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障害者雇用の社名公表基準とは?未達成のリスクと回避策を解説

公開日:
2026.02.27
最終更新日:
2026.02.27

2024年4月から法定雇用率が2.5%へ引き上げられ、企業における障害者雇用の重要性はますます高まっています。雇用率が未達成の企業にとって、もっとも避けたい事態の一つが厚生労働省による「社名公表」です。

社名公表は、単に雇用率が未達であるという事実だけでなく、改善の意思や取り組みが不十分であるとみなされた場合に実施される厳しい措置です。

本記事では、社名公表に至る具体的な基準や行政指導の流れ、公表された場合のリスクについて詳しく解説します。最新の法改正情報を踏まえ、企業がとるべき回避策を確認していきましょう。

障害者雇用における「社名公表」の基準と公表までの流れ

障害者雇用の法定雇用率を達成していないからといって、直ちに社名が公表されるわけではありません。厚生労働省は、段階的な行政指導を行い、それでもなお改善が見られない場合に限り公表を行うというプロセスを定めています。

ここでは、どのような状態が指導の対象となり、どのような経緯をたどって公表に至るのか、その基準とタイムラインを解説します。

厚生労働省が定める社名公表の具体的な基準

社名公表は、行政による一連の指導プロセスにおける最終手段と位置づけられています。公表の対象となるかどうかを判断する前提として、まずは「雇入れ計画作成命令」の対象になるかどうかが重要です。この命令は、雇用状況の改善が必要な企業に対して発出されるもので、実質的に社名公表への「入り口」となります。

「雇入れ計画作成命令」の対象となる3つの要件

厚生労働省は、以下のいずれかの要件に該当する企業に対し、障害者の雇入れ計画を作成するよう命じます。これは「実雇用率」や「不足数」に基づく明確な数値基準です。

  • 実雇用率が前年の全国平均実雇用率未満であり、かつ障害者の不足数が5人以上である場合
  • 障害者の不足数が10人以上である場合
  • 法定雇用障害者数が3人または4人であり、雇用している障害者数が0人である場合

2024年4月より法定雇用率が2.5%に引き上げられたことで、これまで基準をクリアしていた企業でも不足数が発生し、この要件に該当するリスクが高まっています。

参照:厚生労働省 障害者雇用の基本対策

公表が決定される最終的な判断基準

上記の命令を受けて作成した「雇入れ計画」に基づき採用活動を行っても、計画期間終了後に改善が見られない場合、さらに「特別指導」が行われます。社名公表が決定されるのは、この特別指導を経てもなお、以下の状態が続いていると判断された場合です。

  • 障害者の雇用状況に改善が見られない
  • 行政指導に対する協力姿勢が欠けている
  • 正当な理由なく雇入れ計画を適正に実施していない

つまり、単に数字が未達であることだけでなく、改善に向けたプロセスや努力の欠如が、公表を決定づける大きな要因となります。

未達成から社名公表に至るまでの期間とステップ

法定雇用率の未達成が判明してから社名公表に至るまでには、通常2年〜3年程度の期間があります。この間、企業には複数回の改善機会と行政によるサポートが提供されます。公表を回避するためには、各段階での適切な対応が不可欠です。

ステップ1:行政指導と「雇入れ計画」の作成命令

毎年6月1日時点の「障害者雇用状況報告(ロクイチ報告)」に基づき、未達成企業が特定されます。前述の基準に該当する企業には、翌年1月を始期とする「雇入れ計画」の作成命令が出されます。

この計画期間は通常2年間です。企業はハローワークの指導を受けながら、計画に沿って採用活動を進めます。もし計画1年目の終了時点(12月末)で実施状況が悪いと判断された場合、計画の「適正実施勧告」が行われ、より強力な指導へと移行します。

ステップ2:適正実施勧告と特別指導期間

2年間の計画期間が終了しても改善目標が達成されなかった場合、社名公表を前提とした「特別指導」の対象となります。特別指導期間は計画終了後の9ヶ月間です。

この期間中は、労働局やハローワークによる集中的な指導が行われ、経営者に対する事情聴取なども実施される場合があります。この最終段階でも改善が見られないと判断された場合、厚生労働省本省との協議を経て、最終的に社名の公表が行われます。

