【2025年最新】障害者雇用の助成金の種類や条件、申請方法を解説
- 公開日:
- 2025.02.13
- 最終更新日:
- 2025.04.23

障害者雇用にかかるコストを軽減できるようにするために、助成金を活用したいという方も多いかと思います。しかし、障害者雇用に関連する助成金は多いので「どれを活用すればいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。
そこで、当記事では、障害者雇用助成金の詳細から助成金制度の種類・条件・申請方法まで詳しく解説します。
また、障害者雇用の助成金で申請しやすいものや、申請方法についてまとめた資料もご用意しています。複雑で理解しづらい助成金についてわかりやすく解説をしておりますので、助成金申請の際にお役立てください。
■「サテラボ」では助成金の申請もサポートしているのでお気軽にご相談ください。
>サテラボのサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
■あわせてよく読まれる資料です。
>【2025年最新版】障がい者雇用助成金の申請ガイドブックはこちら
目次
障害者雇用助成金とは
障害者雇用助成金とは、障害者雇用の活動を支援するために審査などの手続きを経て提供されるお金です。
事業主が障害者を雇用するにあたって、設備の整備や雇用管理を図るために助成金が活用されます。一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用促進や継続が助成金の目的です。
障害者雇用助成金には、障害者の雇用時に支給されるものや施設や設備を整備したときに支給されるものなど幅広い種類があります。
助成金によって対象となる障害者も異なるため、申請前に詳細をチェックしておくようにしましょう。
障害者雇用助成金の申請前に知るべきこと
障害者雇用助成金の申請前には、以下のような点について知っておきましょう。
- 支給要領を理解しておく
- 必要な書類を揃えておく
それでは詳しく説明します。
支給要領を理解しておく
支給要領とは、助成金を受け取るための条件を指します。助成金の申請時に支給要領を満たしていない場合、事業主は審査に通過することができません。
申請する助成金によって支給要領は異なるため、申請前にチェックが必要です。
各助成金の支給要領について知りたい場合は、厚生労働省の公式ページをご覧ください。
参考URL:厚生労働省|障害者を雇い入れた場合などの助成
必要な書類を揃えておく
助成金の申請時には、申請窓口から指定された書類を揃える必要があります。
例えば雇用関係助成金に共通の書類として、支給要件確認申立書や支払方法・受取人住所届などが必要です。
申請する助成金によっては揃える書類が多くなるため、労働局やハローワーク、支給申請窓口と相談しながら用意することをおすすめします。
障害者雇用助成金の種類・支給条件
こちらでは、障害者雇用助成金の種類や支給条件について紹介します。
障害者雇用で申請できる助成金を理解できるので、ぜひチェックしてください。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金は、障害者や高齢者の就職困難者を継続して雇用する企業が受給できる助成金です。
障害者雇用助成金のなかで最も一般的であり、対象者によってコースが分かれています。
それでは特定求職者雇用開発助成金にある「特定就職困難者コース」、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」、「障害者初回雇用コース」について詳しく説明します。
特定就職困難者コース
特定就職困難者コースは、障害者や高齢者をハローワークから雇用する事業主が受け取れる助成金です。
特定就職困難者コースの支給要領は、以下の通りです。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介から雇い入れる
- 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められる
特定就職困難者コースの対象となる障害者と支給額は、短時間労働者以外の者であれば知的障害者が1年で50万円、2年で120万円、短時間労働以外の重度障害者等は助成期間1年6カ月で100万円、3年で240万円となります。
短時間労働の重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者は、1年で30万円、2年で80万円です。
参考URL:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、発達障害者や難治性疾患患者を継続雇用する事業主が受け取れる助成金です。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースの支給要領は、特定就職困難者コースと同じです。
発達障害者・難治性疾患患者興開発コースの支給額は、短時間労働以外の発達障害者、難治性疾患患者を中小企業で雇用する場合は助成期間2年で120万円、中小企業以外では助成期間1年で50万円となります。
短時間労働の発達障害者、難治性疾患患者を中小企業で雇用する場合、助成期間2年で80万円、中小企業以外では1年で30万円です。
参考URL:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
障害者初回雇用コース
障害者初回雇用コースは、障害者雇用の経験がない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる労働者数43.5〜300人の中小企業)が初めて雇用する際に申請できる助成金です。
障害者初回雇用コースの支給要領は、1人目の対象労働者を雇い入れた日の翌日から起算して3か月後の日までの間に、雇い入れた対象労働者の数が障害者雇用促進法の定める障がい者の法定雇用率を達成した中小企業が対象となります。
助成金の支給額は120万円です。
2025年1月時点では廃止されており、一部については令和3年4月1日からほかの助成金や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に移管されました。
参考URL:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、障害者を原則3ヶ月間試行雇用する「トライアル雇用」を実施する企業が受け取れる助成金です。
障害者の雇用機会を増やす試みとして設置されており、2つのコースに分かれています。
