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ADHDのタスク管理術!仕事で使えるタスク管理方法やアプリもご紹介

公開日:
2025.11.25
最終更新日:
2025.11.25

「気をつけているのに、うっかりミスが続く」「仕事の段取りが頭で整理できない」――そんな悩みを抱える方の中には、ADHD(注意欠如・多動症)の特性によって、仕事やタスク管理に苦労している方も少なくありません。

ですが、特性があっても工夫次第で仕事をうまく回すことも可能です。

この記事では、ADHDのある方が仕事中に直面しやすい課題から、日々のタスク管理を楽にするコツ、自分らしく働くための支援サービスまで、実践的な情報をまとめてご紹介します。

ADHD(注意欠如・多動症)とは

ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性をもつ神経発達症のひとつです。子どもに多いと思われがちですが、大人になってから気づいたり診断されたりすることもあります。

不注意の特性

集中力が続きにくく、忘れ物やうっかりミスが多くなります。話を最後まで聞けなかったり、周囲の刺激に気を取られやすいこともあります。そのため、仕事では書類のミスやスケジュールの抜け漏れが起こりやすくなります。

多動性の特性

じっとしているのが苦手で、体を動かしたくなったり、おしゃべりが止まらなくなることがあります。大人になると、体の落ち着きのなさよりも「頭の中が常に忙しい」ように感じる人もいます。

衝動性の特性

思ったことをすぐに口にしたり、順番を待てずにイライラしてしまうことがあります。買い物や言動が衝動的になり、人間関係に影響することもあります。

このように、ADHDの特性は日常生活や仕事の中でさまざまな困りごとにつながることがあります。

大人のADHDの特徴と困りごと

大人のADHDは、子どもの頃に比べて「多動性」がやや落ち着く傾向がありますが、その分「不注意」や「衝動性」が目立つようになる場合もあります。

職場で、タスクの管理や報連相、スケジュールの自己管理などが求められると、ADHDの特性が影響して業務に支障が出てしまうこともあります。

しかし、これは「能力がない」ということではありません。

ADHDの方は、集中できる環境や工夫が整うと、驚くほど高い集中力(ハイパーフォーカス)を発揮したり、アイデアや創造性で力を発揮したりすることも多いのです。

そのため、大切なのは、自分の特性を知ってうまく付き合いながら、自分に合った働き方を見つけていくことと言えるでしょう。

ADHDのある人がタスク管理を難しいと感じる理由

ADHDの特性は、仕事の場面でもさまざまな困りごとを引き起こします。

どのようなものがあるのか見ていきましょう。

複数の仕事を同時にこなすのが苦手

仕事では「○○しながら□□を進める」といったマルチタスクが求められることがありますが、ADHDの方は一つの作業に集中していると、他のことを同時に処理するのが難しい傾向があります。

また、途中で話しかけられたり電話が鳴ったりすると、今していた作業をすぐに忘れてしまうこともあります。

仕事の優先順位がつけられない

目の前の作業に取りかかるまではスムーズでも、どれからやるべきかの判断がつきにくく、結果として締め切りに間に合わなかったり、重要な仕事を後回しにしてしまうことがあります。

タスクの重要度や緊急度を客観的に捉えるのが難しく、全部同じくらい大事に感じてしまうという状態に陥ることも珍しくありません。

スケジュール通りに動くのが難しい

時間の見積もりがうまくできない時間感覚のずれがあることも多く、「あと10分でできると思っていたのに30分もかかってしまった」といったことが頻繁に起こります。

結果として、遅刻や納期の遅れが生じやすくなり、自信を失う要因にもつながります。

忘れ物や遅刻が多い

物を決まった場所に置いておくのが苦手だったり、朝の準備に手間取ってしまったりすることで、忘れ物や遅刻が頻発します。

また、会議や提出物の締切をうっかり忘れてしまうといった「うっかりミス」が続くことも多く、周囲からの信頼に影響するのではと不安に感じる方もいます。

タスクの全体像を把握しにくい

ADHDの方は、タスクの一部だけに注意が集中しやすく、全体を見て段取りを立てることが苦手な傾向があります。

そのため、作業の途中で必要なステップを飛ばしてしまったり、手順を誤ったりすることがあります。また、自分がどこまで進んでいるのかがわからなくなり、抜けや漏れが起きやすくなります。

ここに挙げたような困りごとは、決して本人の努力不足ではありません。

特性に合わせたタスク管理や働き方の工夫を取り入れることで、少しずつ解消していくことが可能です。

仕事のスケジュール・タスク管理方法

タスク管理が苦手なADHDの方でも、工夫次第で仕事をスムーズに進めることが可能です。

大切なのは、自分に合った「シンプルで続けやすい方法」を見つけることです。以下に紹介する方法は、実際に多くの方が効果を実感している代表的なものです。

1日のタスクを「見える化」する(TODOリスト)

・まずは、やるべきことをすべて紙やアプリに書き出します。
・頭の中にタスクを留めておくのではなく、「見える化」することで、漏れや忘れを防げます。
・タスクごとに□マークをつけ、終わったら✔を入れることで、達成感も得られます。

→【例】□ メール返信 □ 書類提出 □ 会議資料の作成

タイマーを使って集中を維持する(ポモドーロ・テクニック)

・「25分作業+5分休憩」といった短いサイクルで仕事を区切ります。
・スマホのタイマーや、ポモドーロ専用アプリを使うと管理しやすいです。
・時間を区切ることで、「今はこのタスクに集中する時間だ」と気持ちを切り替えやすくなります。

