【令和7年】ロクイチ報告とは?障害者雇用状況報告書の提出期限と注意点について解説
- 公開日:
- 2025.03.06
- 最終更新日:
- 2025.06.11

「ロクイチ報告を提出するように報告書が郵送されてきたが、作成の方法がわからない」と悩んでいる方もいるかと思います。そこで、本記事では、ロクイチ報告の概要や作成の方法を解説します。
また、ロクイチ報告について解説している無料のセミナーも随時開催しております。ロクイチ報告の義務がある担当者の方に役立つ内容となっているのでお気軽にご参加ください。
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内容
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目次
ロクイチ(61)報告とは
ロクイチ(61)報告とは、毎年6月1日時点の自社における「高年齢者および障がい者の雇用に関する状況」を報告書として作成し、本社がある地域を管轄しているハローワークに報告する作業です。6月1日現在の状況を報告するので、ロクイチ報告と呼ばれています。
作成された報告書は「障害者雇用状況の集計結果」としてまとめられ、全国の障害者雇用率として公開されます。また、行政は各企業がどのくらい高齢者や障害者を雇用しているかも把握することも報告書提出の目的です。
ロクイチ報告の提出義務がある対象企業
ロクイチ報告では、以下のような企業を対象に「高年齢者雇用状況報告書」および「障害者雇用状況報告書」の提出義務が求められます。
- 高年齢者雇用状況報告書:常用労働者が31人以上の事業所
- 障害者雇用状況報告書:常用労働者数が40人以上の事業所
これまで障害者雇用状況報告書の提出義務は常用労働者43.5人以上の企業でしたが、令和6年4月の法定雇用率の引き上げによって常用労働者40人以上の企業となりました。
令和8年度からは法定雇用率は2.7%に引き上げられ、ロクイチ報告の義務がある企業も常用労働者37.5人以上となります。これまで報告義務がなかった企業も対象となってくるため、今までロクイチ報告が必要なかった企業は注意が必要です。
また、障害者雇用状況報告については、雇用している障害者の数が0人の場合であっても報告する必要があります。
ロクイチ報告をしない場合、または虚偽の報告をした場合は、障害者雇用促進法 第86条第1号の規定により、罰則(30万円以下の罰金)の対象となるので気をつけましょう。
高年齢者・障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)の提出手順
ここでは、高年齢者・障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)の提出方法や手順を説明します。
高年齢者・障害者雇用状況報告書の提出を初めて求められた事業所にもわかりやすく解説していくので、参考にしてください。
ロクイチ報告の提出方法と提出先
ロクイチ報告の提出方法は、大きく分けて2つの方法があります。
1.郵送または持参
事業所の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)へ、作成した報告書を郵送するか、直接持参して提出します。厚生労働省(ハローワーク)から送られてくる報告書用紙、または厚生労働省のウェブサイトからダウンロードした報告書用紙を使用します。
2.電子申請
政府が運営する電子申請システム「e-Gov」を利用してオンラインで提出することも可能です。電子申請を行う際には、報告書用紙の郵送時に同封されているユーザーIDとパスワードが必要になります。
毎年6月頃になると、厚生労働省(ハローワーク)から事業所宛に報告書用紙が郵送されてきます。この用紙には、記入方法を説明した「記入要領」も同封されています。特に障害者雇用状況報告書については、企業ごとの状況によって記入内容が異なるため、この記入要領をよく確認することが重要です。
令和7年のロクイチ報告については以下の厚生労働省のページに提出方法など詳細が書かれていますので、ご確認ください。
ロクイチ報告の提出期限はいつまで?
