障がい者雇用のメリットとは?助成金や優遇措置についても解説
- 公開日:
- 2026.01.30
- 最終更新日:
- 2026.02.06
「障がい者雇用ってどういう制度?」
「障がい者雇用と一般雇用にはどのような違いがあるんだろう?」
障がい者雇用を考えている企業担当者の方は、このような悩みを持っている方が少なくありません。障がいのある方を雇用する場合、企業が果たすべき義務があり、採用に際しても障がいの特性を考慮し、職務負担や業務内容を調整する必要があります。
今回は、障がい者雇用と一般雇用の違いや進め方、果たすべき義務などについてわかりやすく紹介します。企業の担当者様はよかったら参考にしていただき障がい者雇用を進めてみてください。
また、これから障がい者雇用について知識を深めたい方のために入門向けの資料もご用意しています。基本的な障がい者雇用の知識や採用のポイントについて知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

<この資料でわかること>
・障がい者雇用の基礎知識
・雇用が必要な障がい者人数の計算方法
・障がい者採用の流れとポイント
目次
障がい者雇用とは
障がい者雇用とは、心身に障がいを持っている方を一般雇用とは別枠で雇用することです。
企業が適切な環境を整え、障がいのある方が働く機会を得られるようにする仕組みであり、日本では「障害者雇用促進法」によって規定されています。
障害者雇用促進法では、企業が果たすべき義務や差別の禁止なども定められています。
目的
障害者雇用の目的は、障がい者が職業を通じて社会参加し、その能力を発揮する機会を得て、職業的自立を実現することです。
対象者
障がい者雇用の対象者は、障害者手帳を持っている方です。障害者手帳には、以下のような種類があります。
「身体障害者手帳」:身体障害者手帳は身体に障がいを持っている方が持っている手帳
「療育手帳」:知的障がいを持っている方が持っている手帳
「精神障害者保健福祉手帳」:精神疾患(発達障がいを含む)のある方が持っている手帳

障がい者雇用と一般雇用との違い
障がい者雇用を検討している企業にとって、一般雇用との違いを理解し適切なサポート体制を整えることが重要です。ここでは、障がい者雇用と一般雇用の違いを紹介します。
一般雇用で働く場合
一般雇用では、障がい者に対する合理的配慮の提供義務はなく、必要とする人材を自由に採用できます。また、通常は企業側の職場環境や規則、勤務時間を調整する必要もありません。
また、障がい者側も、条件さえ満たせば誰でも応募でき、求人数や職種も多いのが特徴です。しかし、障がいを持っている方にとって、障がいへの理解や配慮が得られにくく、長期的に働くことが難しいケースが多くみられます。
障がい者雇用で働く場合
障がい者雇用では、障がいを持っている方に対して合理的配慮を提供する義務を果たさなければなりません。
具体的には、採用時に障がいの程度や特性に応じた仕事内容や、配属先を決める必要があります。採用後も必要に応じて仕事内容や勤務時間の調整をして、障がい者雇用の担当者を設け、相談窓口の設置を考えなければなりません。
障がいを持っている方にとっては、障がい者雇用では、働きやすい環境が提供されることが多いのがメリットです。企業が勤務時間や休憩時間、業務内容などを相談しやすい体制も整えてくれています。
しかし、一般雇用に比べると求人数や職種が少なく、希望通りの仕事を見つけることが難しくなるといったデメリットがあります。
企業側の障がい者雇用のメリット
労働力の確保
少子高齢化でさまざまな分野で人手不足の状態の中、障がい者雇用は、貴重な労働力確保の手段になります。適切な業務に割り当てることで、企業にとって有益な戦力として働いてもらうことが可能です。
また、長期的な雇用の安定につながり、採用コストの削減にも寄与します。
企業ブランディングの向上
障がい者雇用を積極的に進めることで、社会的責任を果たしていると評価され、企業のブランド価値の向上につながります。消費者や取引先から信頼を得るだけでなく、優秀な人材の確保にも良い影響を及ぼします。
組織の活性化
多様な人材がともに働くことで、組織の柔軟性や創造性が向上します。障がい者雇用を通じて、社員同士が互いに理解を深め、協力し合う雰囲気が作り出されることで、組織全体のコミュニケーションが活性化し、チームワークの強化につながります。

