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障害者雇用の有給休暇ガイド|付与日数や通院・欠勤時の対応

公開日:
2026.02.27
最終更新日:
2026.02.27

障害者雇用枠での就労を検討されている方や、現在働いている方にとって、長く安定して働くためには休暇制度の理解が欠かせません。特に障害者雇用の有給に関するルールは、一般雇用と違いがあるのか、通院のために使っても良いのかなど、多くの疑問が寄せられるテーマです。

結論から言えば、障害者雇用であっても労働基準法が適用され、条件を満たせば有給休暇は付与されます。本記事では、有給休暇の付与日数や取得条件の基本から、通院時に活用できる合理的配慮、さらには有給を使い切った後の欠勤対応までを徹底解説します。安心して働くための知識として、ぜひお役立てください。

障害者雇用における有給休暇の基本ルールと付与日数

「障害者枠で採用された場合、有給休暇の扱いはどうなるのか」と不安に感じる求職者は少なくありません。しかし、雇用形態が障害者雇用枠であったとしても、労働契約を結ぶ労働者である以上、法律上の扱いに変わりはありません。

日本の労働基準法において、年次有給休暇(有給)は労働者の権利として定められています。障がいの有無や障がい種別に関わらず、所定の要件を満たしたすべての労働者に対して、企業は有給休暇を付与する義務があります。ここではまず、基本的な付与のルールと、勤務形態による日数の違いについて詳しく見ていきましょう。

一般雇用との違いはない?付与条件の仕組み

障害者雇用だからといって、一般雇用と比べて有給休暇の日数が少なくなったり、付与条件が厳しくなったりすることはありません。労働基準法第39条に基づき、以下の2つの条件を満たした時点で、法律で定められた日数の有給休暇が付与されます。

1つ目の条件は「雇入れの日から6か月間継続勤務していること」、2つ目の条件は「その期間の全労働日の8割以上出勤していること」です。この「全労働日」には、会社都合の休業期間や、業務上の負傷・疾病による療養期間なども出勤とみなして計算されます。

週30時間以上の勤務における付与日数

週の所定労働時間が30時間以上、または週所定労働日数が5日以上の場合は、フルタイム勤務(一般の正社員など)と同様の付与日数が適用されます。これを「通常の付与」と呼びます。

入社から6か月経過し、出勤率の要件を満たせば、最初に10労働日の有給休暇が付与されます。その後は勤続年数が1年増えるごとに付与日数が増加し、最大で年間20日付与されるようになります。以下の表は、通常の付与における勤続年数ごとの日数一覧です。

勤続年数付与される有給休暇日数
0.5年(6か月)10日
1.5年11日
2.5年12日
3.5年14日
4.5年16日
5.5年18日
6.5年以上20日

パート・短時間勤務の場合の比例付与

障がい特性や体調への配慮から、短時間勤務を選択する方も多くいらっしゃいます。週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)の場合は、「比例付与」という仕組みが適用されます。

比例付与とは、その名の通り、働く日数や時間に比例して有給休暇の日数を定める制度です。フルタイムに比べて労働日が少ない分、付与される有給休暇の日数も調整されますが、全く付与されないわけではありません。ご自身の契約内容を確認し、正しい日数を把握しておくことが大切です。

週の労働日数ごとの付与日数詳細

比例付与の具体的な日数は、週の所定労働日数(または1年間の所定労働日数)によって細かく決められています。例えば、週4日勤務の方であれば、半年経過後に7日が付与されます。週3日勤務であれば5日となります。

この仕組みにより、たとえ週1日の勤務であっても、6か月間継続して勤務し要件を満たせば、1日の有給休暇が付与されます。「パートだから有給はない」というのは誤った認識ですので注意が必要です。以下の表で、週の労働日数ごとの初回付与(6か月経過時点)および最大付与日数の例を確認してください。

週所定労働日数6か月経過時の付与日数6.5年以上経過時の最大付与日数(年間)
4日7日15日
3日5日11日
2日3日7日
1日1日3日

通院や体調不良への配慮と「合理的配慮」の活用

障がいのある方が働く上で、定期的な通院や急な体調不良は避けられない課題の一つです。有給休暇は、リフレッシュだけでなく通院のために使用することも可能ですが、通院頻度が高い場合、有給休暇だけでは日数が足りなくなってしまう懸念があります。