社名公表が企業に与えるリスクとデメリット

万が一、社名が公表されてしまった場合、企業が被る不利益は計り知れません。障害者雇用促進法に基づく公表は、単なる「未達成リスト」の開示ではなく、行政指導に従わなかった企業としての社会的評価を下すものです。

ここでは、経営に直結する具体的なリスクとデメリットについて深掘りします。

企業イメージの低下と採用活動への悪影響

現代の企業経営において、コンプライアンス遵守やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは、企業価値を左右する重要な指標です。社名公表は、これらの観点からネガティブな影響を及ぼします。

「コンプライアンス違反」によるブランド毀損

社名公表が行われると、その情報は厚生労働省のホームページだけでなく、ニュースメディアやSNSを通じて拡散される可能性があります。「障害者雇用を軽視している」「法令を守らない企業である」というレッテルは、長年培ってきた企業ブランドを一瞬で傷つけます。

特にBtoC企業の場合、消費者からの不買運動や批判的な口コミにつながるリスクもあり、売上への直接的な打撃も懸念されます。また、取引先企業がサプライチェーン全体のコンプライアンスを重視している場合、取引停止や契約見直しの対象となる可能性も否定できません。

人材確保への深刻なデメリット

採用市場においても、社名公表の影響は深刻です。近年の求職者、特にZ世代やミレニアル世代は、企業の社会的責任(CSR)や多様性(ダイバーシティ)への姿勢を重視して就職先を選ぶ傾向にあります。

「障がいのある方を雇用しない企業=人を大切にしない企業」というイメージが定着すると、障害者採用だけでなく、一般の新卒・中途採用においても応募者数の減少を招きます。優秀な人材が競合他社に流れてしまうことは、長期的な競争力の低下を意味します。

公共入札への参加制限や行政指導の強化

評判やブランドといった無形の資産だけでなく、実務面や収益面においても直接的なペナルティが発生する場合があります。特に行政との取引がある企業にとっては、事業継続に関わる重大な問題となり得ます。

官公庁・自治体の入札資格への影響

多くの自治体や官公庁では、公共工事や物品調達の入札参加資格において、障害者雇用の達成状況を評価項目としています。社名公表の対象となった企業や、雇用率が著しく低い企業に対しては、以下のような措置が取られることがあります。

  • 入札参加資格の停止(一定期間の入札禁止)
  • 入札審査における評価点(加点)の減点
  • 入札参加要件からの除外

これにより、公共事業を主軸としている企業の場合、受注機会を失い、経営基盤が揺らぐリスクがあります。

継続的な指導による業務負荷の増大

社名が公表された後も、障害者雇用の義務が免除されるわけではありません。定期的な状況報告書の作成、行政担当者との面談、改善計画の再提出など、対応に要する工数は膨大です。

人事担当者がこれらの対応に追われることで、本来の採用活動や人材育成業務に支障をきたすという悪循環に陥るケースも少なくありません。

社名公表を回避するための対策と雇用率達成のポイント

社名公表のリスクを回避し、企業の社会的責任を果たすためには、早期かつ具体的なアクションが必要です。数合わせの採用ではなく、定着を見据えた本質的な取り組みが、結果として最短の回避策となります。

「雇入れ計画」の策定と行政との連携

行政指導の対象となった場合、まず求められるのが実現可能な「雇入れ計画」の作成です。この計画は単なる書類作成ではなく、企業がどのように障害者雇用を進めるかのロードマップとなります。

ハローワーク等との密な連携

計画策定においては、ハローワークの専門官と密に連携することが重要です。自社の業務内容や課題を正直に相談し、どのような人材であれば採用可能か、どのような支援が受けられるかを確認しましょう。行政側も、改善の意思があり相談に来る企業に対しては、公表ありきではなく、支援重視のスタンスで対応してくれます。

また、計画の進捗状況を定期的に報告し、採用が難航している場合でも「活動実績」を残すことが大切です。面接の実施回数やハローワークへの求人公開など、具体的な行動履歴は、改善の意思を示す証拠となります。

業務の切り出しと採用・定着支援の活用

障害者雇用の社名公表を回避するためには、計画を立てるだけでなく、実効性のある採用活動を行い、確実に雇用率を向上させなければなりません。しかし、多くの企業が直面するのが「社内に障がいのある方に任せられる仕事がない」という課題です。

