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【面接官向け】障がい者雇用の面接で聞いてはいけない質問や注意点 

公開日:
2025.05.21
最終更新日:
2025.05.28

障がい者を雇用する場合も、健康な方を雇用するときのように面接を行う企業が大半です。しかし「障がいのことをどこまで聞いていいのか」「不用意なことを聞くと障がい者を差別したと言われないだろうか」と不安になっている方もいるでしょう。 

障がい者の面接も一般的な就職面接と基本的な質問は同じです。その一方で、障がいへの理解を深め、スムーズに働いてもらうために必要な独自の質問もあります。 

本記事では、障がい者の面接で聞くべきことと聞いてはいけないことを理由と共に解説します。 

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内容

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障がい者雇用における面接の重要性 

障がい者の方を雇用する際、多くの企業が面接を行います。面接を行うと、以下のようなことがわかります。 

  • 人となり 
  • 勤労意欲 
  • コミュニケーション能力 
  • 求職者が希望するサポート内容 
  • 求職者が希望する仕事 

障がいを持っている方の中には、健康な方よりも言語によるコミュニケーションが取りにくい方もめずらしくありません。どの程度コミュニケーション能力があるのか、仕事に支障があるのかどうかは、実際に言葉を交わしてみてはじめてわかります。 

また、求職する障がい者も職場が自分を受け入れてくれるか大きな不安をかかえているはずです。 

面接をすれば、自分の気持ちを伝えられるのはもちろんのこと、不安も解消できます。さらに、お互いへの理解を深めあうきっかけにもなるでしょう。雇用形態にかかわらず、障がい者を雇用する場合は短時間でも面接は実施することが大切です。 

障がい者に対する面接で聞いておくべきこと 

ここでは、障がい者に面接を行う際に聞いておくべきことを紹介します。 

基本的な質問は健常者と同じ 

仕事に関する基本的な説明は、健常者と同じです。具体例を挙げると以下のとおりです。 

  • 自己紹介・自己PR 
  • 志望動機 
  • これまでの仕事の経歴やキャリア 
  • 趣味・休日の過ごし方 
  • 会社に希望すること 

転職した場合は、上記に加えて以下のことも質問するケースもあります。 

  • 前職をやめた理由 
  • 転職した理由 

これらの質問を通して、応募者の能力や適性、仕事への意欲などを総合的に判断します。 

前職をやめた理由や転職した理由の中には、障がいに関係する場合もあります。「病気をしたので、前職を続けるのが困難になった」「自分の障がいでは、続けることが難しい仕事だった」といった答えが返ってくる可能性もあるでしょう。 

そこから、「当社はどうすればサポートできるのか」「どのような仕事ならば、スムーズに働けるのか」といった質問に膨らませることもできます。 

ただし、この際「あなたの努力が足りなかったのではないか」といった相手を責めるようなことを言わないように注意しましょう。 

障がいに関して聞いておくべき質問 

障がい者を雇用する場合、障がいに関する質問も必要です。障がいにもよりますが、障がい者が仕事をする場合、職場の環境整備や職場のサポートは欠かせません。

その一方で、「どのようなサポートが必要なのか」「どこまでならば、自分1人で仕事ができるのか」「1人でできる仕事があるのか」「仕事以外でもサポートが必要か」等、知るべきことがたくさんあります。

履歴書や職務経歴書を確認すれば、障がいの種類や程度は把握できますが、本人が何に対してサポートを求めるかは、対面で質問をしないとわかりにくいことも多いでしょう。 

聞いておくべき質問例

確認事項の例具体的な質問例
障がいの状況と業務への影響「差し支えなければ、障がいの状況について教えていただけますでしょうか?」
必要な配慮事項「業務を行う上で、どのような配慮があれば働きやすいでしょうか?」
通院の頻度や時間「定期的な通院は必要ですか?必要な場合、頻度や時間帯を教えていただけますか?」
緊急時の対応「体調が悪くなった場合、どのように対応すればよろしいでしょうか?」
これまでの就業経験における工夫や配慮「これまでの職場で、障がいに関してどのような工夫や配慮がありましたか?」

こういった確認をすることで、会社側もできること、できないことを明確にすることができ、就職してから「このようなことはできない」「サポートを受けられないとは知らなかった」といった意識のすれ違いを防げます。  

障がい者に対する面接で聞いてはいけないこと 

ここでは、障がい者に対する面接で聞いてはいけないことを紹介します。障がい者だけでなく、通常の面接でも聞いてはいけないことばかりなので、はじめて面接の担当をする方にも参考になるでしょう。 