障がい者雇用で企業が受けられる優遇措置
障がい者を多数雇用する企業に対しては、不動産取得税・固定資産税の減税特例、事業所税の特例が設けられています。
これらの税制優遇措置は、障がい者雇用を積極的に行う企業の設備投資や事業運営コストを軽減するために設計されています。具体的には、障がい者の雇用に必要な施設や設備を取得した際に、通常よりも低い税率が適用されたり、税額が軽減されたりします。
また、障害者雇用納付金制度に基づいて固定資産を取得した場合は、その助成金の額は総収入額に不参入(所得税)または損金算入(法人税)される仕組みになっています。効果的に活用することで、税務上の負担を抑えながら、障がい者が働きやすい環境整備を進めることが可能です。
なお、優遇措置の要件確認については最寄りのハローワークに、制度の詳細については最寄りの税務署または都道府県税事務所に問い合わせることをお勧めします。
出典:厚生労働省「障害者雇用に係る税制上の優遇措置」
障がい者雇用で活用できる助成金
障がい者雇用を促進するために、企業が活用できるさまざまな助成金制度が用意されています。
助成金は、障がいを持っている方を雇い入れた場合、施設などの整備や適切な雇用管理の措置を行った場合、職場定着のための措置を実施した場合など、タイミングや目的に応じて各種制度が設けられています。
例えば、特定求職者雇用開発助成金は、雇用困難と考えられる方を雇用した際に、職場環境を整備するためにかかった費用を支援してくれる制度です。企業の経済的負担を軽減しながら、障がいを持つ方が働きやすい環境を整備できます。
▼助成金について詳しくはこちら
「【2025年最新】障がい者雇用の助成金一覧!受給条件や注意点も詳しく解説」

企業側の障がい者雇用のデメリット
環境整備のためのコスト
障がいを持っている方が働きやすい職場を整えるためには、バリアフリー化や業務補助機器の導入などが必要となります。
また、障がいの特性に応じた作業環境の調整や、安全対策の実施が経済的負担となることが少なくありません。このようなコスト負担は、企業にとって経済的な問題を引き起こす可能性があります。
業務調整やマネジメントの負担
障がいを持っている方がスムーズに業務が行えるよう、業務内容の見直しや調整が必要となります。また、障がいの種類や個々の特性に応じた指導サポートが必要になるため、同僚の負担が増える可能性があります。
多くの中小企業にとって、こうした業務調整やマネジメントの負担が問題です。
相談窓口設置など人的コスト
障がい者雇用を適切に進めるためには、専門の担当者を配置したり、社内に相談窓口を設置したりするのが望ましいです。しかし、こうした体制を整えるには、人的コストが発生します。
特に、障がいに関する専門知識を持つスタッフの確保や育成が必要になるため、人材に余裕のない企業にとって大きな負担となる可能性があります。
障がい者雇用について企業が直面している課題
法定雇用率未達成企業が多い
障がい者雇用数は年々増加していますが、企業が障がい者雇用を進める上でさまざまな課題に直面しています。
中小企業を中心に法定雇用率未達成の企業が多く、令和6年に厚生労働省が行った調査によると、54%で前年から4.1%増加しています。法定雇用率未達成の理由は、企業によりさまざまですが、障がいを持っている方に任せられる仕事がないと考えている企業もあるようです。
また、障がいを持っている方を雇用するための環境整備のノウハウ不足や、財政的な余裕がなく実行できない企業も少なくありません。
障がいへの知識が不十分で、障がいを持っている方への配慮が難しい
障がいといっても身体障がいや知的障がい、精神障がいなどさまざまな特性があり、それぞれの知識を十分に持っていないと、適切な職種や仕事内容、環境整備をどうすれば良いのかわかりません。
障がいに対する知識が不足しているために、障がい者雇用を実行できない企業が多くみられます。

