トップ【中小企業向け】障がい者雇用の進め方やルール、補助金・助成金を解説

【中小企業向け】障がい者雇用の進め方やルール、補助金・助成金を解説

公開日:
2026.01.15
最終更新日:
2026.01.23

中小企業にとって障がい者雇用は、「何から始めるべきか」「人手やノウハウが不足しているのではないか」と不安を感じやすいテーマです。しかし、障がい者雇用は制度や支援策を正しく理解すれば、中小企業でも無理なく取り組めます。

今回は、中小企業における障がい者雇用の基本ルールから、メリット・課題、具体的な進め方までをわかりやすく解説します。

また、障がい者雇用の本格化に向けて、基本的な知識や実務上のポイントを知りたい担当者の方はぜひ以下の資料も参考にしてみてください。

>>【無料でダウンロードする】はじめての障害者雇用
<この資料でわかること>
・障がい者雇用の基礎知識
・雇用が必要な障がい者人数の計算方法
・障がい者採用の流れとポイント

障がい者雇用の基本的なルール

わが国における障がい者雇用は、雇用・就業が障がい者の自立や社会参加を実現するための重要な基盤であるとの考えに基づいています。

この理念のもと、障がい者が持つ能力を最大限に発揮し、適性に応じた仕事に就ける社会の実現を目指しており、企業には法定雇用率の達成が義務付けられています。この仕組みによって、障がい者の雇用機会が法的に保障されています。

まずは、障がい者雇用を進める上で押さえておくべき「法定雇用率」「納付金」について解説します。

参考:厚生労働省「障害者雇用率制度について

法定雇用率

従業員が一定数以上となる事業主では、常用労働者数に対して一定割合の障がい者を雇用する義務が課せられており、この割合を法定雇用率と呼びます。

法定雇用率は定期的に見直しが行われており、企業規模に応じた障がい者雇用の促進を図る仕組みとなっています。

民間企業における法定雇用率は、令和6年4月から2.5%となっています。令和8年7月以降は2.7%に引き上げられる予定です。

 

令和6年4月

令和8年7月

民間企業の法定雇用率

2.5%

2.7%

適用となる従業員数

40.0人以上

37.5人以上


参考:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

なお、国や地方公共団体では3.0%、都道府県等の教育委員会で2.9%です。事業主は、この変更を見据えた雇用計画の立案が求められています。

▼自社の障がい者雇用数を計算してみる【2025年最新版フォーマット】

法定雇用率を満たさない場合の罰則(納付金)

雇用義務を履行しない事業主に対しては、ハローワークによる行政指導が実施されます。雇用状況の改善が見られない場合には、企業名の公表を前提とした特別指導が段階的に行われます。

障害者雇用納付金制度では、法定雇用率を達成していない企業のうち、常用労働者の総数が100人を超える企業から障がい者雇用納付金が徴収されます。

不足している障がい者1人につき月額5万円の納付金が課せられ、この財源をもとに障害者雇用調整金や報奨金が支給されています。この制度により、事業主間の経済的負担が調整され、障がい者雇用に積極的な企業への支援が行われているのです。

中小企業における障がい者雇用のメリット・課題

障がい者雇用は法的義務であると同時に、企業にさまざまな効果をもたらす経営戦略となります。一方で中小企業ならではの課題も存在しており、これらを理解した上で取り組むことが重要です。

メリット

中小企業における障がい者雇用のメリットは以下の通りです。

・人材の戦力化で経営改善につながる
・職場環境の改善につながる
・労働生産性がアップする

業務を細分化し、障がい特性や能力に応じた業務選定を行うことで、障がい者が真に戦力として活躍できる職場づくりが可能になります。

また、職場環境の改善も期待されます。障がい者に指示や作業手順をわかりやすく伝えようとする配慮の姿勢が組織全体に広がることで、コミュニケーションが活性化します。心理的安全性の高い職場が実現することで、企業全体の生産性向上にもつながります。

さらに、労働生産性の向上も見込まれます。障がい者が働きやすいように業務の流れや配置を整理することで、健常者社員も作業しやすくなり、会社全体の効率が上がります。

主な課題

中小企業における障がい者雇用では、以下のような課題も見られます。

・環境整備、人材育成、労務管理などのリソースが足りない
・障がい特性に応じた対応方法がわからない

主に、管理負担が大きな課題となりやすい傾向があります。大企業と比べてリソースが限られる中小企業では、自社の人員体制だけで障がい者の雇用管理を行うことが難しいケースが少なくありません。

障がいの特性に応じた対応方法がわからないという声も多く聞かれます。障がい特性に応じた適切な業務選定や配慮の仕方、コミュニケーション方法など、専門的な知識やノウハウが不足していることが、雇用を躊躇する要因です。

中小企業が障がい者雇用を効果的に進めるには

障がい者雇用を効果的に進めるためには、専門機関などのサービスをうまく活用し、他社の成功事例を研究することが重要です。自社だけでノウハウを築くのではなく、既存の支援制度や実績ある取り組みを参考にすることで、スムーズな雇用推進が可能になります。

