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障害者雇用で正社員は難しい?採用・登用のポイントや仕事の探し方を解説

公開日:
2026.01.29
最終更新日:
2026.01.29

障害者雇用枠での就職活動において、「障害者雇用で正社員になるのは難しい」という話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。実際に求人サイトを検索してみても、契約社員やパートタイムの募集が目立ち、最初から正社員として採用されるハードルは高いのが現状です。

しかし、正社員への道が決して閉ざされているわけではありません。現状の課題や企業側の意図を正しく理解し、適切な対策を講じることで、安定した雇用を手に入れることは十分に可能です。

この記事では、なぜ正社員採用が難しいとされるのか、その理由を統計や背景から紐解き、採用や登用を勝ち取るための具体的なポイントを解説します。

障害者雇用における正社員採用の実態と「難しい」理由

一般的に、障害者雇用枠では最初から正社員として採用されるケースは少なく、多くが有期雇用契約からスタートします。これには、求職者側が自身の体調に合わせて短時間勤務を希望する事情と、企業側が職場定着率を慎重に見極めたいという事情が複雑に絡み合っています。

正社員を目指す上で避けて通れないのが、この「雇用形態の壁」です。まずは現状の正社員比率の傾向を確認し、なぜ「難しい」と言われるのか、その構造的な背景を理解しましょう。

障害種別ごとの正社員割合

障害者雇用における正社員の割合は、障害種別によって大きな差があるのが実情です。身体障害のある方は、オフィスワークや技術職などでフルタイム勤務が可能なケースが多く、比較的正社員比率が高い傾向にあります。

一方で、精神障害や知的障害のある方は、通院や体調管理のために週20〜30時間程度の短時間勤務から開始することが多いため、パートタイムやアルバイトの割合が高くなります。以下の表は、一般的な障害種別ごとの雇用形態の傾向をまとめたものです。

障害種別正社員雇用の傾向特徴
身体障害比較的高い設備面の配慮があれば、一般枠と同様の業務・勤務時間で働ける方が多いため。
知的障害中程度〜低い業務の習熟度に応じて、契約社員から無期雇用パートや正社員へ登用されるケースがある。
精神障害低い(パート・有期契約が多い)体調の波を考慮し、短時間勤務からスタートして徐々に時間を延ばすステップアップ型が主流。

企業が最初から正社員採用をためらう背景

企業が求人を出す際、最初から「正社員」としない最大の理由は、入社後のミスマッチを防ぐためです。障害者雇用において、企業は「安定して長く働き続けられるか」を最も重視します。面接などの選考プロセスだけでは、実際の業務遂行能力や職場環境への適応力、そして日々の体調変化を完全に見極めることは困難です。

そのため、まずは契約社員として採用し、6ヶ月から1年程度の期間で勤務状況を確認する「お試し期間」を設けるケースが多いです。この期間に勤怠が安定し、業務適性が確認されれば、正社員登用へのステップに進むという運用が多く見られます。

これは企業のリスク管理であると同時に、働く側にとっても「無理なく環境に慣れる期間」として機能しています。

正社員採用・登用されやすい人の特徴とスキル

障害者雇用において正社員採用が難しいとはいえ、実際に正社員として活躍している方は大勢います。彼らには共通して「企業が安心して雇用を継続できる」と判断される特徴があります。

企業が正社員に求めるのは、単に高い専門スキルを持っていることだけではありません。長期的な雇用を前提とする正社員だからこそ、組織の一員として自律的に動けるかどうかが問われます。ここでは、採用担当者が重視する評価ポイントを具体的に解説します。

安定した就労継続能力と自己管理スキル

正社員への登用を目指す上で、最も基本的かつ重要なのが「勤怠の安定性」です。どれほど能力が高くても、欠勤や遅刻が頻繁にあれば、企業は責任ある仕事を任せることが難しくなります。毎日決まった時間に出社し、業務に取り組めるという実績が、正社員への第一条件です。

また、自分の障害特性を正しく理解し、体調が悪くなった際の対処法(セルフケア)を確立していることも重要です。さらに、必要な合理的配慮を具体的に企業側へ伝えられる「発信力」も求められます。

「察してほしい」ではなく、「このような配慮があればこの業務が可能です」と論理的に説明できる自己管理能力が、信頼獲得への近道となります。

業務遂行能力と職場での協調性

正社員には、担当業務を正確かつ期限内に遂行する実務能力が求められます。事務職であればWordやExcelなどの基本的なPCスキル、軽作業であれば正確な作業スピードなど、職種に応じた一定のスキルレベルが必要です。さらに、新しい業務を覚える意欲や、自ら工夫して効率化を図る姿勢も評価対象となります。

加えて、職場での協調性も欠かせません。仕事は一人で完結するものではなく、周囲との連携で成り立っています。報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を適切に行い、同僚や上司と円滑なコミュニケーションを取れる人材は、職場に良い影響を与える存在として高く評価され、正社員採用の可能性が高まります。

障害者雇用で正社員を目指す2つの主要ルート

障害者雇用枠で正社員として働くためのルートは、大きく分けて2つあります。一つは最初から正社員の求人を狙う方法、もう一つは契約社員などからスタートして登用を目指す方法です。