社名公表の対象となる企業の多くは、この課題を解決できずに採用活動が停滞しています。ここでは、業務の切り出しから採用、そして定着に至るまでの具体的な実務ポイントを解説します。

社内業務の棚卸しと切り出しの具体的な手法

障害者雇用を進める上で最初に取り組むべきは、既存の業務プロセスを見直し、障害のある社員が担える業務を見つけ出す「業務の切り出し(職域開発)」です。これは、特定の部署だけで行うのではなく、全社的な視点で実施することが重要です。

まずは、各部署で行われている業務を細かくリストアップする「棚卸し」から始めます。例えば、総務や人事といったバックオフィス部門だけでなく、営業部門や製造部門における補助的なタスクにも目を向けましょう。

データ入力、書類の整理・発送、備品管理、清掃、社内便の集配など、一つひとつは細かな作業であっても、それらを集約することで一人分の業務として成立するケースが多々あります。

また、業務を切り出す際は、難易度や求められるスキルによって分類することも有効です。定型的な作業が得意な方にはマニュアル化しやすい業務を、ITスキルを持つ方にはウェブサイトの更新やログ解析を任せるなど、障がい特性に応じたマッチングを想定しながら切り出しを行うことで、生産性の向上にもつながります。

就労移行支援事業所など外部機関との連携強化

業務の切り出しができたら、次は適切な人材の採用です。ハローワークへの求人公開は基本ですが、それだけでは十分な母集団形成が難しい場合があります。そこで活用したいのが、就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターといった外部の支援機関です。

就労移行支援事業所は、障害のある方が一般就労を目指して訓練を行う場所であり、利用者のスキルや特性を深く理解しています。企業が求めている人物像や切り出した業務内容を支援機関の担当者に詳しく伝えることで、より精度の高いマッチングが期待できます。

また、採用選考のプロセスに「実習」を取り入れることも、ミスマッチを防ぐための有効な手段です。数日から数週間程度、実際の職場で業務を体験してもらうことで、企業側は本人のスキルや適性を確認でき、求職者側も職場の雰囲気や業務内容を理解できます。

支援機関と連携していれば、実習中に支援員が立ち会い、業務遂行のサポートやアドバイスを受けることも可能です。

助成金制度を活用した採用コストと環境整備の支援

障がいのある方を雇用するにあたっては、作業設備の改善や手話通訳者の配置など、環境整備にコストがかかる場合があります。また、業務に慣れるまでの期間は、どうしても指導担当者の負担が増える傾向にあります。こうした経済的な負担を軽減するために、国は様々な助成金制度を用意しています。

代表的なものとして、ハローワーク等の紹介により障がいのある方を雇い入れる場合に支給される「特定求職者雇用開発助成金」や、障害者を試行的に雇用して適性を見極めるための「トライアル雇用助成金」があります。これらを活用することで、採用初期のコスト負担を抑えつつ、安定した雇用体制を築くことができます。

さらに、障がいのある方のために施設や設備の改善を行った場合に支給される「障害者雇用納付金制度」に基づく各種助成金もあります。社名公表のリスクがある企業こそ、こうした制度をフル活用し、経営へのインパクトを最小限に抑えながら雇用環境を整えていく戦略が求められます。

障害者の職場定着を実現する環境整備とマネジメント

社名公表を回避するためには、単に採用数を増やすだけでは不十分です。せっかく採用してもすぐに離職してしまえば、再び雇用率が低下し、行政指導の対象となるリスクが消えないからです。したがって、「採用」と同じくらい、あるいはそれ以上に「定着」に向けた取り組みが重要となります。

ハード面とソフト面の両輪で行うバリアフリー化

職場環境の整備には、物理的な「ハード面」と、心理的・制度的な「ソフト面」の両方からのアプローチが必要です。ハード面では、スロープの設置や多目的トイレの整備、照明の明るさ調整などが挙げられますが、これらは大規模な工事を伴わなくとも、座席配置の工夫や机の高さ調整など、すぐにできることから始めることが大切です。