ロクイチ報告の提出期限は、毎年7月15日です。この報告は6月1日時点の状況を報告するため、提出期間が短い点に注意が必要です。
提出期限を過ぎてしまった場合、以下のような影響が考えられます。
報告書の種類 | 影響 |
---|---|
高年齢者雇用状況等報告書 | 提出遅延による直接的な罰則はありません。ただし、勧告に従わない場合は企業名公表の可能性があります。 |
障害者雇用状況報告書 | 障害者雇用促進法に基づき、30万円以下の罰金が科される可能性があります。 |
期限を過ぎてしまった場合でも、速やかに管轄のハローワークに連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。報告は法律で定められた義務ですので、必ず提出するようにしてください。
ロクイチ報告については無料ウェビナーでも解説しているので、ロクイチ報告に不安がある方はぜひご参考いただければと思います。
ロクイチ報告作成前に確認すること
高年齢者・障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)を作成する前に、6月1日時点における以下の人数を把握してください。
- 常用雇用労働者数
- 定年到達者の人数
- 45歳以上の高年齢者のうち離職者の人数
- 障害者の人数
常用雇用労働者とは、週20時間以上勤務している労働者で雇用期間が定められていない者です。雇用形態は問われません。アルバイトでもパートタイムでも週20時間以上勤務しており、「雇用期間」がさだめられていない、もしくは見込みを含めて1年以上の期間雇用が続いている者は常用労働者です。
また、派遣社員のうち「常用型派遣」は常用雇用労働者にカウントされます。「登録型派遣」の場合は、派遣元が雇用者になるので含まれません。つまり、登録型派遣社員が10名、正社員が3名ならば、常用雇用労働者は3名となります。
さらに就業規定によって、65歳以上でも働ける仕組みが整備されている会社は、高年齢雇用状況を確認してください。慣例や実態は含まれません。例えば、「××さんは65歳で定年になったが、我が社は慣例で10年前から70歳まで大部分の方が働いている」といった場合は、含まれないので注意してください。
逆に「今まで誰も利用したことはないが、就業規則では、65歳以上でも働ける規則が定められている」場合は確認のうえ、記入が必要です。
雇用障害者数のカウント方法
障害者を常用雇用している企業は、以下の方法でカウントを行います。
- 週30時間以上勤務しており見込みを含め1年以上雇用が見込まれている労働者:1
- 週20時間以上30時間未満の勤務している労働者:0.5 (時短労働者)
- 週10時間以上20時間未満の勤務をしている労働者(条件付き):0.5 (時短労働者)
2024年4月より週10時間以上20時間未満の勤務をしている常用雇用労働者のうち、重度の身体及び知的障害者、精神障碍者も0.5としてカウントできるようになりました。
また、重度身体及び知的障害者は、カウント数が2倍になります。
そのため、週30時間以上勤務している障害者の常時雇用労働者が1名、時短労働者が2名いる場合、カウントは2となります。また、時短労働者の重度の身体及び知的障害者が2名雇用されている場合は、カウントは2となります。
このほか、障害者としてカウントされるには「障害者手帳」を所持していることが条件です。障害の種類や程度によっては、主治医から「障害者手帳を保有する条件を満たさない」と判断され場合は、障害者としてカウントされません。
障害者雇用状況報告書を作成する前に、6月1日時点で障害者雇用枠で雇用をしている労働者に障害者手帳を保有しているか確認してください。「障害者手帳を返却していることを知らなかった」では許されないケースもあります。
高年齢者・障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)を書く際の注意点
最後に、高年齢者・障害者雇用状況報告書(ロクイチ報告)を作成する際の注意点を紹介します。
記入を間違えたからといってペナルティは発生しませんが、書き直しの手間がかかります。
高齢者雇用状況報告書を書く際の注意点
前述したように高齢者雇用状況報告書を作成する際は、就業規則を確認してください。歴史ある企業の場合、就業規則が作られた時代の定年が60歳だったというケースもあります。
就業規則で定年が60歳と定められている場合は、速やかに改善し、定年の改定・廃止を予定している年月を報告書に記入してください。近年は定年を定めない事業所も増えています。
また、「継続雇用制度」とは従業員が定年に達した後も希望すれば継続して働ける制度、「創業支援措置」とは、業務委託として従業員が働きたい場合に利用できる制度です。
例えば、定年した従業員を継続して雇用するのは難しいが、特定の仕事は依頼したいといった場合に実施できます。なお、「顧問契約」は「業務委託契約」とは異なるので、混同しないように注意してください。
このほか、過去1年間の離職者を記入する際は総数のほか、女性の人数を記入する欄があるので、忘れずに記入してください。
障害者雇用状況等報告書を書く際の注意点
障害者雇用状況等報告書を作成する場合は、前述したようにカウントの仕方に注意してください。特に、週10時間以上20時間未満の勤務をしている労働者のうち、法定雇用率にカウントされるのは、重度の身体および知的障害者と、精神障碍者だけです。軽度の身体・知的障害者はカウントされません。
また、障害者雇用状況等報告書を作成する際、事業所側は人数以外にも人数、障害種別、障害程度を把握しなければなりません。障害に関する情報はデリケートかつ個人情報です。取得に際しては利用目的を明確にするだけでなく、本人の同意が必要になります。
例えば、作成中の書類を誰でも見れるところに置いておかない、電子版で作成して保存する場合は、パソコンのセキュリティを厳重にするなどの対処が必要です。
特に、障害者手帳に関する情報は障害者本人も報告しにくいケースがあります。報告を求める際は第三者の目がないところで聞き取りを行う、文章で提出を求めるなど工夫しましょう。
まとめ
今回は、通称「ロクイチ報告」と呼ばれる高年齢者・障害者雇用状況報告書の概要や提出が求められている事業所の条件、作成方法などを紹介しました。
基本的な作成方法は書類が送られてくる際に添付されています。また、社会保険労務士にもサポートを依頼できます。
毎年報告が必要なので、担当者にとっては面倒な業務かもしれません。しかし、高年齢者・障害者雇用状況報告書を作成することにより、就業規則や雇用状況の見直しにもつながります。
特に、就業規則に関しては「作っただけでそのまま」といった事業所も多いでしょう。また、障害者を法律通りに雇用していれば、報奨金の対象にもなります。

この記事を書いた人
サンクスラボ編集部
サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。
