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障害者雇用納付金とは?計算方法や申告期限などわかりやすく解説

公開日:
2025.03.13
最終更新日:
2025.04.23

現在は法律によって、「障がいのある方を定められた割合以上に雇わなければならない」と決められています。そしてこれを守れなかった場合、障害者雇用納付金を納めなければなりません。

本記事では、障害者雇用納付金とは何かや、計算方法、いつまでに申告が必要かなどをわかりやすく解説をしていきます。

障害者雇用納付金を納める必要がある企業の方はぜひ参考にしてください。

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障害者雇用納付金とは

障害者雇用納付金とは、企業が障害者雇用の責任を果たせるよう設けられた制度です。

常時雇用労働者が100人超の企業には、一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇う義務があり、未達成の場合は不足人数1人につき月5万円を納めます。逆に、法定雇用率を超えて雇用した企業には調整金や報奨金が支給されます。

また、各種障がい者雇用のための助成金としても利用されます。

この仕組みにより、企業間の負担を調整し、障害者の雇用を増やすことを目的としています。

障害者雇用納付金の金額と計算方法

100人以上の企業が障がい者の法定雇用率を守らなかった場合、1人あたり50,000円の障害者雇用納付金を収めることが求められます。

もっとも重要なのはこの50,000円という数字は、「1年あたりの金額」ではなく、「1か月あたりの金額である」ということです。

つまり法定雇用率から計算して、本来は5人雇わなければならないところを2人しか雇っていなかった場合、1年で、50,000円×3人×12か月=180万円納付が求められる計算になるということです。

ただ、逆に、障害者の雇用の促進等に関する法律では、「100人を超える事業主が、法定雇用率を超えて障がい者を雇用している場合は、1人当たり毎月29,000円を支払う」という制度が設けられています(障害者雇用調整金)。

法定雇用率以上に障がいを持つ人を雇用している企業は積極的に申請を行っていくとよいでしょう。

障害者雇用納付金の申告期限はいつまで?

障害者雇用納付金の申告も、障害者雇用調整金の申請も、4月1日から5月15日までとされています。

なお申告対象期間は、前年の4月~今年度の3月です。つまり、2024年の4月~2025年の3月までの申告は、2025年の4月1日~2025年の5月15日までに行うことになります。

申告方法は電子もしくは紙媒体の送付

障害者雇用納付金などの申告は、電子もしくは紙媒体で行います。

電子申告申請は、資料の形式をダウンロード後記入、電子送信で送るのが便利でしょう(ただし電子申告申請システムを利用した場合でも、直接窓口に持っていくもしくは郵送で送ることもできます)。

従来通り、紙媒体で作ることもできます。

いずれの場合でも、事業主控えを手元に残しておく必要があります。なお申請先は各都道府県申告申請窓口です。都道府県によって申請窓口は異なりますが、たとえば愛知県の場合は、伏見に申請窓口が存在します。

障害者雇用納付金に関するよくある質問


最後に、障害者雇用納付金に関するよくある質問について回答をしていきます。

Q1.事業規模によって障害者雇用納付金の納付の義務が変わる?

A1.常用労働者100人以上の企業のみ必須

法定雇用率で考える場合、40.0人以上の事業主は1人以上の障がい者を雇用しなければならないと定められています。

しかし、障害者雇用納付金を収める義務があるのは、「100人以上の常用労働者を、5か月以上にわたって雇い入れている規模の事業主のみ」と定められています。そのため、常用労働者の数が100人を切っている事業主の場合、法定雇用率をクリアできていなくても、障害者雇用納付金を収める義務自体はありません。

なお、「常用労働者の数」は、

・週所定労働時間が30時間以上である(※週所定労働時間が20時間以上30時間未満の場合は、0.5として数えられる。
・週所定労働時間30時間以上の者が60人、週所定労働時間20時間以上30時間未満の者が100人であった場合、60人×1.0カウント+100×0.5カウント=110人)
・雇用期間に定めがないもしくは1年以上にわたって雇用が見込まれている

の要項で求められます。

なお、障がいを持つ方をどれくらい雇い入れているかのカウントは、下記の表から算出できます。

障がいの程度週所定労働時間30時間以上(常用労働者)週所定労働時間20時間以上30時間未満週所定労働時間10時間以上20時間未満
重度の知的障がい者重度の身体障がい者1人につき2カウント1人につき1カウント1人につき0.5カウント
重度以外の知的障がい者重度以外の身体障がい者1人につき1カウント1人につき0.5カウント算定基準なし
精神障がい者1人につき1カウント原則、1人につき0.5カウント1人につき0.5カウント

※精神障がい者の場合は、重度・重度以外の区別なし

Q2.障害者雇用納付金の納付義務があるにも関わらず申告しなかった、この場合はどうなる?