仕事とは関係ない質問 

どのような方でも、仕事に関係ない質問はNGです。 
一例を挙げると以下のような質問が挙げられます。 

  • 住んでいる場所:(通勤に関する質問は除く) 
  • 親の職業・年収 
  • 家の資産 
  • 障がい者が家族にいることへの苦労 
  • 恋人の有無、結婚の予定 
  • 仕事以外の障がいに関する質問 

例えば、「住んでいる場所は治安が悪い評判があるようですが、なぜそんなところに住んだのですか?」「障がいがあるのに1人暮らしをしているのですか?問題はありませんか?」「親の年収が高いようなので、働く必要はないのでは?」「恋人はいますか?結婚の予定はあるのですか?」などです。 

会社側としては、仕事中に障がい者に不調があった場合、すぐに家族にかけつけてもらえれば安心と考えていることもあるでしょう。しかし、「1人暮らしですか」「家族で住んだ方が安心ではないですか?」といった質問はプライバシーの侵害です。 

さらに、「障がいのせいで家族は苦労したのではありませんか?」といった質問は、障がい者差別にもつながるので、要注意です。面接中の雑談で行ってもこのような話題をふらないように注意しましょう。 

思想や宗教に関する質問 

思想や宗教といったことも就職とは関係のない話なため、一般的にも質問を避ける必要があります。

「選挙にはいきましたか?」「何か宗教は信仰していますか?」といった質問はNGです。選挙の日が近い場合は世間話の一環としてつい質問したくなる方もいるでしょう。

しかし、選挙に行く、行かないは個人の判断です。また、日本では信教の自由があるため、会社で布教活動をするなど仕事に影響に出るようなことがなければ、宗教に関する質問をしてはいけません。  

男女雇用機会均等法に関する質問 

現在の日本では、男女で定年の年代を変えたり給与に差をつけたりするのは男女雇用機会均等法で禁止されています。特に、結婚や出産に関する質問を行うと、障がい者差別にもなる可能性があるので注意しましょう。

一例を挙げると「この年齢で結婚されていないのはなぜですか?」「出産したら退職しますか?仕事を続けますか?」といった質問です。 

また、「制服を用意するので、ウェストのサイズを教えてください」というのも避けた方が良いでしょう。このほか、「お体に障がいがありますが、お子様は考えていますか?」といった質問も絶対にしてはいけません。 

その他 

このほか、「この会社は厳しい部分があるけれどあなたについてこれますか?」「障がいがあるからといって、過度な配慮は行いません。できることは自分でやってください」といった、突き放すような質問もNGです。 

面接担当者にとっては「仕事に関する覚悟を見たかった」と考えているかもしれません。実際、職種によっては厳しい質問を投げかけるのが習慣となっているところもあるでしょう。しかし、厳しすぎる質問は会社のイメージを損ねる恐れもあります。 

さらに、相手に知的障がいがあっても、幼い子どもに話しかけるような姿勢をとってもいけません。 障がいの中には、難しい言葉が理解しにくい方もいますが、相手は就業できる年齢です。平坦な言葉を使っても、大人として接するようにしましょう。

まとめ

本記事では、障がい者と面接する際に行うべき質問と行ってはいけない質問の両方を消化しました。面接は限られた時間ではありますが、お互いへの理解を深め、会社で働ける能力があるか、確かめる友好の手段です。 

障がいに関する質問をすることはNGではありません。自社ができるサポートを知るためにも希望するサポートや、1人では実行が難しいことなどは聞いておきましょう。 

その一方で、仕事に関係ない質問はNGです。特に、結婚・恋人・仕事以外の障がいに関する質問は差別につながる可能性があります。そのような質問をすれば、会社の評判が落ちる恐れもあるでしょう。女性に「障がいがあるとは思えない、かわいらしい方ですね」といった質問もいけません。 

実際の面接が行う前に、面接官同士でミーティングを実施して質問を厳選しましょう。 

衛藤 美穂(心理カウンセラー・夫婦カウンセラー)

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

福岡県出身。 アメリカの大学で心理学を学び、仕事の傍ら、自己啓発やカウンセリングのスキルアップを目指し、常に勉強すること10年以上。家族関係専門。

サンクスラボ入社前は不動産、メーカー、教育関係の仕事を経験。約2,500社以上の管理職、取締役に対して提案営業、問題解決等を行う。

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