そこで重要になるのが、障害者雇用促進法に基づく「合理的配慮」の考え方です。企業は、障がいのある労働者が能力を発揮して働けるよう、過度な負担にならない範囲で配慮を提供する義務があります。有給休暇の消化だけに頼らず、柔軟な働き方の制度を活用することで、安定した就労を維持する方法について解説します。

通院休暇やフレックスタイム制の導入事例

多くの企業では、障害者雇用の定着支援の一環として、法定の有給休暇以外にも独自の休暇制度や勤務制度を設けている場合があります。これらは就業規則や雇用契約によって定められており、うまく活用することで有給休暇を温存しつつ、必要な医療ケアを受けることが可能です。

例えば、「通院休暇」という制度を設けている企業があります。これは通常の有給休暇とは別に、通院のために月1回〜数回の休暇を認めるものです。有給(給与が出る)か無給(給与は出ないが欠勤扱いにならない)かは企業によって異なりますが、人事評価への影響を抑えられるメリットがあります。

フレックスタイム制と時差出勤の活用

休暇を取得するまでもない短時間の通院や、服薬の影響で朝の体調が優れない場合には、フレックスタイム制や時差出勤制度が有効です。フレックスタイム制では、必ず勤務すべき「コアタイム」を除き、始業・終業時刻を自分で調整できます。

例えば、朝に通院してから11時に出社したり、夕方の通院に合わせて16時に退社したりといった調整が可能です。また、時差出勤制度を使えば、混雑する通勤ラッシュを避けて出社時間をずらすことができ、身体的・精神的な負担軽減にもつながります。これらは合理的配慮の一環として相談可能な項目です。

中抜け制度と時間単位年休

1日休むほどではない通院の場合、勤務時間の途中で一時的に外出する「中抜け」を認めている企業もあります。中抜けした時間を休憩時間として扱ったり、後で勤務時間を延長して補ったりする運用が一般的です。

また、有給休暇を1日単位ではなく、1時間単位で取得できる「時間単位年休」制度を導入している企業も増えています。

これを利用すれば、通院にかかる2〜3時間分だけ有給を使用できるため、貴重な有給休暇の日数を効率的に使うことができます。ただし、時間単位年休は労使協定が必要な制度であるため、勤務先に制度があるか確認が必要です。

企業への相談方法と合理的配慮の求め方

通院への配慮や勤務時間の調整を希望する場合、企業に対して適切に事情を伝え、相談する必要があります。合理的配慮は「申し出」によって検討プロセスが開始されるため、労働者側からの発信が重要です。しかし、どのように伝えれば良いか迷う方も多いでしょう。

重要なのは、「どのような配慮があれば業務を遂行できるか」を具体的に提示することです。単に「休みが欲しい」と伝えるのではなく、通院の頻度や時間帯、それが業務に与える影響と、配慮によってどのように改善されるかをセットで説明すると、企業側も検討しやすくなります。

面接時や入社前の伝え方

これから就職活動を行う場合や、選考中の段階であれば、面接時や内定後の面談で通院事情を伝えておくのがベストです。「月に1回、平日の午前に通院が必要です」「服薬調整のため、3ヶ月に1度は有給休暇を使わせていただきたいです」など、具体的な見通しを共有しましょう。

事前に伝えておくことで、企業側も配慮を前提とした業務配分やチーム体制を準備できます。これを隠して入社し、後から頻繁に休むことになると、業務への支障が生じ、信頼関係にも影響しかねません。可能な限りオープンに話し合い、互いに納得できる条件を確認することが長期就労への近道です。

入社後に配慮を求めるフロー

すでに入社している場合や、就労中に体調が変化して通院が必要になった場合は、直属の上司や人事担当者に相談を申し入れます。まずは口頭で相談のアポイントを取り、落ち着いて話せる場で事情を説明しましょう。

その際、医師の診断書や意見書があると、企業側も配慮の必要性を客観的に判断しやすくなります。また、自分一人で交渉するのが難しい場合は、就労移行支援事業所の担当者や、障害者就業・生活支援センターの支援員に同席してもらうのも有効な手段です。第三者の専門家が入ることで、企業との調整がスムーズに進むケースが多くあります。

有給を使い切った後の欠勤対応と労務管理

体調が安定せず、付与された有給休暇をすべて使い切ってしまった場合、その後の休みは基本的に「欠勤」扱いとなります。欠勤が続くと、給与への影響だけでなく、雇用の継続そのものに関わる問題へと発展する可能性があります。

