チャレンジ雇用とは?企業側・障がい者側のメリットについても解説
- 公開日:
- 2026.01.15
- 最終更新日:
- 2026.02.06
「チャレンジ雇用ってどんな制度?」と気になる方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、「障がい者雇用におけるチャレンジ雇用とは何か」「チャレンジ雇用のメリット」について解説します。
また、基本的な障がい者雇用の知識や採用のポイントについて知りたい方はぜひ以下の資料も参考にしてみてください。

<この資料でわかること>
・障がい者雇用の基礎知識
・雇用が必要な障がい者人数の計算方法
・障がい者採用の流れとポイント
チャレンジ雇用とは
チャレンジ雇用とは、障がいのある方が公的機関で働く経験を積み、一般就労への移行を目指すための制度です。
チャレンジ雇用が誕生した背景には、企業・障がい者の双方が抱える「不安」がありました。企業側では、就労経験のない方を雇うことに対して、知識不足やリソース不足がよく課題になります。一方、障がい者の方にとっても、「利益を目的とする企業で、いきなり働くのは怖い」という不安が生じがちです。
そこで、「官公庁や自治体が、障がい者を雇い入れて就労経験を積ませ、その経験をもとに一般企業で働けるようにしていこう」とする考えが生まれ、「チャレンジ雇用」が制度化されました。

チャレンジ雇用の制度概要
ここでは、チャレンジ雇用の対象となる労働者や雇用期間、仕事内容などを紹介します。
対象者
チャレンジ雇用の対象となるのは、知的障がい者、身体障がい者、精神障がい者、発達障がい者などの障がいのある方です。特に、就労経験が乏しい、または長期のブランクがある知的障がいや精神障がい、発達障がいのある方が中心となります。
一般就労に不安を抱えている方が、働く準備段階として利用するケースが多い制度です。
雇用期間
雇用期間は原則として1年以内の契約です。ただし、勤務態度や業務成績が良好であると判断された場合には契約が更新され、最長で3年まで継続して働ける場合があります。
限られた期間の中で就労経験を積み、次のステップへ進むことが前提とされています。
雇用主・雇用形態
雇用主は国の各府省庁や地方自治体などの公的機関です。雇用形態は非常勤職員としての採用が一般的で、安定した環境の中で業務に取り組めます。
公的機関ならではの配慮や支援体制が整っている点も、チャレンジ雇用の特徴といえます。
仕事内容の例
チャレンジ雇用で行われる仕事には、文書の折り作業や封入作業、PCを使用したデータ入力などがあります。
また、郵便物の集配や仕分けといった軽作業も代表的です。比較的取り組みやすい業務を通じて、働くリズムや基本的な業務スキルを身に付けていきます。
チャレンジ雇用と障害者トライアル雇用との違い
チャレンジ雇用は、あくまで「官公庁」「自治体」などの公共性のある機関での雇い入れまたはその制度を指す言葉です。
ただ、一般企業でも似たような制度があります。
それが「障害者トライアル雇用」です。
障害者トライアル雇用は、数ヵ月間(3ヵ月~12ヵ月程度)、試用として障がい者を雇い入れ、自社の仕事との適正を見る制度です。
この制度の場合はチャレンジ雇用とは異なり、実施前に「雇い続けること」が前提となるものであり、障害者トライアル雇用で問題がないと判断されればそのまま働き続けることになります。
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働く場所 |
期間 |
継続雇用 |
目的 |
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チャレンジ雇用 |
官公庁や自治体 |
1年~3年程度 |
なし |
「一般企業への就職を目的とし」就労経験を積ませる |
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障害者トライアル雇用 |
一般企業 |
3ヵ月~12ヵ月程度 |
あり |
自社との適性を見て、継続で働き続けられるかどうかを判断する |
関連記事:障害者トライアル雇用とは?メリット・デメリットや対象者・期間など詳しく解説

チャレンジ雇用のメリット
チャレンジ雇用は、障がいのある方が社会との接点を持ち、将来的な一般就労へつなげるために大きな意義を持つ制度です。いきなり民間企業で働くことに不安を感じる方でも、段階的に経験を積める点が特徴であり、働くことへの自信や生活の安定につながります。
ここでは、チャレンジ雇用を活用することで得られる具体的なメリットについて解説します。
社会で働く経験を得られる
チャレンジ雇用の大きなメリットは、社会の中で働く経験を実際に積める点です。
働くこと自体が初めての方や、長期間離職していた方にとって、一定期間でも職歴を持てることは大きな意味があります。決められた時間に出勤し、業務をこなす経験は生活リズムの安定にもつながります。
また、この経験は就職活動時に具体的な実績としてアピールでき、自分にも働けるという自信を持つきっかけになります。
賃金を得ながらスキルを習得できる
チャレンジ雇用では、賃金を得ながら実務経験を積める点も魅力です。実際の業務を通じて仕事の進め方や基本的なビジネスマナーを身に付けられます。収入を得ることで経済的な安心感が生まれ、働く意欲の向上にもつながります。
一般企業への就職を目指すための準備期間として活用できるため、次のキャリアステップを具体的に描きやすくなります。
働きやすい環境で働ける
チャレンジ雇用は国や自治体が提供する制度であるため、職場の受け入れ体制が比較的整っています。障がい特性への理解があり、業務内容や働き方についても配慮がなされるケースが多いです。
そのため、初めて仕事に挑戦する方でも安心して取り組みやすい環境が用意されています。無理なく働ける経験を重ねることで、一般就労への不安を軽減できる点も大きなメリットです。