一方、ソフト面のバリアフリー化は、日々の業務遂行に直結します。例えば、視覚的な情報処理が得意な方には、口頭指示だけでなく図や写真を使ったマニュアルを用意したり、聴覚に障害がある方にはチャットツールを活用したりするなど、障がい特性に合わせた配慮が求められます。

こうした「合理的配慮」は、法律で義務付けられている事項でもあります。どのような配慮が必要かは一人ひとり異なるため、本人と十分に対話し、双方が納得できる環境を一緒に作り上げていくプロセス自体が、信頼関係の構築と定着率向上につながります。

ジョブコーチ(職場適応援助者)による専門的サポート

障害者雇用における定着支援の切り札として注目されているのが、「ジョブコーチ(職場適応援助者)」の活用です。ジョブコーチは、障がいのある社員が職場に適応できるよう支援するだけでなく、企業の担当者や現場社員に対しても、障がい特性の理解や指導方法についてのアドバイスを行います。

社名公表のリスクがある企業や、初めて障害者雇用に取り組む部署では、現場の社員が「どのように接すればよいかわからない」「指導がうまくいかない」といった悩みを抱えがちです。専門家であるジョブコーチが入ることで、こうした現場の不安を解消し、スムーズな業務遂行をサポートしてくれます。

ジョブコーチには、地域障害者職業センターなどから派遣される「配置型」「訪問型」と、自社の社員が研修を受けて資格を取得する「企業在籍型」があります。状況に応じてこれらのリソースを使い分けることで、持続可能な支援体制を構築できます。

現場社員への理解促進とサポート体制の構築

障害者雇用を成功させるための最大の鍵は、実際に一緒に働く現場社員の理解と協力です。人事主導で採用を進めても、受け入れ先の現場に理解がなければ、障がいのある社員は孤立し、早期離職につながってしまいます。

これ防ぐためには、配属前に現場向けの研修を実施し、障がいの特性や必要な配慮事項について正しく伝えることが不可欠です。ただし、配慮が必要だからといって「腫れ物に触る」ような扱いをするのではなく、あくまで共に働く仲間として接するという意識醸成が重要です。

また、特定の社員だけに負担が偏らないよう、チーム全体でサポートする体制を作ることもマネジメントの役割です。定期的な面談の実施や、困ったときにすぐに相談できる窓口の設置など、心理的安全性を高める仕組みづくりが、結果として社名公表リスクの根本的な解消に寄与します。

障害者雇用は法的義務から企業の成長戦略へ

ここまで、障害者雇用の社名公表に至る基準やプロセス、公表された場合のリスク、そして回避するための具体的な対策について解説してきました。

社名公表は、企業にとって社会的信用の失墜や経済的損失を招く重大なリスクです。しかし、これを単なる「避けるべきペナルティ」として捉えるのではなく、企業経営を見直す機会として捉え直すことが重要です。

多様な人材が活躍する組織づくりによる競争力強化

法定雇用率の達成や社名公表の回避は、あくまで守りの対策に過ぎません。これからの時代に求められるのは、障害の有無に関わらず、多様な人材がそれぞれの能力を発揮できる組織づくり、すなわちダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)の推進です。

障害者雇用に真摯に取り組む過程で得られる「業務プロセスの可視化」や「マニュアルの整備」、「個々の特性に合わせたマネジメント」といったノウハウは、障害者だけでなく、育児・介護中の社員や外国人社員など、あらゆる従業員にとって働きやすい環境を作る土台となります。

働きやすい環境は、従業員エンゲージメントの向上や離職率の低下をもたらし、結果として組織全体の生産性と競争力を高めることにつながります。

リスク管理を超えた企業価値の向上とESG投資

また、投資家やステークホルダーの視点も変化しています。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視するESG投資が拡大する中、障害者雇用への取り組みは「Social(社会)」の分野における重要な評価指標の一つです。

社名公表のリスクを回避し、積極的に障害者雇用を進める姿勢を示すことは、企業の社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、投資家や顧客からの信頼を獲得し、企業価値を向上させるための戦略的なアクションとなります。

