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障害者雇用は何歳まで可能?中高年の転職成功ヒントと長く働く対策

公開日:
2026.01.30
最終更新日:
2026.01.30

障害者雇用枠での就職や転職を検討する際、「障害者雇用は何歳まで可能なのか」という疑問を持つ方は少なくありません。年齢を重ねるにつれて、新しい職場が見つかるのか、あるいは現在の職場でいつまで働き続けられるのか、不安を感じることもあるでしょう。

結論から言えば、障害者雇用における求人応募には法的な年齢の上限はありませんが、企業が定める定年制度の影響は受けます。特に40代や50代の中高年層にとっては、年齢に見合った転職戦略や、長く働くための制度活用が重要になります。

この記事では、障害者雇用の年齢に関する実態や定年制度の仕組み、そして中高年の方が安定して就労し続けるための具体的な対策について詳しく解説します。

障害者雇用に年齢制限はある?定年と雇用の実態

障害者雇用枠で仕事を探すにあたり、まず理解しておきたいのが「年齢制限」に関する基本的な考え方です。求人情報を見ていると年齢不問の案件も多い一方で、実際には年齢が採用の可否に関わると感じる場面もあるかもしれません。

ここでは、法律上のルールと企業の実情という2つの側面から、障害者雇用が何歳まで可能なのかを紐解いていきます。また、一般的に適用される定年制度や、その後の継続雇用についても触れ、長く働くための前提知識を整理しましょう。

法律上の上限と企業の定年制度の適用

労働施策総合推進法による年齢制限の禁止

求職者が年齢を理由に応募の機会を奪われないよう、労働施策総合推進法では、労働者の募集や採用において年齢制限を設けることを原則として禁止しています。これは一般雇用だけでなく、障害者雇用枠の求人においても同様に適用されるルールです。

そのため、求人票には「何歳まで」といった年齢の上限が記載されていないのが一般的です。法的には何歳であっても応募の権利があり、年齢のみを理由に一律で断られることはあってはならないとされています。

例外として認められる定年制度の存在

ただし、年齢制限の禁止には例外があります。その代表的なものが「定年制度」です。企業が就業規則で「定年は満60歳とする」と定めている場合、その年齢を上限として募集や採用を行うことは認められています。

つまり、応募自体に年齢制限がなくても、採用された企業の定年年齢に達すれば、原則としてその時点で雇用契約は終了します。障害者雇用であっても、多くの企業では一般社員と同じ定年規定が適用されることを理解しておく必要があります。

高年齢者雇用安定法と65歳までの雇用確保

定年を迎えたらすぐに働けなくなるわけではありません。高年齢者雇用安定法により、企業には希望者に対して65歳までの雇用確保措置を講じることが義務付けられています。

これにより、60歳で定年を迎えた後も、「再雇用制度」などを利用して同じ企業で働き続けることが可能です。さらに近年では、70歳までの就業機会の確保も努力義務とされており、障害者雇用においても高齢期まで働ける環境が徐々に整備されつつあります。

年齢層別の雇用実態と中高年の転職難易度

障害者の就労における年齢層の現状

実際に企業で働いている障害者の年齢層を見ると、実は中高年層が大きな割合を占めていることがわかります。厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」によれば、特に身体障害者においては50代以上の就労者が多く、勤続年数が長い方も珍しくありません。

精神障害や発達障害においては比較的若年層が多い傾向にありますが、全体として見れば「障害者雇用=若手のためのもの」というわけではありません。40代や50代で活躍している方は非常に多く、年齢が高いこと自体が就労の絶対的な妨げになるわけではないのです。

年齢が上がると変化する採用のハードル

一方で、転職活動における「採用のされやすさ」については、年齢とともに変化が生じます。一般的に、20代や30代前半まではポテンシャル(将来性)が評価されやすく、未経験の職種でも採用されるチャンスが多くあります。

しかし、40代以降の中高年になると、企業側は「即戦力」や「安定性」をより重視するようになります。全く未経験の業務への挑戦はハードルが高くなり、これまでの職務経験やスキルがマッチするかどうかが厳しく見られる傾向にあります。

