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障害者雇用は生活できない?給料が低い理由と生活を安定させる解決策

公開日:
2026.01.29
最終更新日:
2026.01.29

「障害者雇用で働きたいけれど、給料が安くて生活できないのではないか」と不安を感じている方は少なくありません。実際、障害者雇用枠での求人は、一般雇用と比較して賃金水準が低い傾向にあるのが現状です。しかし、その背景には労働時間や雇用形態といった構造的な理由が存在します。

この記事では、「障害者雇用 生活できない」という悩みを抱える方に向けて、なぜ給料が低くなりやすいのかを詳しく解説します。さらに、障害年金などの支援制度やキャリアアップによる解決策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

障害者雇用で「生活できない」と言われる3つの主な理由

障害者雇用における平均賃金は、一般雇用に比べて低い傾向にあります。そのため、一人暮らしや家族を養う場合に「これだけの給料では生活できない」と感じるケースが多く見られます。

給料が低くなる要因は、単に企業の設定金額が低いからだけではありません。障害への配慮による勤務時間の短さや、契約形態の違い、そして制度上の特例など、構造的な要因が大きく関係しています。ここでは、主な3つの理由について詳しく解説します。

短時間勤務や非正規雇用が多い現状が給料に影響

障害者雇用において給与が低くなる最大の要因の一つは、労働時間の短さと雇用形態にあります。多くの企業では、障がいのある社員に対して無理なく働いてもらうための配慮として、短時間勤務制度を導入しています。

また、正社員ではなくパートタイムや契約社員として雇用されるケースも多く、これが月収や年収の低さにつながっています。時給制や日給制の場合、働く時間が短ければその分だけ収入は減少します。

障害特性への配慮による労働時間の短縮

障がいのある方の中には、長時間労働が体調や精神面に負担をかける場合があります。そのため、週20時間や30時間といった短時間勤務を選択するケースが少なくありません。企業側も定着支援の一環として、フルタイムではなく時短勤務を推奨することがあります。

労働時間が短くなれば、当然ながら基本給や残業代などの支給額は少なくなります。特に時給制で働いている場合、1日6時間勤務と8時間勤務では、月に数万円の差が生じることになります。これが「生活できない」と感じる大きな要因です。

正社員以外の契約形態が主流の背景

障害者雇用では、最初から正社員として採用されるケースは比較的少なく、契約社員やパート、アルバイトからのスタートが一般的です。これは、企業側が「業務遂行能力」や「勤怠の安定性」を見極める期間を設けたいと考えるためです。

非正規雇用の場合、賞与(ボーナス)や退職金が支給されない、あるいは寸志程度であることも珍しくありません。月々の給与に加え、年収ベースでの格差が広がりやすいため、経済的な自立が難しいと感じる状況が生まれています。

昇給の難しさとキャリアパスが限定される課題

2つ目の理由は、入社後の昇給ペースやキャリアアップの機会が限定されやすいことです。障害者雇用枠で採用された場合、企業によって任される業務が定型的な事務作業や軽作業などの「補助的業務」に固定されることがあります。

こうした業務は企業の利益に直結しにくいと判断されることが多く、成果が見えにくいため、大幅な昇給や昇格の対象になりにくいという構造的な課題があります。

補助的な業務範囲と評価制度の壁

多くの企業では、障害者雇用枠の社員に対して「切り出し業務」と呼ばれる、他部署のサポート業務を割り当てることがあります。例えば、書類のデータ入力、郵便物の仕分け、清掃業務などです。これらは重要な仕事ですが、高い専門性や判断力を求められる場面が少ない傾向にあります。

一般的な評価制度は、目標達成度や業績への貢献度で給与が決まる仕組みが多いため、定型業務のみを行っていると評価が上がりにくく、結果として何年働いても給料が横ばいという状況に陥りやすくなります。

管理職や専門職への登用ハードル

障害者雇用において、リーダー職や管理職へのキャリアパスが明確に用意されている企業はまだ多くありません。障害への配慮と引き換えに、責任あるポストへの登用が制限されることが起こり得ます。

責任範囲が限定されると、役職手当や職能給といったプラスアルファの収入を得る機会が失われます。キャリアの将来像が描けないことは、長期的な収入増への期待を削ぎ、生活への不安を強める要因となります。

最低賃金の減額特例制度が適用されるケース

3つ目の理由は、特定の条件下で適用される「最低賃金の減額特例」の存在です。通常、労働者には最低賃金法で定められた金額以上の賃金を支払う義務がありますが、障害により著しく労働能力が低いと認められた場合に限り、都道府県労働局長の許可を得て最低賃金以下での雇用が可能になります。

この制度は、障害者の雇用機会を確保するためのものですが、結果として極めて低い賃金での労働となる場合があります。すべての障害者雇用に適用されるわけではありませんが、就労継続支援A型事業所の一部や、特殊な雇用契約において見られるケースです。

