇用に関する世界の関わりについて解説します。SDGsは国連によって採択されたため、全世界で目標を達成する取り組みが行われています。
世界に目を向けると、ドイツやフランスでは日本同様に一定数以上の従業員を雇用している企業には障がい者の雇用が義務づけられています。ここでは、ヨーロッパ各国の障がい者雇用の現状を紹介します。
また、日本が障がい者雇用に関して世界から見てどの程度の取り組みが進んでいるかも解説するので、参考にしてください。
ドイツ・フランス
2019年の調査によると、ドイツでは障がい者の雇用率が5%、フランスでは6%です。ドイツやフランスの障がい者雇用に関する法律は日本と類似しており、障がい者を雇用する義務があるにも関わらず未雇用の場合は納付金を支払わなければなりません。
また、ドイツは障がい者雇用のために職場環境の整備や雇用を創出すると給付金が支給されます。
スウェーデン
福祉国家として名高いスウェーデンでは「障害者雇用促進法」に該当する法律はありません。その代わり、賃金を補助する制度が整備されているほか、重い障がいを持った方を雇用する国営企業、「サムハル」があります。
「サムハル」は日本の就労継続支援A型・B型に類似したシステムです。障がいの程度が重く、一般的な企業は就労が難しい方に就労の機会を与えつつ、一般企業への就労をサポートします。
日本の就労支援との違いは健康な方との賃金格差がないことと、本人の能力や障害の程度にあわせた仕事のマッチング制度が充実していることです。
また、日本の就労支援が社会福祉の側面が強いのに対し、サムハルはあくまでも障がい者雇用に重点を置いています。そのため、障がい者も給与から高い社会保障を含めた税金を支払っています。
アメリカやアジアの障がい者雇用事情
アメリカでは、「障がい者雇用」という概念が浸透していないといわれています。アメリカでは。差別を理由に雇用や昇進、給与の格差をつけることを禁止する法律は定められていますが、日本の「障害者雇用促進法」に該当する法律はありません。また、障がい者を積極的に雇用する機関もありません。
障がい者は自分のできる分野で、健康な方と同じように就職活動を経て就職します。就職が難しい場合は、国や州の福祉サービスを利用して生活しています。
アジアでは、韓国が「障害人雇用促進等に関する法律」を定め、障がい者の雇用を国ぐるみで促進しています。日本の「障害者雇用促進法」と類似した部分が多く、一定数以上の従業員を雇用している企業に障がい者の雇用義務が課せられているのも同じです。
日本における障がい者雇用の現状は?
一方、日本では「障害者雇用促進法」で40人以上の常用雇用をしている従業員がいる企業は1人以上の障がい者を雇用することが義務付けられています。また、雇用義務があるのに障がい者雇用を行っていない企業には「不足している障がい者の人数×5万円」の納付金も義務付けられており、行政指導や企業名公表も行われます。
それでも、障がい者の実雇用率は2024年度で2.41%にとどまっているのが現状です。
日本は少子高齢化による労働人口の減少により、多くの企業が人手不足に悩んでいます。障がい者の雇用が進めば、人手不足解消のきっかけになるかもしれません。そのためには。国や自治体のサポートも重要ですが、企業が障がい者雇用に前向きに取り組む姿勢が重要です。
障がい者雇用を促進するメリット

障がい者の雇用には、社会福祉の一面があることは事実です。企業の中にも「社会福祉として障がい者雇用を行っている」と考えている方もいるでしょう。しかし、障がい者雇用の促進は、健康な労働者へのメリットも大きいのです。
ここでは、障がい者雇用を促進するメリットについて解説します。
障がい者以外の従業員も働きやすくなる
障がい者雇用を促進すると、職場環境の見直しにもつながります。健康な方でも「どのような環境下でも長時間労働が可能」という方はほとんどいません。若い年代ほど、労働環境が整っていないと離職しやすい傾向があります。
特に、歴史が長く古い価値観で職場を運営してきた企業ほど、職場環境を変えようと思ってもなかなか進まないところも多いでしょう。
「障がい者を雇用する」のであれば、大なり小なり職場環境の改善は必要です。また、職場環境の改善に外部のサポートも得やすくなります。会社内だけでは難しかった環境の改善も外部からのサポートがあればスムーズに進む可能性もあるでしょう。
人材不足の解消につながる
障がい者の中には「もともとは健康であったが、病気やケガが原因で障がい者になった」という方もいます。かつては専門知識を活かして第一線で活躍してきた方ならば、「短時間しか働けない」「有給以上の休みが必要な時期がある」といったハンディがあったとしても、人材不足の解消につながります。
また、会社によってはバックオフィス業務に人手が必要だが、仕事内容によっては募集をかけても人員が集まらないこともあるでしょう。障がいによっては、臨機応変な対応が必要な仕事は難しいが、一度ルールを覚えてしまえばその通りに働ける方もいます。
バックオフィス業務の中には、ルールが明確に決まっている仕事もたくさんあります。そのような仕事を障がい者に任せることができれば、人手不足を解消できる可能性があります。
企業の評判が高まる
障がい者雇用に積極的な企業は、社会的な責任を遂行したことによるブランドイメージの向上につながります。企業や業務内容によっては、マスコミに取り上げられて高い宣伝効果を得られることもあるでしょう。同じ製品やサービスを同じ価格で提供している場合、ブランドイメージが高い企業のほうが選ばれる傾向もあります。
また、障がい者雇用に前向きな会社は行政からの補助金や助成金も受けやすくなります。障がい者が働きやすい職場環境にするために設備を整えるために補助金や助成金を利用できれば、企業の経済的な負担が軽くなるのは大きなメリットです。
障がい者が働きやすい職場環境が整えば、健康な方も働きやすくなるのはもちろんのことより多様な障がいを持った方も働きやすくなり、障がい者雇用が促進されます。
コンプライアンス強化につながる
障がい者雇用の促進はコンプライアンス強化にもつながります。障がい者を雇用するにあたり、法令順守は重要です。また、職場の安全や衛生にも気を配る必要があります。
障がいに対しマイナスな感情を抱かない、差別的な言動をしないといったコンプライアンス教育も重要です。コンプライアンス教育を行えば、パワハラやセクハラにも一定の効果が期待できます。特に、セクハラはかつて「コミュニケーションの一環」と軽く考えられてきたものもあります。その感覚が抜けきらないと従業員同士のトラブルの原因になるでしょう。
コンプライアンス教育の必要性はわかっていても、業務との兼ね合いによってはなかなか実行できないところもあります。障がい者雇用をきっかけに、コンプライアンス教育を受けられれば従業員の意識改革にもつながるでしょう。
まとめ
本記事では、SDGsと障がい者雇用の関係について解説しました。SDGsの目標達成の取り組みは「高尚で特別なこと」と思われがちですが、障がい者を会社に雇用し、一緒に働いていくことで達成できる目標もあります。
また、SDGsが定めた目標を達成する仕事を障がい者のために創出できれば、SDGsに積極的に取り組む企業として評価される可能性があります。
サンクスラボ株式会社が実施している「里海珊瑚プロジェクト」は、SDGsの目標達成と障がい者雇用を両立している事業です。障がい者の仕事創出に悩んでいる企業の担当者や、SDGsの促進を検討している場合は、一度ご相談ください。
記事監修者:衛藤 美穂
サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム
アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。
■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得