求人数とマッチングの難しさ

中高年向けの求人は、若年層向けに比べて数が限られる場合があります。特に体力が必要な業務や、新しいIT技術への適応が求められる職種では、若い世代が優先されることも少なくありません。

そのため、中高年が転職を成功させるには、単に「何歳まで応募できるか」を気にするだけでなく、自分の年齢層に求められている役割や、経験が活かせる領域を正確に把握することが重要になります。

中高年が障害者雇用で長く働き続けるための対策

「障害者雇用は何歳まで可能か」という問いに対する答えは、定年などの制度的な上限だけでなく、いかに長く安定して働ける環境を作れるかにも依存します。特に中高年からの就労では、雇用の安定性を確保するための戦略が欠かせません。

ここでは、有期雇用から無期雇用への転換ルールや、定年後の再雇用制度といった仕組みを活用する方法、そして年齢を重ねても無理なく続けやすい職種選びについて解説します。

「無期雇用転換」と再雇用制度の活用

有期契約から無期契約への転換ルール

障害者雇用の求人には、契約社員やパートタイムなどの「有期雇用契約(期間の定めのある契約)」が多く見られます。有期契約の場合、契約更新のたびに「次は更新されるだろうか」という不安がつきまとうことがあります。

そこで知っておきたいのが「無期転換ルール」です。同一の企業との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合、労働者の申込みによって期間の定めのない「無期労働契約」に転換できる制度です。これにより、雇い止めの不安を解消し、定年まで安心して働けるようになります。

定年後の再雇用制度(嘱託社員など)

多くの企業では、60歳の定年を迎えた後に「再雇用制度」を設けています。これは一度退職扱いとした上で、新たに嘱託社員やパート社員として契約を結び直す仕組みです。

再雇用制度を活用すれば、最長で65歳(企業によってはそれ以上)まで慣れ親しんだ職場で働き続けることができます。ただし、正社員から嘱託社員に変わることで、給与水準が下がったり、勤務日数や業務内容が変更されたりする場合があるため、事前に就業規則を確認しておくことが大切です。

長期就労に向けた体調管理と相談

制度を活用して長く働くためには、何よりも心身の健康維持が前提となります。中高年になると、加齢による体力の低下や、障害の状態変化が起こることも考えられます。

無理をして体調を崩してしまっては、雇用契約があっても就労継続が難しくなります。定期的に通院し主治医と相談するのはもちろん、職場の上司や支援者とこまめに面談を行い、業務量や勤務時間の調整を相談できる関係性を築いておくことが、長く働き続けるための重要な対策となります。

年齢に関わらず活躍しやすい職種・業務

身体的負担を調整しやすい事務職・事務補助

年齢を重ねても長く働きやすい職種の代表格が、事務職や事務補助業務です。デスクワークが中心であるため、立ち仕事や力仕事に比べて身体的な負担が少なく、体力に不安が出てくる中高年の方でも継続しやすい特徴があります。

PCスキルや経理、総務などの実務経験があれば、即戦力として評価されやすく、年齢に関わらず採用される可能性が高まります。また、データ入力や書類整理といった定型業務は、手順が決まっているため精神的な負担も比較的コントロールしやすい職種です。

経験や丁寧さが活きる清掃・軽作業

清掃業務や軽作業も、中高年の障害者雇用で求人が多い職種です。特に清掃業務は、黙々と作業に取り組める点や、自分のペースを守りやすい点が魅力です。オフィスビルや商業施設の清掃など、丁寧な仕事ぶりが評価されるため、社会人経験の長い中高年の落ち着きがプラスに働きます。

軽作業には、ピッキングや梱包、商品管理などがあります。重いものを扱わない現場を選べば、適度な運動量で健康維持にもつながり、長く続けられる仕事となります。

専門資格やスキルを活かした業務

もし特定の専門資格や技術を持っているなら、それを活かさない手はありません。例えば、ITエンジニア、Webデザイナー、建築設計、翻訳などの専門職は、年齢よりもスキルや成果物が重視される傾向にあります。