参照:最低賃金法

障害者雇用の給料だけで生活が厳しい場合の経済的支援制度

障害者雇用の給与だけで生活費をすべて賄うのが難しい場合、公的な経済支援制度を活用することが重要です。給料が低いからといって、すぐに生活が破綻するわけではありません。

日本の福祉制度には、障害のある方の生活を支えるための様々なセーフティネットが用意されています。これらを給与と組み合わせることで、生活の基盤を安定させることが可能です。ここでは、代表的な支援制度について解説します。

障害年金と各種手当の活用で収入を補完

最も代表的な支援は「障害年金」です。これは病気や怪我によって生活や仕事に制限が出た場合に支給される年金で、現役世代であっても受け取ることができます。障害者雇用で働いているからといって、必ずしも受給資格がなくなるわけではありません。

また、国や自治体による手当も存在します。これらを適切に申請し受給することで、毎月の手取り収入を補い、生活費の不足分をカバーすることができます。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。初診日(障害の原因となった病気や怪我で初めて医師の診療を受けた日)に国民年金に加入していた場合は基礎年金が、厚生年金に加入していた場合は厚生年金が対象となります。

障害厚生年金は、障害の等級が1級・2級に加えて、より軽度な3級まで支給対象となるほか、基礎年金に上乗せして支給されるため手厚い保障となります。自分がどちらに該当するかを確認し、受給要件を満たしている場合は申請を行うことが大切です。

特別障害者手当などの公的給付

年金以外にも、障害の程度や生活状況に応じて支給される手当があります。「特別障害者手当」は、精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする場合に支給されます。

また、自治体によっては独自の「心身障害者福祉手当」などを設けている場合もあります。これらは所得制限があるケースも多いですが、給与収入が低い場合には受給できる可能性があります。お住まいの市区町村の障害福祉課で相談してみることをお勧めします。

税制優遇と生活保護の併用による生活防衛

直接的な現金の給付だけでなく、出ていくお金を減らす「税制優遇」も生活を支える重要な要素です。障害者手帳を持っていると、所得税や住民税の控除が受けられ、結果として手取り給与が増える効果があります。

さらに、給与や年金だけでは最低限度の生活維持が困難な場合には、生活保護制度を併用するという選択肢もあります。働くことと支援を受けることは矛盾しません。

障害者控除で手取り額を増やす

障害者控除は、納税者自身または扶養親族が障害者である場合に、一定額の所得控除が受けられる制度です。一般的な障害者の場合は27万円、特別障害者(重度の方など)の場合は40万円が所得から差し引かれます。

これにより、課税所得が減少し、毎月の給与から天引きされる所得税や、翌年の住民税が安くなります。年末調整や確定申告の際に障害者手帳の情報を申告するだけで適用されるため、忘れずに手続きを行いましょう。手取り額の増加は、生活費の余裕に直結します。

参照:障害者控除 国税庁

働きながら生活保護を受給する仕組み

「働いていると生活保護は受けられない」と誤解されがちですが、収入が厚生労働省の定める最低生活費を下回っている場合、その不足分を生活保護費として受給することが可能です。

障害者雇用で働いていても、短時間勤務などで収入が少ない場合は対象になり得ます。この場合、給与収入に加えて「障害者加算」などが付くこともあります。就労による自立を目指しながら、不足分を制度で補うことは正当な権利ですので、福祉事務所への相談を検討してください。

収入を増やして自立するための具体的なアクション

ここまで、公的な支援制度を活用して「障害者雇用だから生活できない」というリスクを軽減する方法をお伝えしました。しかし、長期的な生活の安定を考えるならば、やはり給与収入そのものを増やしていく努力も欠かせません。

現状の給与が低い場合でも、スキルアップや働き方の工夫によって収入を向上させる道は残されています。ここでは、自らの市場価値を高め、経済的な自立に近づくための具体的なアクションプランを紹介します。

スキルアップや副業への挑戦で収入源を確保

障害者雇用であっても、専門的なスキルを身につけることで、社内評価を高めたり、手当を獲得したりすることが可能です。また、本業の収入だけでは生活できないと感じる場合、会社の規定や体調が許せば、副業によって収入源を複数持つことも有効な選択肢となります。

受け身の姿勢ではなく、自分にできる範囲で少しずつ行動を起こすことが、将来の収入増への第一歩となります。

資格取得による手当やキャリアアップ

現在の業務に関連する資格や、汎用性の高いPCスキル(Word、Excel、簿記など)を取得することは、直接的な収入アップにつながりやすい方法です。企業によっては資格手当が支給される場合があり、毎月の給与に数千円から数万円が上乗せされることもあります。

また、資格取得は「業務への意欲」や「能力の証明」としても機能します。これにより、より高度な業務を任されるようになり、結果として昇給や正社員登用のチャンスが巡ってくる可能性が高まります。まずは職場の就業規則を確認し、対象となる資格がないか調べてみましょう。