タスクを小分けにする(ステップ化)

・1つのタスクが大きすぎると、始めること自体が億劫になります。
・例えば「プレゼン資料を作る」という大きなタスクを、「構成を考える」「スライド5枚作る」「見直す」といった細かいステップに分けていくと、取りかかりやすくなります。
・小さく分けることで達成感も得られやすくなり、モチベーションが持続します。

タスク管理アプリを活用する

視覚的にタスクを管理できる以下のようなアプリは、ADHDの方にとっても有効です。

Todoist

シンプルで直感的な操作が可能。タスクに期限や優先度を設定できる。

Trello

ボード型の管理ができ、タスクの進捗を「見える化」できる。

Notion

自由度が高く、タスク管理+メモ+情報整理が1つにまとめられる。最初は「やりやすい」「わかりやすい」アプリを1つ選ぶのがコツです。

タスク管理をすることのメリット

タスク管理を日常的に取り入れることで、ADHDのある人は仕事のやりやすさだけでなく、心の安定や自己評価にも良い影響を受けることができます。

タスクの抜けや忘れを防げる

ADHDの方にとって「うっかり忘れた」「やっていなかった」といった抜け漏れは、大きなストレスや自信の低下につながります。

タスク管理を習慣にすることで、このような失敗が減り、安心して仕事に取り組めるようになります。

自分の作業状況が見えるようになる

頭の中だけでスケジュールや作業量を把握しようとすると、混乱したり、過剰に焦ったりしてしまうことがあります。

タスク管理によって、どれだけ進んでいるか・あとどのくらい残っているかが目に見える形でわかるようになり、心に余裕が生まれます。

小さな成功体験を積み重ねられる

たとえば「5分集中してできた」「3つのタスクにチェックが入った」といった些細な達成も、積み重ねることで大きな自信になります。

「今日は何もできなかった…」という気持ちから、「思ったよりやれたかも」「次はこうしよう」といった前向きな気持ちへと変化していくのです。

自己肯定感が高まり、意欲が持続する

できたことに注目し、「自分でもやれる」という感覚を持つことで、「また明日も頑張ろう」と思えるようになります。

これは、タスクを「管理すること自体」が目的ではなく、「自分らしく仕事をするための土台になる」ことを意味しています。

タスク管理のポイント

ADHDの特性とうまく付き合いながら、タスク管理を続けるためには次のようなコツがあります。

複雑にしすぎない

タスクの管理方法にルールをたくさん設けすぎると、それ自体がストレスになり、続けるのが難しくなってしまいます。

管理の仕組みは、視覚的にわかりやすく、使いやすいことを重視しましょう。

シンプルで直感的に使える方法のほうが、毎日の中で無理なく取り入れられます。

仕組みで補う

ADHDのある方は、日によって集中力やモチベーションに波があることが少なくありません。

そのため、「やる気が出る日」だけをあてにせず、アラームやリマインダー、タスク管理アプリなど、自動的に行動を促してくれるツールを取り入れることが有効です。

意志の力だけに頼らず、うっかりや忘れを防ぐ「仕組み」を持つことが、継続のコツになります。

振り返りを取り入れる

1日の終わりに、「できたこと」と「うまくいかなかったこと」を書き出してみることで、自分なりの改善ポイントが見えてきます。

「このやり方は合っていた」「もっとこうすればやりやすくなりそう」などの発見は、次の日の工夫につながります。

すべての予定が完璧にこなせなかったとしても、「今日はこれができた」と前向きに自分を認める姿勢が、タスク管理を続ける力になります。

ADHDの方が活用できる就労サービス

ADHDのある人が自分らしく働き続けるためには、必要に応じて支援サービスや外部のサポート

を利用することも非常に有効です。

障害者就業・生活支援センター(ナカポツ)

地域にあるナカポツ(通称)は、発達障害や精神障害などを持つ方が、職場で安定して働き続けられるよう支援を行っている公的機関です。

・就労に関するアドバイスや相談
・職場との調整や配慮事項の整理
・通院・生活支援との連携

などの相談ができ、仕事探しから職場定着まで、幅広く相談が可能です。

就労移行支援事業所(障害福祉サービス)

「すぐに働くのは不安」「まずは働く準備をしたい」という方は、就労移行支援事業所を利用するのも選択肢です。

発達障害に理解のあるスタッフのもとで、以下のような支援を受けながら就職を目指します。

・ビジネスマナーやコミュニケーションの練習
・作業訓練やパソコンスキル習得
・面接練習や履歴書の添削
・企業実習の紹介

事業所によって支援内容や雰囲気が異なるため、見学や体験をしてから選ぶのがおすすめです。

発達障害者支援センター

全国に設置されており、発達障害に特化した支援を行っています。

診断前後の相談、職場での困りごと、家族との関係など、生活全体を支えるような相談ができます。

■ 主治医や産業医との連携

ADHDの診断がある場合、主治医に症状と仕事の状況を相談し、必要であれば医師から「合理的配慮」の申し出を行うことも可能です。

また、企業に産業医がいる場合は、その医師に職場での配慮について相談することもできます。

まとめ

ADHDのある方にとって、日々のタスクを管理することは容易ではありません。

しかし、自分に合った手法を見つけ、適切な工夫を取り入れることで、業務をより円滑に進めることが可能になります。重要なのは、完璧を目指すのではなく、「今できること」に着目し、現実的かつ持続可能な働き方を模索することです。

タスク管理は、困難を軽減し、安定した仕事の土台を築くための有効な手段となります。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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