また、これまでのキャリアで培った業界知識やマネジメント経験がある場合、障害者雇用枠であっても管理部門や専門部署での採用が検討されることがあります。自分の持っている「武器」を棚卸しし、年齢をハンデと感じさせない職種を選ぶことが成功への近道です。

40代・50代からの転職を成功させるポイント

40代や50代で転職活動を行う場合、20代の若手と同じ土俵で勝負しようとすると苦戦を強いられることがあります。企業が中高年の採用に求めている要素は、若手に対するポテンシャルへの期待とは異なるからです。

ここでは、中高年だからこそアピールできる強みや、企業が安心感を持って採用できるポイントについて解説します。また、一人での活動に限界を感じた時に頼れる専門機関の活用法も紹介します。

企業が中高年に期待する「経験」と「安定感」

社会人経験に基づくマナーと適応力

企業が中高年の障がい者を採用する際、最も期待しているのは「社会人としての基礎ができていること」です。挨拶や言葉遣いといったビジネスマナーはもちろん、組織の一員としての振る舞いや、周囲との協調性などは、長い社会人経験があればこそ身についているものです。

若手社員の教育コストをかけずに、入社直後から職場に馴染んでくれる「大人の対応」ができることは、中高年ならではの大きな武器になります。面接では、これまでの経験から培ったコミュニケーション能力や職場への適応力を具体的にアピールしましょう。

勤怠の安定性と自己管理能力

「毎日決まった時間に出社し、安定して業務を遂行できるか」は、障害者雇用において企業が最も重視するポイントの一つです。中高年の方には、これまでの就労実績や生活経験に基づいた、高い自己管理能力が期待されています。

自身の体調や障害特性を深く理解し、不調のサインに早めに気づいて対処できる能力(セルフケアスキル)は、年齢を重ねたからこそ得られる強みと言えます。「自分の体調管理法が確立されており、突発的な欠勤が少ない」という事実は、採用担当者に大きな安心感を与えます。

即戦力としての実務スキル

中高年の転職では、やはり「何ができるか」という実務能力が問われます。前職までの経験を活かせる職種に応募する場合、具体的な実績やスキルを明確に伝えることが不可欠です。

ただし、過去のやり方に固執しすぎると「扱いにくい」と思われるリスクもあります。「経験は豊富ですが、新しい環境ややり方にも柔軟に対応します」という謙虚な姿勢を併せ持つことで、経験豊富な即戦力として高く評価されるでしょう。

就労移行支援などの専門機関を活用するメリット

自分に合った「中高年歓迎」求人の開拓

40代・50代の転職活動では、求人サイトを眺めているだけでは自分に合った仕事が見つかりにくいことがあります。そこで活用したいのが、就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターなどの専門機関です。

支援機関のスタッフは、地域の企業情報や過去の採用実績を詳しく把握しています。「この企業は中高年の採用に積極的だ」「この職場はベテランの方が多く落ち着いている」といった、求人票には載っていない情報をもとに、年齢や経験にマッチした企業を提案してくれます。

応募書類の添削と面接対策

久しぶりの就職活動で、履歴書や職務経歴書の書き方に不安がある方も多いでしょう。特に障害者雇用では、自分の障害特性や必要な配慮事項を的確に伝える「自己紹介書(ナビゲーションブック)」の作成が重要になります。

専門機関では、中高年の強みを効果的に伝える書類作成のサポートや、模擬面接を通じた対策を行ってくれます。年齢に関するネガティブな質問への答え方や、経験を魅力的に伝える話し方をプロの視点でアドバイスしてもらえるため、選考通過率の向上が期待できます。

企業との調整代行と定着支援

採用選考の過程で、勤務時間や業務内容の調整が必要になることがあります。自分からは言い出しにくい条件交渉も、支援機関のスタッフが間に入って調整してくれる場合があります。

また、就職が決まった後も「定着支援」として定期的な面談や職場訪問が行われます。働き始めてから生じた悩みやトラブルを早期に解決できるため、せっかく決まった職場で長く働き続けるための強力なセーフティネットとなります。