チャレンジ雇用を経た障がい者を雇う企業側のメリット
チャレンジ雇用は自治体などの公的機関が実施する制度であり、障がいを抱える方にとっては「社会で働く経験を得られる」「配慮された環境で初めての仕事に挑戦できる」というメリットがあります。
また、チャレンジ雇用を経た障がい者を雇い入れることは、企業側にとっても以下のようなメリットがあります。
・就労経験のある方を雇い入れられる
・安定的な雇用に耐えうる人材が多い
・社会貢献や企業イメージの上昇につながる
ひとつずつ解説します。
就労経験のある方を雇い入れられる
チャレンジ雇用で働いたことのある方は、社会人としての経験があるため、基本的な業務指示を理解できることが多いといえます。
障がいのある方はそうではない方に比べて就労が難しく、また雇い入れる側も「指示が通るだろうか」「基本的な理解力や社会的常識がどこまであるか」を計りにくいというリスクがあります。しかし就労経験がある方は、その能力が計りやすく、実際の業務でもトラブルが起きる可能性が低くなります。
また、チャレンジ雇用経験者は就労意欲が高く、積極的に業務に取り組む方も多くおられます。
さらに、民間企業の場合の法定雇用率は2025年現在2.5%(※原則。除外率が設定されている業種などもある)と決められていて、40人以上の従業員を抱える企業では障がい者を1人以上雇う必要があります。
なお、2026年7月からは法定雇用率が2.7%に引き上げられ、従業員を37.5人以上雇用するすべての企業が、新たに雇用義務の対象となります。
このような制度のもと、就労経験があり能力を把握しやすく、就労意欲の高いチャレンジ雇用経験者を雇用できるメリットは大きいといえます。」
安定的な雇用に耐えうる人材が多い
チャレンジ雇用による就労条件は各機関によって多少異なりますが、多くの場合、「週4日勤務/1日7時間45分(休憩時間は、45分又は1時間)」といったように、一般的な就労条件(週5日・1日8時間)に近い形で設定されています。
※引用:東京都教育委員会「東京都教育委員会版チャレンジ雇用」
このような条件で勤務してきたチャレンジ雇用経験者は、一般企業においても同様に安定した働き方ができると期待されるでしょう。
社会貢献や企業イメージの上昇につながる
現代社会では顧客と企業の距離が非常に近く、良いイメージも悪いイメージもすぐに顧客に伝わります。
その中で、チャレンジ雇用経験者を積極的に雇用している企業、多様な働き方ができる企業とアピールできることは、大きなアドバンテージとなります。
特にBtoCの企業・業種ではこの傾向が顕著であり、社会貢献が売り上げの向上につながるケースも見られます。
また、「社会貢献や企業イメージ向上を目指しながら、自社に合った社会人経験がある方を雇用したい」と考える企業にとって、チャレンジ雇用経験者は頼りになる人材になるといえます。

まとめ
これまでチャレンジ雇用について解説をしてきました。
今回の内容をまとめると以下の通りです。
・チャレンジ雇用とは、一般企業での就労を目指す障がい者を、自治体などが雇い入れて就労経験を積ませる制度である
・チャレンジ雇用は有期雇用であり、1年~3年ほどを限度とする
・チャレンジ雇用と似た制度として「障害者トライアル雇用」があるが、これは「一般企業が」「(適性やニーズが合えば)自社で雇用し続けることを前提として」「3ヵ月~12ヵ月の間、障がいを持つ人を雇う制度」である
・チャレンジ雇用を経験している方は基本的な指示が通りやすく就労意欲が高く、安定した働き方が見込める
・チャレンジ雇用で就労経験を積んだ方を雇用することは、自社にとって有益な戦力を獲得できることはもちろん、「働きやすさを考える企業」としてのイメージアップにもつながる
チャレンジ雇用は、障がいを抱えた方はもちろん、企業にとってもメリットの多い制度だといえるでしょう。
この記事を書いた人
サンクスラボ編集部
サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。