障がい者雇用をスムーズに進めるポイント:支援制度・相談機関
行政の支援制度を活用する
障がい者雇用を円滑に進めるためには、国や自治体が提供する支援制度の積極的な活用が重要です。
例えば、障害者職業センターでは、障がい者雇用に関する企業のニーズや雇用管理に関係する課題を分析し、専門的なアドバイスや援助を受けることができます。ハローワークは募集方法や面接の進め方など障がい者雇用の基本的な悩みを相談するのに適しています。
また、トライアル雇用制度を利用すれば、障がいを持っている方を一定期間試しに雇用し、業務への適性を見極めてから常用雇用に移行できます。適性を見極めた上で常用雇用への移行を判断できるため、ミスマッチの少ない採用活動が行えます。
▼支援機関について詳しくはこちら
「障害者雇用の支援機関とは?種類や支援内容について解説」
民間の支援機関からサポートを受ける
障がい者雇用の進め方や環境整備などについて疑問がある場合は、民間の支援機関からサポートを受けることをおすすめします。
例えば、障がい者雇用向けの支援サービスでは、障がい特性に合わせたマッチングや職場定着支援、業務調整のコンサルティングを受けられます。
採用後のフォローアップや合理的配慮の具体策を効率的に実施しやすくなり、長期的な雇用継続にも役立ちます。
▼障害者雇用支援サービスについて詳しくはこちら
「障がい者雇用支援サービス15選!主な種類とタイプ別メリット・デメリットも解説」

障がい者雇用の採用計画から定着支援までの手順
障がい者雇用の進め方は以下の4つの段階に分けることができます。
現状把握と目標設定
最初に自社の雇用状況を確認し、法定雇用率の達成状況や障がいごとにどのような職種や業務が適しているかを分析します。
その後、社内で障がいを持っている方に任せられる業務があるのかを確認し、どのような人材を採用しどのような職場環境に整備していくのかなどの目標を設定します。このように計画的に障がい者雇用を進めていくことが大切です。
職場環境の整備
障がいを持っている方が安心して働けるよう、必要な設備の導入や就業規則の見直しなどを行います。バリアフリー化や支援機器の活用に加え、社員が障がいについての理解を深めるために研修を実施することも効果的です。
働きやすい環境を整えることで、採用後の定着率向上にもつながります。
採用活動
ハローワークや人材紹介会社、支援機関などを活用しながら採用活動を進め、ニーズに合った人材を探します。応募者の障がい特性や希望を正確に把握して、適切な業務を割り当てることが大切です。
面接や選考では、業務内容や職場環境について丁寧に説明し、必要に応じて職場見学をしてもらい、自社で働く意思に変わりがないことを確認します。
採用活動中にしっかりコミュニケーションを取り、お互いに理解を深めることが重要です。
定着支援とフォローアップ
採用後は、定期的な面談や相談の機会を設け、働きやすい環境を確保するためのフォローを行います。
上司や同僚とコミュニケーションを取りやすい環境作りも、定着につながる重要な要素です。
必要に応じて業務の調整やフォローアップ、サポート体制の見直しを行い、長期的に安心して働ける環境を整備します。
まとめ
障がい者雇用は企業にとって、法的義務を果たすだけでなく、職場の多様性を促進し、社会的責任を全うする重要な取り組みです。
一般雇用とは違い、障がいを持っている方に配慮した職場環境の調整が求められます。企業は、法定雇用率の達成や障がい者の就労支援を通じて、社会的評価や企業文化の向上につながり、さらには助成金や税制優遇を享受できます。障がい者雇用を進めるには、計画的かつ継続的なサポートと柔軟な対応が必要です。
成功のカギは、障がいを持っている方が活躍できる環境を整え、その才能を最大限に引き出すことにあります。この取り組みが企業の成長につながり、長期的な利益をもたらすことを期待できます。

この記事を書いた人
サンクスラボ編集部
サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。