それではトライアル雇用助成金にある「障害者トライアルコース」、「障害者短時間トライアルコース」について詳しく説明します。
障害者トライアルコース
障害者トライアルコースは、障害者の早期就職可能性や雇用機会を拡大するために一定の要件を満たすことで申請できる助成金です。
就職が困難な障害者を一定期間雇用することで、適性や業務遂行可能性を見極めて障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。
障害者トライアルコースの支給要領は、以下の通りです。
- 公共職業安定所や民間の職業紹介事業所などを通して該当する障害者を雇用すること
- 障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと
助成金の対象労働者は、以下のような条件に該当している必要があります。
- 継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者
- 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
- 紹介日前1年以内に、離職が1回以上または転職が1回以上ある者
- 紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者
- 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
助成金の支給額は、精神障害者は月額最大8万円を3か月もしくは月額最大4万円を3か月(最大6か月)、それ以外の障害者は月額最大4万円を3か月となります。
参考URL:厚生労働省|障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
障害者短時間トライアルコース
障害者短時間トライアルコースは、短時間の雇用期間中に20時間以上の労働時間に増やしていくトライアル雇用で支給される助成金です。
障害者の継続雇用を目的としている点では障害者トライアルコースと同じですが、短時間(週10〜20時間未満)からはじめることに違いがあります。
障害者短時間トライアルコースの支給要領は、以下の通りです。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること
助成金の対象労働者は、以下のような条件に該当している必要があります。
- 継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者
助成金の支給額は、支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間)となっています。
参考URL:厚生労働省|障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
障害者雇用安定助成金
障害者雇用安定助成金は、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じる事業主が受け取れる助成金です。
障害者の雇用促進から職場定着を図ることを目的としており、以下の3つのコースに分かれています。
- 障害者職場適応援助コース
- 中小企業障害者多数雇用施設設置等コース
- 障害者職場定着支援コース
障害者職場適応援助コース
障害者職場適応援助コースは、 職場適応・定着に特に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者による支援を実施する事業主が受け取れる助成金です。
障害者の職場適応・定着の促進を図ることを目的としています。
障害者トライアルコースの支給要領は、以下の通りです。
- 訪問型職場適応援助者による支援を行うこと
- 企業在籍型職場適応援助者による支援を行うこと
助成金の対象労働者は、以下のような条件に該当している必要があります。
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 発達障害者
- 難治性疾患のある方
- 高次脳機能障害のある方
令和3年度より助成金の整理・統廃合が行われたことにより、上記項目は以下のような変更があります。
- 訪問型職場適応援助者による支援→職場適応援助者助成金(訪問型職場適応援助者助成金)
- 企業在籍型職場適応援助者による支援→職場適応援助者助成金(企業在籍型職場適応援助者助成金)
職場適応援助者助成金(訪問型職場適応援助者助成金)の支給額は、支援する障害者1人に対して短時間労働の支援員は月額2万円(中小企業以外は1.5万円)、短時間労働者以外の支援員は月額4万円(中小企業以外は3万円)を最大半年間支給することを上限としています。
職場適応援助者助成金(企業在籍型職場適応援助者助成金)の場合、月額6万円(中小企業以外は4.5万円)が最大1年間、対象労働者が就労した月数分支給される仕組みです。
参考URL:厚生労働省|障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)
中小企業障害者多数雇用施設設置等コース
中小企業障害者多数雇用施設設置等コースは、障害者の雇入れに関する計画を立てて対象労働者(重度身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者)を5人以上雇用し、必要な施設や設備等を設置する中小企業に対して支給される助成金です。
障害者職場定着支援コース
障害者職場定着支援コースは、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等の措置を講じる事業主に支払われる助成金です。
障害者の雇用を促進し、職場定着を図ることを目的としています。
障害者職場定着支援コースの支給要領は、以下の分野に該当します。
- 柔軟な時間管理・休暇取得
- 短時間労働者の勤務時間延長
- 正規・無期転換
- 職場支援員の配置
- 職場復帰支援
- 中高年障害者の雇用継続支援
- 社内理解の促進
令和3年4月に助成金の整理・統廃合により、現在では「正規・無期転換」、「場支援員の配置」、「職場復帰支援」以外は廃止されています。
また、職場適応援助者助成金として独立しており、管轄もハローワークから独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に変更されました。
職場適応援助者助成金には「訪問型適応援助者」と「企業在籍型適応援助者」の2つがあり、以下のように助成金が支給されます。