A2.追徴金が課せられる、差し押さえにいたることも

障害者雇用納付金を収める必要がある事業主であるにも関わらず、これを納付しなかった場合、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が収めるべき金額を決定して、10パーセントの追徴金を上乗せします。

また、「障害者雇用納付金の申告は行ったが、未納になっている」という場合は、督促措置が行われ、延滞金(督促金額の支払い期限×完納までの日数×14.5パーセント)が課せられます。

それでもなお支払われなかった場合は、滞納処分として、財産の差し押さえがなされます。

Q3.収める意志はあるが、金銭的な負担が大きい

A3.分納ができる

障害者雇用納付金の金額は決して小さいものではありません。そのため、「収める意志はあるが、すぐに全額収めることはできない」ということもあるかと思います。

この場合、分納を選択することができます。分納は、5月16日・8月1日・11月30日が期限とされています。ただし分納ができるのは、障害者雇用納付金の金額が100万円以上の場合のときのみで、100万円以下の場合は全納のみの受付とされています。

障害者雇用納付金の支払いをしていなかったときには督促が行われることはすでに述べた通りですが、納付期限をオーバーしていても収められることもあるので、できるだけ速やかに支払いを行いましょう。

Q4.障害者雇用納付金で訪問調査があるって本当?

A4.本当です。ただしすべての事業所に対して行われるわけではない

障害者雇用納付金は基本的には事業主が自ら申告・申請・納付を行うものですが、「障害者の雇用の促進等に関する法律」第52条の規定に基づき、訪問調査が行われることもあります。

ただ訪問調査はすべての事業主に対して行われるものではなく、また事前に「訪問に伺います」という通知がなされます。

なお訪問調査の際には、雇用の実態が分かる資料の提出などが求められることもあります。

Q5.廃業などがあった

A5.廃業後45日以内に申告が必要だが、相談に行くのが良い

年度の途中に廃業・吸収合併をした場合は、事業廃止日から45日以内に申告と申請、また障害者雇用納付金を収める必要があるケースではこれの納付が必要です。ただこのあたりはかなり入り組んでいて、ケースによって判断が難しくなることもあるので、早い段階で一度各都道府県申告申請窓口への相談に行くのがよいでしょう。

なお、「廃業などではないが、自然災害などでばたついていて、障害者雇用納付金を期限内に収めるのが難しい」などのような状況の場合は、国の方で納付期限の延長措置をとります。

たとえば2024年の1月1日に起きた能登半島大震災においては、「大きな被害があった七尾市・羽咋郡志賀町の事業主に関しては2025年の1月31日まで、富山県全域・金沢市や小松市などの事業主に関しては2024年の7月31日まで、障害者雇用納付金の納付期限を延長する」というお知らせが出されました。

まとめ

これまで障害者雇用納付金について解説をしてきました。

今回の内容をまとめると、以下の通りです。

  • 障害者雇用納付金は、障がい者の法定雇用率の基準を満たさないかつ常用労働者が100人を超える企業に課せられるものであり、「1人分の不足につき、月に50,000円を収めよ」とするもの
  • 障害者雇用納付金はいわゆる「罰金」とは性質的に異なるものであり、障害者雇用納付金で徴収されたお金は障害者雇用調整金(法定雇用率を超えて障がい者を雇用している事業主に対して支払われる支援金)に使われる
  • 支払いがされていない場合は、追徴金や延滞金、財産の差し押さえが行われる

障害者雇用納付金は、障がいを持つ人を含めて、多くの人が社会で等しく活躍できるようにという理念の下で設立した制度です。もし障害者雇用納付金の申告が必要な場合は、しっかり収めておきましょう。

この記事を書いた人

サンクスラボ編集部

サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。

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