トップ障がい者就職・転職Tips障害者雇用 配慮事項の書き方|基本項目や採用担当者に伝えるポイント、事例を解説

障害者雇用 配慮事項の書き方|基本項目や採用担当者に伝えるポイント、事例を解説

公開日:
2026.01.30
最終更新日:
2026.01.30

障害者雇用において、長く安定して働くためには「配慮事項」の書き方が非常に重要です。企業側に自分の特性を正しく伝え、適切な環境調整を受けることが就労定着のカギとなります。しかし、具体的にどのように書けばよいのか、何をどこまで伝えてよいのか悩む方も多いでしょう。

本記事では、履歴書や職務経歴書における配慮事項の書き方や、採用担当者に好印象を与えるポイントを例文付きで解説します。自分に合った働きやすい環境を手に入れるために、正しい知識と伝え方を身につけましょう。

障害者雇用における「配慮事項」の重要性と書き方の基礎

障害者雇用枠での就職活動において、配慮事項を適切に伝えることは、入社後のミスマッチを防ぐための最も重要なステップの一つです。配慮事項とは、障害特性によって生じる業務上の困難さを軽減するために、企業側に求める具体的なサポートや環境調整のことを指します。

2016年の障害者差別解消法の施行や、その後の法改正により、企業には「合理的配慮」の提供が義務付けられました。これは、障害のある人とない人が均等な機会を得られるよう、過度な負担にならない範囲で調整を行うというものです。

書き方を工夫し、必要な配慮を明確に伝えることは、企業との信頼関係を築く第一歩となります。

企業が採用時に配慮事項を確認する意図とは

採用後の活躍イメージを持つため

企業が配慮事項を確認する最大の理由は、応募者が自社で業務を遂行できるかどうかを判断し、入社後に活躍できる環境を用意するためです。採用担当者は、単に障がいの内容を知りたいのではなく、「どのようなサポートがあれば、その人が能力を発揮できるか」を知りたがっています。

たとえば、「電話対応ができない」という情報だけでは、業務全体の調整が可能か判断しづらい場合があります。しかし、「電話対応は難しいが、メールやチャットでの顧客対応は可能」といった具体的な情報があれば、業務の切り分けや配置を検討しやすくなります。

ミスマッチによる早期離職を防ぐため

企業にとって、採用した人材が早期に離職してしまうことは避けたい事態です。そのため、選考段階で「自社の環境でその配慮を提供できるか」を慎重に見極めようとします。

応募者側が遠慮して必要な配慮を伝えないまま入社してしまうと、無理が重なり体調を崩したり、業務が遂行できなくなったりするリスクが高まります。企業が配慮事項を聞くのは、双方が安心して長く働き続けるための、建設的な確認作業であると捉えましょう。

配慮事項を書く前の準備:自己理解と障害特性の整理

苦手なことと得意なことの棚卸し

いきなり履歴書に配慮事項を書き始める前に、まずは自分自身の障害特性や得意不得意を深く理解する作業が必要です。これを「自己理解」と呼びます。

過去の就労経験や日常生活を振り返り、どのような場面で困難を感じたか、逆にどのような環境ならスムーズに行動できたかを洗い出してみましょう。

たとえば、「騒がしい場所だと集中できない」「一度に複数の指示を受けると混乱する」といった具体的なエピソードを書き出すことが大切です。

自分自身で対処できる範囲の確認

企業に求める配慮を整理する際には、すべてを企業任せにするのではなく、「自分でできる対処(セルフケア)」と「企業にお願いしたい配慮」を区別することが重要です。

「メモを詳細に取ることでミスを防げる」「ノイズキャンセリングイヤホンがあれば集中できる」など、自分なりの工夫でカバーできる部分はアピールポイントにもなります。その上で、どうしても自分だけでは解決できない部分を「配慮事項」として明確化することで、説得力のある書き方が可能になります。

【項目別】履歴書・職務経歴書への配慮事項の書き方と例文

ここからは、履歴書や職務経歴書の備考欄、あるいは「本人希望記入欄」に記載する際の具体的な書き方を紹介します。配慮事項は抽象的な表現を避け、採用担当者が具体的な行動をイメージできるように書くことが鉄則です。