支援機関との連携

ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターといった支援機関と連携することが効果的です。これらの機関では、採用計画の立案から職場定着まで専門的な支援を受けられます。

障害者職業カウンセラーなどの専門家が、企業の状況に応じた具体的なアドバイスを提供してくれます。

また、民間のサービスによる支援も有力な選択肢となります。例えばサテライトオフィス型障害者雇用サービスでは、専門スタッフが従業員の雇用管理を担当してくれるため、自社のリソースが限られている中小企業でも安心して障がい者雇用に取り組めます。

業務の切り出しから日常的な支援まで、専門知識を持ったスタッフがサポートする体制が整っています。

関連記事:「障がい者雇用向けサテライトオフィスとは?メリット、費用、おすすめサービスを紹介

他社事例を参照する

障がい者雇用に積極的に取り組んでいる企業の事例や、合理的配慮の提供事例を参照することで、自社での実践に役立つヒントを得られます。

例えば、ハローワークや地域障害者職業センターでは障がい者雇用の成功事例を豊富に収集しているため、相談することで自社に適した取り組み方を見つけられます。実際に障がい者を雇用している企業の見学や、担当者との意見交換を通じて、具体的なイメージを持つことができます。

また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が提供する「障害者雇用事例リファレンスサービス」でも、業種や障がい種別、企業規模などの条件で企業事例を検索して調べることが可能です。

中小企業が検討しやすい助成金

障がい者雇用を支援する助成金制度は複数用意されています。それぞれ支給要件が細かく規定されているため、詳細をしっかりと確認した上で活用することが重要です。ハローワークや労働局に相談しながら、自社に適した助成金を選びましょう。

※助成金の内容は令和7年12月の情報に基づいています。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金では8つのコースがあり、そのうち障がい者雇用で活用できるのは以下の2コースです。それぞれの制度内容、助成額、支給条件を紹介します。

・特定就職困難者コース
・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

特定求職者雇用開発助成金【特定就職困難者コース】

ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として障がい者を雇い入れる事業主に対して助成される制度です。

対象労働者の類型と企業規模に応じて支給額は異なり、中小企業の場合、受給対象者1人あたりの助成額は以下の通りです。

▼短時間労働者以外の者

対象労働者

支給額

助成対象期間

重度障がい者等を除く身体・知的障がい者

120万円

2

重度障がい者等(※)

240万円

3


※重度障がい者等:重度の身体・知的障がい者、45歳以上の身体・知的障がい者及び精神障がい者のこと。
※短時間労働者:一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である労働者のこと。

▼短時間労働者

対象労働者

支給額

助成対象期間

重度障がい者等を含む身体・知的・精神障がい者

80万円

2

短時間労働者を雇用する場合も対象です。支給は半年ごとに分割して行われ、雇用の継続性を確認しながら段階的に受給できる仕組みとなっています。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金【発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース】

発達障がい者や難病患者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主が対象です。中小企業の場合、受給対象者1人につき支給額は以下の通りです。

対象労働者

支給額

助成対象期間

短時間労働者以外の者

120万円

2

短時間労働者

80万円

2

発達障がい者や難病患者は障害者手帳を持たない場合もありますが、この助成金では医師の診断書等により対象となります。企業にとって、これまで接点が少なかった人材の雇用を後押しする制度です。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、障がい者を原則3ヵ月雇用して適性や能力を判断する「障害者トライアル雇用」を実施する際に活用できる制度です。障がい者の労働時間に応じて、以下の2コースから選べます。

・障害者トライアルコース
・障害者短時間トライアルコース

参考:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

関連記事:「障がい者トライアル雇用で活用できる助成金は?注意点も解説!

障害者トライアルコース

ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障がい者を一定期間雇用し、その適性や業務遂行可能性を見極める制度です。

受給対象者1人あたりの支給額は、以下の通りです。

対象労働者

支給内容

精神障がい者

月額最大8万円を3ヵ月

その後月額最大4万円を3ヵ月(最長6ヵ月間)

精神障がい者以外の者

月額最大4万円(最長3ヵ月間)

実際に働く様子を確認してから本採用を判断できるため、障がい者雇用が初めての企業でも不安を軽減しながら雇用を進められます。

障害者短時間トライアルコース

精神障がい者または発達障がい者で、週20時間以上の就業が難しい方を対象とした制度です。

受給対象者1人あたりの支給額は、以下の通りです。

月額最大4万円(最長12ヵ月間)

段階的に労働時間を増やしていくことで、無理なく職場定着を図れる仕組みで、精神障がい者や発達障がい者の特性に配慮した雇用を実現できます。

まとめ

障がい者雇用は、法定雇用率の達成という法的義務であると同時に、企業にとって人材確保や職場環境改善につながる重要な経営課題です。

障がい者雇用や障がい者法定雇用率の達成でお悩みなら、サテライトオフィス型障がい者雇用支援サービス「サテラボ」にご相談ください。中小企業が特に悩みやすい管理負担の軽減を実現し、専門のスタッフが業務の切り出しから日常的な支援まで一貫してサポートします。助成金申請のサポートも行っているため、煩雑な手続きもスムーズに進められます。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

お役立ち資料

download