【2025年5月開催】サンクスラボa型事業所成果発表会(鹿児島、大分、広島紙屋町オフィス)
- 公開日:
- 2025.05.28
- 最終更新日:
- 2025.05.30

こんにちは!サンクスラボ編集部の江崎です。
毎月恒例となる、サンクスラボa型事業所で働く障がいのある方(以下タレントと表記)の成果発表会を2025年5月に開催しました。
今回は鹿児島、大分、広島紙屋町の各オフィスから8名のタレントさんに発表いただきましたが、その中でも2名の方をピックアップし、サンクスラボ入所前と後でどのように変化していったのか、ビフォーアフター形式でご紹介したいと思います。
4月開催の成果発表会の記事は以下からご覧いただけます。
関連記事:【2025年4月開催】サンクスラボa型事業所成果発表会(北谷、浦添、那覇、名護オフィス)
成果発表会の目的
成果発表会とは、企業人事担当者様をお招きし、サンクスラボで働くタレントさんの日々の取り組みを発表することで、具体的なスキルセット、人物イメージや採用イメージを深めていただくイベントになります。
障がい者雇用にイメージがわかない企業様に対しても、まずはライトにご参加いただくことで障がい者の正しい認知を広げるとともに、採用イメージを深めていただくことも可能となります。
タレント①:Iさん
自己紹介・社歴

鹿児島オフィスに在宅勤務で所属しているIさんは、大学でフランス語を専攻されており、卒業後は米軍担当の営業職として翻訳業務に携わっていたほか、刑務所での所信家として手紙の検閲業務にクローズ就労で従事されていたご経験もあるそうです。
現在は、自閉症スペクトラムと摂食障害の診断を受けており、日常生活では強いこだわりや、人と接するときの緊張感、そして食事に対する不安から、特定のメニューに偏りがちになることなど、ご自身の特性について説明してくださいました。
趣味は書道と音楽鑑賞とのことです。
サンクスラボ入所前

サンクスラボに入社する前、Iさんは睡眠障害に悩まされており、ナルコレプシーのような睡眠発作が日常的に起きていたそうです。
また、スケジュールにあらかじめ面談などの予定が入っていると、それが気になって緊張してしまい、前日の夜に眠れなくなることもあったといいます。業務中にも、めまいやパニック発作の前兆を感じることがあり、その際は5分ほどの休憩を取ることで、気持ちを落ち着けていたそうです。
さらに、栄養バランスの整った食事を十分に摂ることが難しく、体調管理という面でも課題を感じていたとのことでした。
サンクスラボ入所後

サンクスラボに入社してから、Iさんには目を見張るような変化がありました。
まず、毎日の生活リズムを整えることを意識し、積極的に睡眠時間を確保するよう心がけた結果、長年悩まされていた睡眠発作が起こらなくなったそうです。そのおかげで、業務中に急な休憩を取る必要もなくなり、集中して最後まで仕事に取り組めるようになったと話してくれました。
また、支援員と一緒に取り組んできたのが、イレギュラーな予定への対応力を高めること。臨時のイベントなどにも少しずつ慣れていけるよう練習を重ねたことで、今では先の予定もスムーズに立てられるようになったとのことです。
健康面でも大きな前進がありました。栄養講座で学んだ知識を日々の生活に取り入れながら、バランスの良い食事を心がけたことで、体調の改善にもつながっていると実感されているようでした。

スキル面でも、大きな成長が見られました。
パソコン業務では、さまざまなツールや媒体を使いこなしながら取り組む中で、他の利用者さんへのレクチャーも担当するように。人前で話すのが苦手だったそうですが、こうした経験を重ねることで、抵抗感が薄れてきたと話していました。今では、それもひとつの「スキル」として身についたと実感しているそうです。
また、MOS Wordスペシャリストの資格も見事に取得し、スキルアップをしっかりと形にされています。
そのほかにも、支援員の適切な言葉遣いに日々ふれる中で、自然と丁寧な敬語が使えるようになったことや、就労を通じて生活リズムが整い、健康的でメリハリのある毎日を送れるようになったことも、ご自身の変化として挙げていました。
さらに、講座で「自分を客観的に見つめる」というトレーニングを受けたことで、感情や行動のコントロールがしやすくなり、状況に応じた対応も取れるようになってきたと、内面的な成長についても語ってくださいました。
今後の目標
今後の目標として、IさんはまずMOSのエキスパート資格の取得を目指しており、それに加えて、さまざまなパソコンスキルも身につけていきたいと話されていました。
そして、何よりも強く願っているのが「正社員として在宅で、一生現役で働き続けること」。その思いには、これまでの経験を力に変えて、長く安定した働き方を実現したいという強い意志が込められていました。
さらに、将来的にはご家族を支えたり、ボランティア活動などを通じて社会に貢献しながら余生を過ごしたいという、あたたかな人生設計も語ってくださいました。「サンクスラボで支援員さんに助けてもらったように、今度は自分が誰かの力になりたい」と、社会の中で誰かの支えになりたいという思いを、力強く伝えてくれました。
かつては、人前で自分の考えを話すなんて考えられなかったというIさん。今こうして発表の場に立てたのは、支援員の皆さんのサポートがあったからだと、感謝の気持ちを丁寧に述べられました。そして、将来元気に働き続けることが、その恩返しになると思っています――そう力強く締めくくってくださいました。
タレント②:Kさん