「コミュニケーションの配慮をお願いします」とだけ書くのではなく、どのようなシチュエーションで、何をしてほしいのかを具体的に記述しましょう。

以下に、よくあるケースごとの例文を挙げますので、ご自身の状況に合わせて調整してください。

業務内容・コミュニケーション・環境整備に関する配慮事項の記載例

指示の受け方や業務手順に関する配慮

業務指示に関する配慮は、誤解やミスを防ぐために非常に重要です。特に聴覚情報処理や短期記憶に課題がある場合は、視覚的な情報提供を求める内容が良いでしょう。

【例文】
「口頭での指示は聞き漏らしや誤認が生じやすいため、可能な限りメールやチャット、マニュアル等の書面での指示をお願いいたします。口頭の場合は、メモを取る時間をいただけますと幸いです。」

「一度に複数の業務が重なると優先順位の判断が難しくなることがあります。業務指示の際は、優先順位を明確に示していただけますと、円滑に業務を遂行できます。」

感覚過敏や作業環境に関する配慮

聴覚過敏や視覚過敏などの特性がある場合、物理的な環境調整が就労継続の大きな要因となります。具体的なツールや座席配置について触れると分かりやすいでしょう。

【例文】
「聴覚過敏の特性があり、周囲の話し声や電話の音が気になると集中力が低下する傾向があります。業務に支障がない範囲で、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンの使用を許可いただけますと幸いです。」

「人の往来が激しい場所では緊張が高まりやすいため、可能であれば壁際や通路の端など、人の動きが視界に入りにくい座席配置をご検討いただけますと安心して業務に取り組めます。」

通院頻度・勤務時間・体調管理に関する配慮事項の記載例

通院のための休暇や遅刻・早退の申請

定期的な通院が必要な場合は、その頻度とタイミングを正直に伝える必要があります。隠して入社すると、後々の調整が難しくなるため注意しましょう。

【例文】
「障害特性の管理と体調維持のため、月に1回程度の定期通院が必要です。恐れ入りますが、通院日は半日休暇や時間単位年休の取得、もしくはシフト調整のご配慮をいただけますと幸いです。」

「現在は服薬により症状は安定しておりますが、2ヶ月に1回、平日の午前に通院がございます。面接時に詳細をご相談させてください。」

通勤ラッシュや勤務時間の調整

精神的な負担を軽減するために、通勤時間の調整が必要な場合もあります。時差出勤や短時間勤務の希望があれば、その理由とともに記載します。

【例文】
「満員電車等の混雑時にパニック発作が起きる可能性があるため、可能であればラッシュ時を避けた時差出勤(例:10時出社など)を希望いたします。」

「体調管理を優先し、安定して就労を継続するため、入社後3ヶ月間は週30時間の短時間勤務から開始させていただきたいと考えております。その後は体調を見ながらフルタイムへの移行を目指します。」

障害者雇用の採用担当者に好印象を与える配慮事項の伝え方

配慮事項を伝える際、単に「あれをしてほしい」「これはできない」と要求ばかりを並べてしまうと、企業側は「受け入れの負担が大きい」と感じてしまう可能性があります。大切なのは、「一緒に働くための調整」というスタンスで書くことです。

自分の特性を理解した上で、企業に貢献したいという意欲が見える書き方を心がけましょう。ここでは、採用担当者に安心感を与え、好印象につながる伝え方のテクニックを解説します。

「できない」だけでなく「代替案・自己対処」を配慮事項とセットにする

自分なりの工夫をアピールする

配慮を求める項目に対して、自分で行っている対策(セルフケア)を併記すると、自己管理能力が高いという評価につながります。これは障害者雇用において非常に重要なスキルです。

たとえば、「周囲の音が気になって仕事に集中できません」とだけ書くのではなく、「周囲の音に反応して作業効率が下がる場合がありますが、耳栓を装着することで高い集中力を維持できるよう自ら工夫しております。業務中にこれらの器具を使用することを許可いただけますでしょうか」と伝えます。

具体的な代替手段を提示する

「できないこと」を伝える際は、どうすればできるかという代替案をセットにすることで、前向きな姿勢を示せます。

「電話対応はできません」で終わらせるのではなく、「電話対応は困難ですが、データ入力や書類作成などのバックオフィス業務であれば、集中して高いパフォーマンスを発揮できます」と書き添えます。