よくある質問:障害種別や手帳取得と年齢の関係

障害者雇用における年齢の話題では、障害の種類や手帳を取得したタイミングによる違いについても多くの質問が寄せられます。それぞれの事情によって就職活動の戦略や働きやすさが異なるため、正しい知識を持っておくことが大切です。

ここでは、障害種別ごとの年齢分布の傾向や、中高年になってから障害者手帳を取得した場合の考え方について、よくある疑問にお答えします。

障害種別ごとの年齢分布と就労傾向

身体障害者の年齢層と特徴

障害者雇用の現場において、身体障害のある方は比較的年齢層が高い傾向にあります。これは、加齢に伴って身体機能が低下し、中途で障害認定を受けるケースが含まれることや、一度就職した企業で長く勤続している方が多いためと考えられます。

そのため、企業側も身体障害者の採用においては中高年層の受け入れに慣れている場合が多く、バリアフリー環境さえ整っていれば、40代や50代でも経験を活かした転職が比較的スムーズに進むことがあります。

精神・発達障害者の年齢層と特徴

一方、精神障害や発達障害のある就労者は、20代から30代の若年層が多い傾向にあります。近年になって発達障害の診断や支援が普及したことや、精神疾患による休職・離職からの再就職を目指す若者が増えていることが背景にあります。

このため、中高年の精神・発達障害の方が転職活動をする際、「周りは若い人ばかりではないか」と不安に思うことがあるかもしれません。しかし、最近ではメンタルヘルス不調によりキャリアの途中で障害者雇用へ切り替える中高年も増えており、企業側の理解も徐々に深まっています。

年齢によるマッチングの違い

年齢と障害種別の傾向を理解しておくと、企業選びのヒントになります。例えば、歴史のある製造業や事務職の現場では中高年の身体障害者が多く活躍している一方、IT系や特例子会社では若手の精神・発達障害者が多いといったケースがあります。

自分と同年代の障害者が働いている職場を選ぶことで、馴染みやすく、孤立感を防ぐことができるかもしれません。面接や企業見学の際には、働いている社員の年齢層や障害種別について質問してみるのも良いでしょう。

中高年での手帳取得とオープン就労の判断

40代・50代での手帳取得のメリット

「この年齢で今さら障害者手帳を取っても意味があるのか」と悩む方もいます。しかし、中高年であっても手帳を取得し、障害者雇用枠(オープン就労)での就職を目指すメリットは十分にあります。

一般枠での就労が体力的に厳しくなったり、求められるスピードについていけなくなったりした場合、障害者雇用枠に切り替えることで、業務量の調整や通院配慮を受けながら働き続ける道が開けます。無理をして早期退職するリスクを減らし、細く長くキャリアを継続するための有効な手段となります。

オープン就労への切り替えとキャリアへの影響

一般枠から障害者雇用枠へ切り替える際、懸念されるのは給与の低下や職務レベルの変更です。確かに、管理職から一般職へ変わるなど、待遇面に変化が生じる可能性はあります。

しかし、近年では専門性を持つ中高年に対しては、障害者雇用であっても相応の待遇を用意する企業が増えています。手帳を取得したからといって、必ずしもキャリアが断絶するわけではありません。「配慮を得て安定して働くこと」と「これまでの経験を活かすこと」のバランスをどう取るか、長期的な視点で判断することが大切です。

まとめ

障害者雇用は何歳まで可能なのかという疑問に対し、法的な年齢制限はないものの、企業の定年制度や再雇用制度の上限が実質的な目安となります。40代や50代の中高年層であっても、これまでの社会人経験で培ったビジネスマナーや安定した勤怠、自己管理能力は企業から高く評価されるポイントです。

長く安心して働き続けるためには、無期雇用転換や定年後の継続雇用といった制度を活用し、自身の体力やスキルに合った職種を見極めることが重要です。

一人での転職活動に不安がある場合は、就労移行支援などの専門機関を利用して、年齢や適性にマッチした企業の紹介を受けることが成功への近道となります。適切な準備と対策を行えば、年齢に関わらず安定した就労環境を目指すことは十分に可能です。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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