- 訪問型適応援助者:1日の支援時間が4時間以上(精神障がい者への支援については3時間以上)の日は日額1.6万円、それ未満の日には日額8千円として計算(6ヵ月ごとに支給)
- 企業在籍型適応援助者:月額3万円~12万円と(対象の障害者や企業規模によって変動)
参考URL:厚生労働省|障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、障害の有無に関係なく非正規雇用者のキャリアアップのために、正社員化などを実施した事業主に対して支払われる助成金です。
障害者の雇用促進や定着を目的としています。
キャリアアップ助成金の支給要領は、以下の措置のいずれかを継続的におこなった場合に受けられます。
- 有期雇用を正規雇用または無期雇用に転換
- 無期雇用を正規雇用に転換
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の支給額は、障害の種類や重度、措置の内容によって変わります。
詳しくは厚生労働省の対象ページを参考にご覧ください。
参考URL:厚生労働省|キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、障害者の職業能力の開発、向上のために教育訓練を継続的に行なうための施設の設置、運営を行なう事業主、事業主団体に対してその費用の一部が支給される助成金です。
障害者の雇用促進や継続を目的としています。
人材開発支援助成金の支給要領は、障害者職業能力開発訓練事業の実施もしくは障害者職業能力開発訓練事業を行なうために必要な訓練の施設、設備の設置、整備、更新となります。
人材開発支援助成金の支給額は、訓練施設の設置や整備・更新に要した費用の4分の3が支給される仕組みです。
また、各種要項に応じた運営費も合わせて支給されます。
障害者介助等助成金
障害者介助等助成金は、障害者の雇用において必要な介助者を職場に配置、委嘱する事業主に対して支給される助成金です。
障害者介助等助成金の提出書類は3部作成し、申請事業所の所在地を管轄する都道府県支部に提出が必要です。
障害者介助等助成金の支給額は、介助者の種類や職場配置か委嘱によって変わります。
重度障害者等通勤対策助成金
重度障害者等通勤対策助成金は、通勤が困難であると認められる重度の障害者に対して、雇用主が通勤対策をする際に支給される助成金です。
例えば通勤援助者の通勤用バスを購入した場合、助成の対象となります。
重度障害者等通勤対策助成金の支給額は、実施する通勤対策によって変わります。
障害者雇用助成金の申請方法
障害者雇用助成金を申請するには、前提として各助成金の個別の要件を満たす必要があります。申請を検討している助成金の支給要領や申請様式をチェックすることで、何を準備すればいいのか明確になります。
助成金の申請は「郵送申請」もしくは「電子申請」の2種類があります。郵送申請は助成金の申請に必要な書類を郵送し、審査に通過すれば支給の流れです。
電子申請は、厚生労働省のページから「GビズID」を申請・取得する必要があります。助成金の種類によって申請方法は異なるため、事前にチェックが必要です。
障害者雇用助成金の申請には、実施計画の策定や計画届の提出・実施などの手続きを行います。
これまで助成金の申請をしたことがないのであれば、ハローワークや障害雇用支援サービス、地域障害職業センターなどに相談すると良いでしょう。
障害者雇用助成金の注意点
障害者雇用助成金を活用する際は、以下のような点に注意してください。
- 障害者に合わせた環境整備が必要
- 実雇用率のカウントに注意しておく
- 不正受給にならないよう気をつける
それでは詳しく解説します。
障害者に合わせた環境整備が必要
障害者雇用を進めるには、働きやすい環境整備が必要です。
障害者雇用助成金のなかには支給要領として設定されていることもあるため、申請時には環境整備の準備を整えなくてはいけません。
障害者はそれぞれの特性があり、身体、知的、精神、発達など種類によって必要な環境配慮は異なります。環境整備には設備や施設の設置を必要としますが、状況によっては声かけの意識や相談体制の準備で済む可能性も高いです。
雇用する障害者の特定に合わせて、最適な環境整備を行うようにしましょう。
実雇用率のカウントに注意しておく
障害者雇用助成金は、種類によって障害者の実雇用率を申請窓口に伝える必要があります。
実雇用率のカウント方法は労働時間や障害の程度によって大きく変わるため、十分注意が必要です。
週所定労働時間が30時間以上での雇用は1(重度身体障害・知的障害は2)、20時間以上30時間未満の場合は0.5(重度身体障害・重度知的障害は1)とカウントします。
特例措置として、新規雇入れから3年以内もしくは精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の精神障害者については、週20時間以上30時間未満で雇用する場合1とカウントします。
また、2024年4月1日以降、、10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者については0.5人でカウントすることも理解しておきましょう。
不正受給にならないよう気をつける
障害者雇用助成金を申請するときは、不正受給にならないように気をつけておきましょう。過失による助成金の不正受給を行った事業主は、高齢・障害・求職者雇用支援のホームページ等で公表されてしまいます。
企業側にとってもブランドイメージを悪化させてしまうため、クライアント企業や取引先からの印象も悪くなってしまいます。
例えば書類の記載ミスから高額な金額を受け取ったり、対象従業員のカウント方法に誤りがあったりすると不正受給につながる可能性が高いです。
もし自社で点検を行い、誤りについて修正を申し出ればペナルティを回避することは可能です。不正受給にならないようにするためにも、助成金の申請は十分注意しておきましょう。
まとめ
今回は、障害者雇用助成金の詳細から助成金制度の種類・条件・申請方法、注意点まで詳しく解説しました。
障害者雇用助成金にはいくつもの種類があり、申請することで障害者雇用に必要な設備や施設、雇用管理を図るためのコストなどを軽減できます。
経済的負担を軽減することで、自社の経営を安定させることが可能です。
ぜひ当記事で紹介した障害者雇用助成金の種類を参考にしながら、申請手続きを進めてください。
この記事を書いた人
サンクスラボ編集部
サンクスラボ株式会社が運営するメディアの編集部 。 障がい者雇用にかかわる情報を日々お届けします。