また、「突発的な対応は苦手ですが、事前にスケジュールが決まっている業務であれば計画的に遂行可能です」といった書き方も有効です。

主観を避け客観的かつポジティブな表現へ言い換える書き方

「辛い」「不安」といった感情語を避ける

履歴書や面接はビジネスの場ですので、感情的な言葉よりも、事実に基づいた客観的な表現が好まれます。「大きな音がすると辛いです」という表現は、「大きな音のする環境では業務効率が低下する傾向があります」と言い換えましょう。

「不安です」という言葉も、「〇〇のサポートがあれば、安心して業務に取り組めます」や「事前に手順を確認できれば、確実に業務を遂行できます」といった、解決策を含んだ表現に変換することで、プロフェッショナルな印象を与えられます。

「環境が整えば活躍できる」ことを強調する

配慮事項を伝える最終的な目的は、配慮してもらうことそのものではなく、その配慮によって成果を出すことです。文章の締めくくりやニュアンスに、貢献意欲をにじませることが大切です。

「静かな環境を用意してください」と依頼する際も、「集中できる環境であれば、正確かつ迅速に作業を進めることが可能です」と付け加えるだけで、印象は大きく変わります。配慮はあくまで「戦力になるための手段」であることを意識して書きましょう。

適切な配慮事項がうまくまとまらない場合の対処法と書き方の工夫

ここまで配慮事項の書き方を解説してきましたが、いざ自分のこととなると「何を書けばいいかわからない」「自分の特性を言語化するのが難しい」と感じる方も少なくありません。特に初めて障害者雇用枠で就職活動をする場合、自分に必要な配慮を正確に把握できていないこともあります。

一人で悩みすぎてしまうと、就職活動自体が停滞してしまいがちです。配慮事項がまとまらない場合は、専門家の視点を借りるなどして、客観的に情報を整理する方法を取り入れましょう。

就労移行支援や転職エージェントなど支援機関の活用

第三者の視点で特性を分析してもらう

自分一人では気づきにくい特性や必要な配慮も、就労支援のプロから見れば明確になることがあります。就労移行支援事業所のスタッフや、障害者雇用専門の転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談してみましょう。

彼らは多くの事例を知っているため、「あなたのような特性の方には、こういった配慮があると働きやすいですよ」といった具体的なアドバイスをくれます。また、応募書類の添削を受けることで、企業に伝わりやすい表現にブラッシュアップすることができます。

支援機関と一緒に配慮事項を作成するメリット

支援機関を活用する最大のメリットは、自分の希望が「企業にとって過度な要求になっていないか」を客観的にチェックしてもらえる点です。自分では必要最低限だと思っていても、企業視点では受け入れが難しいケースもあります。

専門家のアドバイスを受けながら調整することで、自分の要望と企業の許容範囲のバランスが取れた、説得力のある「配慮事項シート」や「自己取扱説明書(ナビゲーションブック)」を作成することが可能になります。これらは面接時の強力な武器となります。

まとめ

障害者雇用で長く安定して働くには、自身の特性を正しく伝え、適切な「合理的配慮」を受けることが不可欠です。配慮事項を書く際は、単に「できないこと」を列挙するのではなく、自分で行っている工夫(セルフケア)や代替案をセットで提示しましょう。

これにより、企業側は採用後の活躍イメージを具体的に持つことができ、ミスマッチや早期離職を防げます。客観的な言葉で「環境が整えば戦力になれる」とポジティブに伝えることが、採用担当者への好印象と、自分に合った働きやすい環境の獲得につながります。

記事監修者:衛藤 美穂

サンクスラボ株式会社 サテラボ事業部 カスタマーサクセスチーム

アメリカの大学で心理学を学んだ後、不動産、メーカー、教育と多岐にわたる業界を経験。 前職までに約2,500社以上の管理職・取締役に対し、提案営業やコンサルティングを通じて、現場の複雑な問題解決を支援してきた「企業課題解決」のプロフェッショナルです。
現在はサンクスラボにて、その豊富なビジネス経験と、10年以上にわたり研鑽を積んできたカウンセリングスキルを融合。 「企業の論理」と「障がい者従業員の心理」の双方を深く理解する稀有な存在として、障がい者雇用のサポートとセミナー(登壇歴2年)に従事しています。

■保有資格
MFCA認定プロフェッショナルコーチ:2023年取得
夫婦カウンセラー:2012年取得

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