無理のない範囲での副業という選択肢

近年では副業を解禁する企業が増えており、障害者雇用で働く方の中にも、在宅ワークなどで副収入を得ている人がいます。データ入力、WEBライティング、アンケート回答など、対人ストレスが少なく、自分のペースで取り組める仕事であれば、本業への支障を抑えながら収入を補うことができます。

ただし、副業を行う際は本業の就業規則を必ず確認してください。また、無理をして体調を崩してしまっては元も子もありません。あくまで生活リズムを維持し、本業を継続できる範囲内で慎重に取り組むことが大切です。

条件の良い職場への転職検討

現在の職場でどれだけ努力しても、「生活できない」状況が変わらない場合や、昇給の見込みが全くない場合は、より条件の良い環境へ移ることも視野に入れるべきです。障害者雇用に対する考え方は企業によって大きく異なり、給与水準やキャリアパスの整備状況にも差があります。

「障害者雇用だから給料が低いのは仕方ない」と諦める前に、自分の経験やスキルを正当に評価してくれる企業がないか、情報を集めてみることが重要です。

給与水準の高い企業や正社員登用のある企業

大手企業の特例子会社や、ダイバーシティ推進に積極的な外資系企業などでは、一般雇用と同等の給与テーブルを適用しているケースがあります。また、最初は契約社員スタートでも、明確な正社員登用制度を設け、実績次第でステップアップできる環境を整えている企業も存在します。

転職活動を行う際は、求人票の「基本給」だけでなく、「賞与の実績」や「昇給制度の有無」、「正社員登用の実績数」などを詳しくチェックしましょう。これらの条件が良い企業へ転職することで、年収ベースでの大幅な収入アップが期待できます。

就職エージェントの活用方法

自分一人で条件の良い求人を探すのが難しい場合は、障害者雇用に特化した就職エージェント(転職エージェント)を活用するのが効率的です。エージェントは企業の内部事情に精通しており、実際の給与実態や職場の雰囲気、定着率などの情報を持っています。

また、キャリアカウンセリングを通じて、自分の強みや適性を客観的に分析してもらえるため、より自分に合い、かつ収入面でも納得できる職場を紹介してもらえる可能性が高まります。非公開求人には好条件の案件が含まれていることも多いため、積極的に登録して相談してみると良いでしょう。

障害者雇用と生活に関するよくある質問

最後に、障害者雇用で働くことを検討している方や、現在働いている方からよく寄せられる疑問についてお答えします。「生活できない」という不安を少しでも解消するために、制度の仕組みや実態を正しく理解しておきましょう。

Q1. 障害者雇用の給料だけで一人暮らしはできますか?

地域や生活水準にもよりますが、障害者雇用の給料だけで一人暮らしをするのは、工夫が必要なケースが多いのが現実です。特に短時間勤務や最低賃金に近い時給の場合、家賃や光熱費を払うと手元に残るお金が少なくなってしまいます。

しかし、障害年金を受給していたり、家賃補助などの福祉サービスを活用したりすることで、一人暮らしを実現している方はたくさんいます。給料単体で考えるのではなく、利用できる社会資源をすべて組み合わせた「総収入」で生活設計を立てることがポイントです。

Q2. 生活保護を受けながら障害者雇用で働くことは可能ですか?

はい、可能です。働いて得た収入が、厚生労働省の定める最低生活費に満たない場合、その差額を生活保護費として受給することができます。就労収入がある場合は、基礎控除などの適用により、働いていない場合よりも総収入が多くなる仕組みになっています。

「働いたら生活保護が打ち切られて生活できなくなる」という心配は不要です。むしろ、働きながら保護を受けることで、経済的な安定と社会参加の両立が可能になります。まずはケースワーカーに相談してみましょう。

Q3. 働き始めると障害年金は停止されてしまいますか?

障害者雇用で働き始めたからといって、直ちに障害年金が停止されるわけではありません。障害年金は、障害の状態(等級)によって支給されるものであり、就労の有無だけで判断されるものではないからです。

ただし、精神障害などで更新時期が来た際、フルタイムで問題なく働けているなどの事実があると、「日常生活能力が向上した」とみなされ、等級変更や支給停止になる可能性はゼロではありません。更新時には、主治医とよく相談し、就労状況や日常生活での困難さを正確に診断書に反映してもらうことが重要です。

まとめ

障害者雇用は短時間勤務や雇用形態の影響で給与水準が低くなりやすく、「障害者雇用 生活できない」という悩みにつながることがあります。しかし、障害年金や各種手当、場合によっては生活保護といった公的支援を給与と組み合わせることで、生活の安定を図ることは十分に可能です。

現状の収入に不安がある場合は、資格取得や副業でスキルを磨いたり、より評価制度の整った企業へ転職したりすることで、収入アップを目指す道も残されています。重要なのは給与単体で諦めるのではなく、支援制度を賢く活用しつつ、ご自身に合った働き方で経済的な自立を目指すことです。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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