鹿児島オフィスに所属するKさんは、2013年に短期大学を卒業後、約8年間にわたり一般企業で働いてこられました。
しかし、2020年に体調を崩し、やむを得ず退職。その後はさまざまな経験を重ね、2024年12月にサンクスラボへ入社されました。
自閉症スペクトラム障害と適応障害に伴ううつ症状の診断を受けており、感覚過敏や気分の落ち込みといった症状があるそうです。
サンクスラボ入所前

サンクスラボに入社する前のKさんは、人との関わりに強い苦手意識があり、何でも一人で抱え込んでしまう傾向があったといいます。
そのため、タスクを一人で抱えすぎてしまい、限界を迎えてしまうことも少なくなかったそうです。
また、心身の疲れを感じやすい特性が判断力の低下につながり、日常生活にも影響を及ぼす場面が多々あったとのこと。そうしたさまざまな要因が重なって、生活リズムが乱れがちになり、体調を崩してしまうこともあったと振り返っていました。
サンクスラボ入所後

サンクスラボに入社してから、これまでの状態が大きく改善されたそうです。
Kさんは、その改善の大きな要因として、支援員との信頼関係の築きや、十分な環境面での配慮があったことを挙げています。対人関係については、社会の一員であるという意識が強まり、事業所の皆さんとも穏やかに接することができるようになったとのことです。
また、タスクの量についても、自分の健康状態やキャパシティを理解できるようになり、適切に報告・相談ができるようになったことで、ストレスの軽減や業務の効率アップに繋がったと話していました。
さらに、支援員のサポートを受けて、時計を見ながら行動する習慣が身につき、就寝時間を意識して行動できるようになったことで、生活習慣の改善にもつながっていると語っています。

スキル面で特に印象に残っている経験として、新しい業務のレクチャー担当を挙げていました。
未経験の業務を一から理解し、複数名に対してオンラインでレクチャーを行うまで担当されたそうです。
限られた期限の中、周囲の協力を得て無事に成功させ、高い評価も受けたこの経験からは、客観的な視点や相手のペースを考慮する大切さ、実際に手を動かして理解することで疑問を解消すること、そして周囲を頼ることの重要性を学んだと話していました。
こうした経験は、現在だけでなく今後にも大いに役立てていきたいと考えているそうです。
今後の目標

Kさんは今後の目標として、まずはMOS Excelエキスパートの資格取得を目指しているそうです。そのうえで、他のMicrosoftの機能についても習得していきたいと考えているとのことでした。
さらに、安定して通所を続ける中で、将来的に長時間の勤務にも対応できる体力をつけていきたいという、現実的な目標もお話されていました。
そして最終的には、企業への就職とその後の職場定着を目指しているという、サンクスラボでの取り組みの先にある、しっかりとしたゴールを描かれていました。
まとめ
今回は、成果発表会でご自身の経験や成長をお話してくださったIさんとKさんの発表をご紹介させていただきました。
お二人とも、サンクスラボを利用される前は、体調の不安や人間関係、自己肯定感の低さといった課題を抱えていらっしゃいました。そんな中で、サンクスラボの環境や支援員のサポートのもと、生活リズムが整い、体調も安定。業務スキルもどんどん向上し、社会とのつながりや自信を少しずつ実感されている様子が印象的でした。
発表の中で語られていた「これからの目標」にも、働くことを通じて自分らしく生きていきたいという前向きな気持ちが表れていて、聞いているこちらもとても心を動かされました。
また、企業関係者の方々にとっても、障がいのある方々の能力や可能性を知っていただく良い機会になったのではないかと思います。
今回の成果発表会を通して、サンクスラボでの取り組みが、働くことによる自己実現や、誰もが共に生きる社会づくりにつながっていることを改めて感じることができました。
成果発表会は今後も開催予定ですので、また次回も素敵なストーリーをご紹介できればと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!