どちらのルートにもメリットとデメリットがあり、自身のキャリアプランや現在のスキル、体調面を考慮して選択する必要があります。ここでは、それぞれのルートの特徴と、成功させるためのポイントを詳しく解説します。

最初から「正社員募集」の求人に応募する

ハローワークや転職エージェントなどで探すと、初めから「正社員」として募集されている求人が見つかります。このルートの最大のメリットは、入社直後から雇用の安定と充実した福利厚生が得られる点です。給与水準も契約社員に比べて高い傾向にあり、キャリアアップを急ぐ方には魅力的です。

しかし、企業側も即戦力を求める傾向が強く、高いスキルや豊富な実務経験が求められるため、採用倍率は非常に高くなります。また、大手企業の特例子会社などでは人気が集中し、書類選考の通過すら難しいことも珍しくありません。

「難しい」と言われる正社員雇用の最たる例ですが、これまでの経験や実績に自信がある場合は、積極的に挑戦すべきルートです。

契約社員・パートから「正社員登用」を目指す

多くの求職者が現実的な選択肢とするのが、契約社員やパートからスタートし、実績を積んで正社員登用を目指すルートです。入り口のハードルは比較的低く、未経験の職種にも挑戦しやすいのが特徴です。まずは職場環境に慣れ、自分のペースで働きながら信頼を積み重ねることができます。

このルートで重要なのは、応募段階で「正社員登用制度の有無」と「過去の登用実績」を必ず確認することです。求人票に制度の記載があっても、実際には数年に一度しか実施されていないケースもあります。面接時に「どのような条件を満たせば正社員になれるか」を質問し、具体的なキャリアパスを明確にしておくことが成功の鍵となります。

障害者雇用における正社員の仕事の探し方

就労移行支援や専門エージェントの活用

障害者雇用における正社員就職は情報戦でもあります。一人での活動に限界を感じたり、なかなか内定が出ない場合は、就労移行支援事業所や障害者専門の転職エージェントを活用しましょう。

専門機関は、一般には公開されていない正社員求人を持っているだけでなく、応募書類の添削や模擬面接、企業との条件交渉の代行まで行ってくれます。また、就労移行支援では、実習を通じてスキルを磨けるため、実務経験が少ない方でもアピール材料を作ることができます。

プロの視点を取り入れることで、自分では気づかなかった適性や就職のチャンスが見つかることも少なくありません。

正社員としての雇用を勝ち取るためには、どこで求人を探すかという「入り口」の選択が非常に重要です。障害者雇用の正社員求人は、一般的な求人サイトには掲載されないことも多いため、複数のルートを使い分けるのが成功の秘訣です。

ハローワークの専門援助窓口を活用する

最も身近で求人数が多いのがハローワークです。障害者専用の窓口があり、専門の相談員が希望に沿った求人を提案してくれます。

ハローワークの強みは、地元企業の求人に強いことや、企業に対して「正社員登用の可能性」を直接問い合わせてもらえる点にあります。「正社員求人」だけでなく、「正社員登用あり」の求人についても、過去の実績を詳しく聞き出してもらうよう依頼しましょう。

障害者専門の転職エージェントに登録する

民間が運営する障害者専門の転職エージェントは、正社員を目指す方にとって非常に強力な味方です。

エージェントは企業と深いパイプを持っており、「非公開求人」と呼ばれる一般には出回らない正社員募集を抱えていることが多くあります。また、キャリアアドバイザーがあなたのスキルを企業へ直接プッシュしてくれるため、一人で応募するよりも選考通過率が高まる傾向にあります。自身の市場価値を客観的に判断してもらう場としても有効です。

就労移行支援事業所のネットワークを利用する

就労移行支援事業所では、日々のトレーニングだけでなく、提携企業への就職サポートも行っています。 事業所を通じて応募する場合、企業実習(インターンシップ)を経てから選考に進めるケースが多く、実際の働きぶりを見てもらった上で「これなら正社員として任せられる」という評価を得やすいメリットがあります。

実務経験に不安がある方や、まずは環境を確かめたい方には、最もミスマッチが少ない探し方と言えます。

企業の採用ページ(直接応募)をチェックする

特に大手企業や特例子会社の場合、自社のホームページ内にある「採用情報」で直接正社員を募集していることがあります。 直接応募は、その企業に対する志望度の高さをアピールしやすく、仲介を通さない分、スムーズに選考が進むこともあります。

気になる企業がある場合は、求人サイトだけでなく、公式サイトを定期的に確認する習慣をつけましょう。

まとめ

障害者雇用の正社員登用についてお話をしてきました。

現状は非正規から始まるケースが多いものの、勤怠の安定と自己管理能力を証明できれば道は十分に拓けます。

身体・精神等の特性に応じた働き方を理解し、社内転換や転職といった自分に合うルートを選ぶことが大切です。一人で悩まず専門機関も活用しましょう。焦らず着実に実績を積み重ねることが、理想のキャリアと安定した生活を手に入れる鍵となります。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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