「障害者が活躍している企業」というポジティブなブランドイメージは、優秀な人材の獲得や新たなビジネスチャンスの創出にも寄与するでしょう。

2024年の法定雇用率引き上げを一つの契機として、法令遵守の枠を超えた「攻めの障害者雇用」へと転換できるかどうかが、今後の企業の持続的成長を左右すると言っても過言ではありません。社名公表というリスクを正しく理解した上で、今できる対策から着実に実行に移していきましょう。

障害者雇用の社名公表に関するよくある質問

障害者雇用の社名公表制度は、その影響の大きさから多くの企業担当者が不安を抱くテーマです。法令の解釈や運用ルールが複雑なため、疑問点も多岐にわたります。

ここでは、社名公表や雇用率達成に関して、現場からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。正しい知識を持つことで、不測の事態を防ぎ、適切な対応を取ることが可能になります。

社名公表の前に事前通知や警告はありますか?

突然、厚生労働省のホームページなどで社名が公表されることはありません。記事内でも解説した通り、公表に至るまでには複数回の行政指導というプロセスが存在します。具体的には、雇入れ計画作成命令、適正実施勧告、そして特別指導といった段階を踏みます。

最終的に社名公表が決定される前には、企業に対して弁明の機会(意見陳述の機会)が与えられます。また、事前に「公表の前提となる特別指導期間」についての通知も行われます。したがって、企業側は公表のリスクが迫っていることを事前に認識することが可能です。重要なのは、行政からの通知や指導を放置せず、誠実に対応することです。

納付金を支払っていれば社名公表は回避できますか?

「障害者雇用納付金」を支払っているからといって、社名公表が免除されるわけではありません。納付金制度は、障害者を雇用している企業とそうでない企業の経済的な負担を調整するための仕組みであり、雇用義務の代替措置ではないからです。

法定雇用率が未達成であれば、納付金の支払い有無に関わらず、行政指導の対象となります。納付金を支払うことは法律上の義務ですが、それだけで「社会的責任を果たした」とはみなされません。

あくまで障害者を実際に雇用し、法定雇用率を達成するための努力が求められます。金銭解決ではなく、実雇用率の向上が唯一の回避策であると認識しておきましょう。

一度公表された社名はいつまで掲載され続けるのですか?

社名公表の掲載期間について、法律で一律の期間が定められているわけではありませんが、一般的には次回の公表タイミングまで、あるいは一定の改善が確認されるまで掲載される傾向にあります。

ただし、公表後も改善に向けた指導は継続されます。企業が真摯に取り組み、雇用状況が改善して法定雇用率を達成した場合や、特例的な事情が解消された場合には、公表リストから削除されることもあります。

逆に、改善が見られない場合は、翌年度も継続して公表対象となるリスクがあります。公表されてしまった場合でも、速やかに改善計画を実行し、実績を行政に示すことが名誉挽回の最短ルートです。

2024年の法改正で短時間労働者のカウントはどう変わりましたか?

2024年4月の法改正では、精神障害者の雇用促進を目的として、短時間労働者の算定特例が導入されました。これにより、特定の条件を満たす精神障害者のパートタイム労働者(週所定労働時間が10時間以上20時間未満)について、実雇用率の算定上「0.5人」としてカウントできるようになりました。

これまでは20時間未満の労働者は雇用率の算定対象外でしたが、この改正により、長時間勤務が難しい精神障害者の方を雇用しやすくなります。

企業にとっては、柔軟な働き方を提供することで雇用率を上げられるメリットがあり、求職者にとっては就労機会の拡大につながります。この制度をうまく活用することで、社名公表のリスクを低減できる可能性があります。

まとめ

障害者雇用の社名公表は、法定雇用率未達成の企業に対し、段階的な行政指導を経ても改善が見られない場合に行われる措置です。

公表されれば、企業ブランドの毀損や公共入札への参加制限など、経営に深刻な影響を及ぼしかねません。このリスクを回避するためには、ハローワーク等の支援機関と連携し、計画的な採用活動と定着支援を進めることが重要です。

企業は数合わせの採用に終始するのではなく、業務の切り出しや環境整備を通じて、障害のある社員が長く活躍できる体制を整える必要があります。障害者雇用への取り組みを単なる法令順守のコストとしてではなく、多様性を受け入れる組織改革やESG経営の一環として捉え直すことが、結果として企業の持続的な成長につながります。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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