有給休暇がなくなった後の対応については、企業の就業規則によって細かく定められています。いざという時に慌てないよう、欠勤時の給与計算のルールや、長期欠勤から休職制度への移行プロセスについて、正しい知識を持っておくことが大切です。ここでは、労務管理の視点から欠勤対応の仕組みを解説します。

欠勤・休職制度の仕組みと給与の扱い

有給休暇は「給与が支払われる休暇」ですが、それを使い切った後に会社を休む場合は「欠勤」となり、原則としてその日分の給与は支払われません。これを労働法上の原則で「ノーワーク・ノーペイ(働かざるもの支払うべからず)」と呼びます。

月給制であっても、欠勤日数分は日割り計算で給与から控除されるのが一般的です。欠勤が数日であれば給与が減るだけで済みますが、欠勤が長期化したり頻繁に発生したりすると、就業規則に基づき懲戒処分の対象となったり、退職勧奨を受けたりするリスクも生じます。

休職制度の適用と判断基準

病気や怪我で長期間の療養が必要になった場合、多くの企業では「休職制度」を設けています。これは、業務に就くことが困難な従業員に対し、解雇を猶予して治療に専念させるための期間です。

休職が適用される条件や期間(例えば3ヶ月〜1年など)は、法律ではなく各企業の就業規則で決められています。「欠勤が連続〇〇日続いた場合」や「医師により〇ヶ月の療養が必要と診断された場合」などが一般的な適用基準です。

ただし、勤続年数が短い場合や試用期間中は休職制度の対象外となるケースもあるため、自社の規定を必ず確認しましょう。

傷病手当金の活用による生活保障

欠勤や休職期間中は、会社からの給与が支給されないケースがほとんどです(無給)。その間の生活を支えるための公的な制度として、健康保険から支給される「傷病手当金」があります。

傷病手当金は、病気や怪我で働けず給与が出ない場合に、最長で1年6ヶ月の間、標準報酬日額の約3分の2が支給される制度です。障害者雇用枠で社会保険(健康保険)に加入していれば、この制度を利用できます。有給休暇を使い切り、欠勤が続いて収入が途絶えてしまう場合には、早めに申請を検討すべきセーフティネットと言えます。

長期欠勤時の連絡ルールと定着支援

体調悪化により休みがちになったり、長期欠勤に入ったりする場合、最も重要なのは「企業との連絡を絶やさないこと」です。無断欠勤は企業からの信用を大きく損ない、最悪の場合は懲戒解雇の事由にもなり得ます。

欠勤する場合の連絡方法(電話、メール、チャットなど)や連絡のタイミング(始業の何分前までなど)は、職場のルールに従って徹底しましょう。長期欠勤中は、定期的に現状報告を入れることで、復職の意思があることを会社に伝え続けることが重要です。

支援機関や産業医との連携

休みがちになる背景には、単なる体調不良だけでなく、業務内容のミスマッチや職場の人間関係、環境の変化など、さまざまな要因が隠れていることがあります。こうした課題を解決するためには、企業内の産業医や保健師、または外部の支援機関と連携することが効果的です。

特に障害者就業・生活支援センターや就労定着支援事業所のスタッフは、企業と労働者の間に入って調整を行うプロフェッショナルです。欠勤が続く原因を一緒に分析し、業務量の調整や配置転換、環境調整などを企業に働きかけてくれる場合があります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りて就労定着を目指しましょう。

まとめ

障害者雇用であっても、労働基準法に基づき条件を満たせば有給休暇は付与されます。週の労働時間や日数によって「通常付与」か「比例付与」かが決まりますが、一般雇用と基本的なルールに違いはありません。「障害者雇用 有給」に関する正しい知識を持ち、自身の付与日数を確認しておきましょう。

通院や体調不良への対応としては、有給休暇だけでなく、通院休暇やフレックスタイム制といった合理的配慮を活用することが有効です。企業へ事情を伝え、柔軟な働き方を相談することで、有給を適切に管理しながら安定した就労を目指せます。

もし有給を使い切ってしまった場合でも、休職制度や傷病手当金などのセーフティネットが活用できる可能性があります。欠勤が続く際は一人で悩まず、支援機関や産業医と連携し、長期的な視点で働き続けられる環境を整えていきましょう。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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